ツリーハウス (文春文庫 か 32-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 197
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167672096

作品紹介・あらすじ

一家三代『翡翠飯店』クロニクル。伊藤整文学賞受賞作謎の多い祖父の戸籍――祖母の予期せぬ“帰郷”から隠された過去への旅が始まる。すべての家庭の床下には戦争の記憶が埋まっている。

感想・レビュー・書評

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  • 満州から始まる親子三代の年代記。

    平和な現代に生きる我々は、「闘う」どころではなく「逃げる」ことすらできずに、「流されている」だけでなのではないか?と、突きつけられる。

    僕なんか、まさに流されている人生な訳ですよ。
    運だけで生きている、とたまに思う。

    だからか、引っかかるものありました。

    • アールグレイさん
      こんにちは♪
      この本私も読んだことがあります。
      ・・・・10年位前ですが。まだ、読書を始めたばかりの頃でした。
      中国残留孤児ということになる...
      こんにちは♪
      この本私も読んだことがあります。
      ・・・・10年位前ですが。まだ、読書を始めたばかりの頃でした。
      中国残留孤児ということになるのでしょうか?たけさんはおいくつ位なのでしょう?実際に中国、満州から会いに来ていたひと達がいました。
      本の中にあった、あの子供を満州においてきたらどうなったのでしょうね。
      2021/10/14
    • たけさん
      おはようございます。
      コメントありがとうございます!

      この物語は中国からの引揚者の家族のお話ですよね。
      生きるために壮絶なエネルギーが必要...
      おはようございます。
      コメントありがとうございます!

      この物語は中国からの引揚者の家族のお話ですよね。
      生きるために壮絶なエネルギーが必要で、「逃げる」と言っても並大抵のことではなかったんだなあ、と改めて感じさせられました。

      僕の年齢は非公表ですが(笑)若くはないです。
      残留孤児のニュースはテレビで見た記憶が微かにあります。それくらいの年齢です。
      2021/10/15
  • 家族の関係が希薄すぎるような気もするが、これが普通の家族なのだろうか?
    親や祖父母の過去も、今の状態にも無関心なような。どこに進学しようが、誰と結婚しようが、それが失敗して家に戻っても知らないふり。その原点が満洲で結婚した祖父母の経験が大きい。祖父の死亡で、祖母を孫と叔父が満洲まで連れて行くことで当時の状況が徐々に明らかになる。
    題名のツリーハウスは庭の秘密基地でもあるが、強固な地面から細い幹で結ばれた不安定な生活を表しているようだ。
    昭和の大事件と並行して書かれているので、世相も含めて懐かしく感じられた。

  • な、長かった、、、
    途中から話にグッと入れたけど、自分の仕事の疲れとかもあってなかなか進まなかった。

    ただ、話は面白いし、こんな話だとは思わなかった。
    家族の歴史を紐解いていくお話。終始淡々と書いているのがまた良かった。
    どこにでもありそうな中華料理屋の藤代家。ただ、そのどこにでもいそうな家族にも、歴史があって。
    言われてみれば自分の両親、祖父母の若い頃の話はよく知らないよなぁ。
    きっとどこの家にもこういう、物語になるような話があるんだと思う。(藤代家はちょっと不真面目というか、変わった人が多い気はするけどね、、)

    元気な時にイッキに読むのをオススメします!

  • 祖父が亡くなる場面から始まる、藤代家の三代に渡る家族の歴史。
    どんな家族にも、それぞれのドラマがあり、現在の自分が存在してる、と改めて考える物語だった。
    現在と過去の場面が入れ替わりながら進んでいく。
    祖母の満州での生活。この時代を生きた人は本当に苦労したんだなぁ。
    昭和の歴史は私も知ってる事が多く、自分の記憶と重ね合わせながら。
    とても読みごたえのある長編で、読後もしばらくこの物語の中に身を置く自分…

  • 小説を読む理由のひとつに自分じゃない誰かの人生を追体験したいからというのがある。『ツリーハウス』はその欲を見事に満たしてくれた。

    高校生の頃は周囲の大人が一直線に今の大人になっていて失敗なんてしたことないんじゃないかと思ってたけど、自分が大人になってみると子どもより大人のほうがよっぽど大きな失敗や挫折を経験していたんだなって。それを知るのが好き。

