荒野 16歳 恋しらぬ猫のふり (文春文庫 さ 50-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167784041

感想・レビュー・書評

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  • 完結巻。

    小さな黒猫が、しなやかな強さを持った女になった。
    読んでいる最中、女って、なんだか妖怪みたいだな…と、呆れてしまった。
    私も女ですがね…。

    でも最後のシーンまでたどり着いたら、それはそれで愛おしい存在かもしれないなという気になった。

    こんなに複雑な存在がうじゃうじゃ生息している恐ろしい世界。
    むしろその混沌を面白がれるくらいじゃなきゃいけないな。

  • 荒野シリーズ3冊目。
    高校生になった荒野は少しずつ着実に大人へと、女へと成長していく。悠也との遠距離恋愛も読んでいて微笑ましい。輝かしい高校生の頃に戻りたくなった。
    「振りかえると、あの季節は、あっというま。瞬きするほどの一瞬の日々よ。」

  • 妹・鐘の誕生、そして父の文学賞受賞と、賑やかになった山野内家。荒野も、受賞パーティーや友人とクラブに出かけ、新たな世界を知る。だが、秋のある日、義母・蓉子が、妹を連れて家出してしまう。そして、荒野は守られていた子供の自分から決別することを心に誓う…。少女の成長物語『荒野』、いよいよ最終巻。

  • 再読。荒野はずっと同じ人に恋をして、そのことに揺らぎがない。恋の相手の悠也は12歳のときは存在感のあるとがった少年だったのに、どんどん輪郭がぼんやりして、16歳ではフツーの男の子になってしまった。12歳から16歳までの少女の成長が細やかに描かれる。心情の揺れはもちろん、食べ物や洋服、髪型、買い物といった日常のささやかな身の回りの物の描写が荒野の造形を構成していておもしろい。少女のことを知りたかったら(思い出したかったら)この1冊(3冊)だ。

  • 3部作最終巻。少年は荒野を目指さず、女は家に帰り「おかえり」を言い、放蕩の父は赦される。
    桜庭一樹にしちゃあまりに都合のいいエンディングじゃないかね。作家が自分の中に残る私の男の毒素を浄化するために書いた感じ。

  • 桜庭一樹さんの作品は毎回テイストがガラリと違う。「荒野」は思春期の成長と恋愛がテーマで、少女漫画にありがちな甘くて優しいテイスト。引き出し多い!!適確な表現と読み易い日本語で、漫画を読んでいるかのように情景もしっかり描けて安心してすっと入り込める。そしてしっかりまとまってる。さすが桜庭一樹さん。

  • ☆3冊まとめての感想

    中学校入学から始まる荒野の物語。
    春のときめきを感じたり、季節が変わるごとに空気の匂いがしてきそうで、読んでて楽しかった。
    何より荒野が可愛くて、彼女の変化や成長をこっそり見守っているようなこそばゆさがたまらない。
    桜庭さんの小説に出てくる人物は変わり者だったりぶっ飛んでたりするけど、妙にリアルなのはなぜだろう。
    この物語に出てくる人達も、ちょっと変だけど愛おしく感じた。

  • だからさぁ~~~桜庭一樹の小説は、出だしは面白いのにどうしてこうたたみ方がうまくないのかなぁ!! と力説してしまうよ!!
    あとは読者のご想像におまかせしますということなのかもしれないけど描写不足。それが改善されているんじゃないかと毎回期待して毎回裏切られるのだよね……

    「ただいま」と言われるのを待っていただけの子どもが、「おかえり」を言えるように成長した。ただそれだけのことなのだけれど、鎌倉の四年間はロマンチックだ。
    惜しむらくは、鎌倉というのをすごくアピールしてた割に鎌倉ならではの描写が少なかったことかな。もう少しクローズアップされてもよかったと思う、あの鎌倉推しからすると。

  • 16歳の荒野。

    だんだん、
    おとなの仕組みを掴みかけるとき。
    そして、
    今まで不思議だと思ってた部分が
    自分の中にもあると気付いていく。

    家族にも友達にも言えない感情を
    共有する
    荒野と悠也。

    何気ないデートの場面や
    夏祭りの場面は
    なんだか
    ぽわんぽわんしてしまいました。苦笑

    こんな気持ちだったなあ。
    まだまだ幼くて不安定なのに時間は進んでいくし。

    大人は大人で
    振り乱して現実と感情に抗ってみたり。

    でも、
    全3作を通して
    やっぱり私は14歳の
    可愛くない荒野がいちばん可愛いと思った。
    いちばんドキドキした。

    悠也、
    やっぱりいい男だ。笑

  • 友達にも荒野にも恋人ができて、体が大人のそれになって

    成長は素敵なものだけれど、少し寂しいもののように感じた。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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