- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167753139
作品紹介・あらすじ
私が諸君に伝えようとしているのは雑学ではなく、教養である。だが、どうも諸君は「雑学」と「教養」の違いをご存じないようである-。弱者が負け続けるリスク社会をなぜ日本は選択してしまったのか。「武術的思考」や「問いの立て方を変える」など具体的な視座から、未来への希望をともなう真の教養を問う。
感想・レビュー・書評
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オルテガとニーチェの話がとても面白かったです。
大衆とは、貴族とは何か、同じ言葉で表現していても全く正反対の結論になる。
こういうところ、哲学って苦手だな…と思っているんですが、手を引いてくれる人がいると理解できて、身近に感じるし、現代社会を理解する力になる。
内田さんは学問と読者を結びつけてくれる本当に貴重な方です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりの内田樹。
時事ネタが多いのに古びないのはさすが。
自身でも認めているように、首尾一貫してない所もあるし、何を言いたいのか分からない時もあるが、それが魅力なのでしょう。私も、よくそういう時がある。
内田さんは、素直にそれを認め、逆手にとって物事を見ていくので、色々な見方、考え方方が展開できるのでしょう。ブレていけない所はブレてはダメだが、フレキシブルに物事に対応するのは大事な事だと思う。だって、入力される情報は日々変わるのだし、世の中動いているのだから。それに対応して、言うことが変化するのは、至極当然だと思う。
最近、内田さんの本がやたら出版され、ついていけないが、半年に1冊くらいは読みたい。 -
雑学と教養の違いとは?
時間差があるかどうか。
大衆について
大衆の正しさの判断は、主観で選ぶのではなく、周囲がやっているものを正しいとする。
児童の英語学習について
スピーキングとリーディングを比べたとき、後者の方が圧倒的に知的レベルの高い。
植民地の国民が難しい文書が読めてしまうと、都合が悪いことが起きる -
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大衆社会論、惜しかったが詰め甘し。憲法9条に関しては、やはり情けない論、「見事な政治的妥協の実現」という物言いが果たして、将来世代に通用し続ける言説か否か、この著者ならもう少し静かに、そして真剣に考えてもよかろうに。
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教養とは全く断絶した知識を繋ぐ架け橋!
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中国論、アメリカ論などのテーマに関するエッセイ集です。
ニーチェとオルテガ・イ・ガセーの違いを明らかにしながら、現代の大衆社会の問題点を衝いたエッセイは、軽い文章に似合わずかなり重厚な印象です。ニーチェにとって「貴族」とは、外界を必要としない者、自己肯定しうる者であり、「畜群」とは「隣の人間と同じようであること」を唯一の基準として判断し行動するような群れのことでした。しかしオルテガは、いまや「大衆」こそが自分のことを「知的に完全である」と思い込み、「自分の外にあるものの必要性を感じない」ようになっていると言います。その結果、自己満足した大衆はバラバラに原子化し、社会が統合を失ってしまうと論じます。一方オルテガの考える「貴族」は、「基本的に奉仕の生活を生きるもの」であり、「高貴さは、権利によってではなく、自己への要求と義務によって定義されるものである」と述べます。
このようなオルテガの議論を紹介した後、著者は現在の日本に視点を移します。オルテガが喝破したのは、「誰だって努力すれば成功のチャンスはある」というメリトクラシーのはるか手前にあるはずの問題、つまり、「努力する生」がどれほど希少なものなのか、それを守り育てることがどれほど困難なことなのか、ということだったというのです。
その上で著者は、このオルテガの洞察を自身の他者論に接続して、「貴族」とは「自分のうちに〈他者〉を抱え込んでいる人間」だという主張を展開していきます。「私が私である」というときにすでに〈他者〉の存在を抱え込んでしまっており、〈他者〉との共生を構造的に生きてしまっているような者にして初めて、「見知らぬ人間との共同生活」が可能なのだ、と主張されます。「私」のうちにおける複数の声との「共生」こそが、「公」の成立する条件なのだ、という著者の信念は、「私」の蔓延に対する怨嗟と「公」の尊重への呼びかけが喧しい現在の社会に対する、根源的な批判になりえているように思います。 -
10年も前のブログが元ネタなので、
当時の時事ネタを扱ったものが多いのに、
今でもリーダブルってのは凄いです。
内容はいつもの話ですけど。
まだ先生も若いので、言葉のアクが抜けてなくて新鮮です。 -
内田さんの、小気味のよい語り口というか、書きぶりが好きだ。市民の条件は、自分と異質な他者と共同体を構成できる能力、対話する力をもつこと…という文章にめっちゃ共感した。条件を満たせるよう、毎日がんばらにゃいといけないわ。
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内田さんの考え方 好きです。