  • 心のひだを射貫くような、
    角田さんの作品。

    5割は読んでいるかな…と数えてみたら、
    まだ23冊しか読んでいませんでした。

    先は長そうです。

    現時点で、一番好きな角田さんの作品は、
    「ツリーハウス」。

    満州からの壮絶なひきあげ、
    戦後のどさくさから夫婦ではじめた商売。
    学生運動、あの教団の事件。

    家族のストーリーかと思いきや、
    昭和史にぐっと引きこまれました。

    ふたたび満州を訪れた祖母が、あの木の前で語る台詞。

    「何をした人生でもない、人の役にもたたかなった、
    それでも死なないでいた、生かされたんです。」

    私は、この言葉に生かされてきました。

    • アールグレイさん
      startlingさん
      こんにちは!お久しぶりです!
      ・・・・ツリーハウス、お読みになったんですね。私はずいぶん昔、読書に面白さを感じ始めた...
      startlingさん
      こんにちは!お久しぶりです!
      ・・・・ツリーハウス、お読みになったんですね。私はずいぶん昔、読書に面白さを感じ始めた頃、10年位前に読みました。でも、この本は昭和世代の私にとても印象強く残っています。
      日本への道中、赤ん坊が耐えきれずに亡くなってしまったと記憶しています。満州の人に預けるべきだったのでしょうか?そうすると、中国残留孤児、ということになると思います。
      切ないお話でした。
      このような本のあとには、「私にふさわしいホテル」最適かと思います。もう何か読んでいるでしょうか?
      ┌( *ι* )┘
      2021/06/30
    • _startlingさん
      コメントをありがとうございます。

      お子さんを喪うシーン、
      哀切がこもっていましたね。

      また、本のおすすめを
      ありがとうございました。
      本...
      コメントをありがとうございます。

      お子さんを喪うシーン、
      哀切がこもっていましたね。

      また、本のおすすめを
      ありがとうございました。
      本棚登録しています。

      目の前にまだ積読本があり、
      のんびり行きたいな、と思います
      2021/06/30
    • アールグレイさん
      コメントのお返事、ありがとうございます
      (^0^)/
      読書は読みたい本を読みたい時に、が一番だと思います。
      私は「総理の夫」という、最近フォ...
      コメントのお返事、ありがとうございます
      (^0^)/
      読書は読みたい本を読みたい時に、が一番だと思います。
      私は「総理の夫」という、最近フォロワーさんが読んだ面白そうな本が読みたいのですが、図書館の予約本の連絡が入っているので、「ドキュメント」が先です♪
      読みたい本だらけです。そういえば、先日フォロワーのお薦め本に、角田光代さんの本が・・・・?のシルエット。そんな題名だったと思います。
      素敵な読書、しましょう
      ㎜(^∇^)㎜
      2021/06/30
  • 通底するものは『笹の舟で~』と同種であるが、こちらはちょっとコミカルに現在と過去を行き来しながら、テンポよく読めた。祖父母や両親のルーツってホント知らないですよね。自分史を作っておかないと...。あるシーンでは、どうしても“if”を考えてしまった。またいつか再読したい一冊。

  • あらすじを読んで面白そうだと思い、購入。

    この物語の舞台である中華料理店、翡翠飯店の藤代一家の三代の壮大な家族の歴史物語。読み応えあった。(某テレビ局の家族のルーツに迫った番組を思い出した)

    章が変わっていきなり現在軸から、祖父母の時代に飛んだので最初は"いきなり飛んだな〜"とびっくりしたが、その後の章では世代がその子供、孫になっていくが、変に物語をぶった切っていくこともなく自然にスムーズに入っていくので違和感もなかったし、新しい世代は新しい世代で一波乱、二波乱あって面白かった。

    どの家庭にもそれぞれの歴史があって、それを紐解いていくと一本の大木になる。そんな印象が最後に残った作品。

  • 一人の青年が自分のルーツを辿る物語。行ったこともないのに、戦時中の満州の情景が立体的に浮かび上がる感覚があります。
    自分の祖父母もその時代に近い時を生きてきたと考えるとほんのちょっと前のことなんだとよりリアルに感じました。決して明るい話ではありませんが、引き込まれます。オススメ!

  • Audibleで。プロの描く物語っておもしろいなーと、しみじみ。

    なんのおもしろみもない、頭の悪そうな、つまらない家族の話で物語が始まる。
    が、孫がおばあさんを連れて中国に行くところから、物語は1940年代、70年代そして現代を行き来し、時代を高精細にスキャンするように、家族それぞれの物語を浮かび上がらせる。

    それぞれのチャレンジ、期待、恋、挫折、葛藤、、、どんな人にもそれぞれの物語がある。それは、大きなことをなし得なかった、小さな人生といえる。だけど、大きなことって何なのだ?立派なことってなんなのだ?もっと稼ぐこと?もっと家族で笑うこと?それって誰の価値観?誰が決めたこと?

    誰だって、その時代の価値観に翻弄されながら、精一杯、生きているといえる。死なずに元気にすごしていくことが、一番。いやなことからは逃げて、小さな人生を全うしていく。

    どこかの家族の話だと思っていたら、いつのまにかそれは私の物語でもあると気づく。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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