完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者 (文春文庫 S 9-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167651817

作品紹介・あらすじ

百万ドルの賞金がかけられた数学上の問題「ポアンカレ予想」。今世紀中の解決は無理といわれた難問の証明を成し遂げたロシア人ペレルマンは、しかし賞金を断り勤めていた研究所も辞めて、森へ消えた。なぜか?彼と同時代に旧ソ連の数学エリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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    100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

  • ペレルマン氏がどのような環境で育ったのか良く分かった。ソビエト時代の数学界のことも良く分かった。

    2012/12/15図書館から借用;12/17朝の通勤電車から読み始めて,12/20の朝の通勤電車で読了

  • ポアンカレ予想を証明した天才数学者ペレルマンの評伝だ
    ペレルマンの業績の一般向け解説書は何冊か読んだので、同様の書籍がまた出たのかと思った
    ただ、“動的平衡“の福岡伸一が帯や解説で絶賛していたので、思わず買った

    これまでの本ではトポロジーやポアンカレ予想の解説が中心で、ペレルマンその人については名誉や賞金を一切拒否するその変人ぶりに触れる程度であった
    当然だ
    今や彼は現実社会との接触を一切断っていて、情報が極めて少ないのだから

    本書の著者にとってもそれは同じことだが、類似書とは大きく異なっている
    それは彼女が、ペレルマンに関わりをもった殆ど全ての数学者たちと丹念に対話し、彼の人間形成過程やその人となりの輪郭を追い込んでいるからだ
    それを可能にしたのは、彼女がペレルマンと同時代にロシアの数学エリートとしての教育を受け、人種的にも同じユダヤ人であったことだ

    戦時下やスターリン独裁時代における数学教育の現場の様子が生々しく描かれており、またその後の冷戦時代を通じてのユダヤ人排斥の実態も、詳しく語られている
    全く知らないことばかりだった
    数学専門学校の成立や数学オリンピックの様子などの歴史的な興味も尽きないし、その環境下で立ち回った著名な数学者たちの魅力や欠点も率直に記述されている

    しかし、やはりペレルマンの幼少期以来一貫した天才ぶりと、反対に次第に心を閉ざしていく過程が、本書の中核なのは間違いない
    もちろんペレルマンの心境については著者の類推でしかないとはいえ、僕の当てにならない直感でもかなり的を射てると思った
    ただ、で来るだけ客観性を保とうとしているが、時々ペレルマンへの愛憎が差し挟まれる

    例えば、数学者を3つのタイプに分類する
    第一は予想を立てる者 誰も考えたことがない地平を切り開く
    第二はその予想を証明して定理にして道しるべを与える者
    第三は緻密で忍耐強くこだわり抜き、最終的な証明に達する者

    彼女はペレルマンは第三のタイプだという
    第一がもちろんポアンカレその人、第二はペレルマンの証明において重要なツールであるリッチ・フローを発見したハミルトンのような人

    また、ペレルマンが世捨て人になった心情に対しても、極めて批判的に分析している
    言ってみれば純粋培養のアダルトチルドレンという見解だ

    とはいえ本書は、世紀の業績を上げた数学者に現時点でもっとも肉薄している
    数学についての直接的な記述はないので、ちょっとでもペレルマンに興味を持つ人なら十分楽しめるはず

  • 100年以上証明されることの無かったポアンカレ予想を証明した天才数学者ペレルマン。
    かけられた100万ドルの報奨金を固辞。
    数学者にとっての名誉であるフィールズ賞の受賞も固辞。
    ソ連の時代背景もあり、一つ一つの奇跡の積み重ねが彼を数奇な運命へと誘っていく。
    それはまるで必然であるかのように。
    とある理由からペレルマン本人にインタビューすることができず、彼を取り巻く人々のインタビューを元に構成された本書。
    彼の魅力にとりつかれてしまう一冊。

  • 100万ドルの受領を拒否した謎の天才数学者ペレルマンに興味がありざっと読んだ。ペレルマンが少年時代を過ごしたソ連における数学教育など詳しいが、ざっと読んだだけでは周辺のことに詳しい分ペレルマン本人についての情報がつかみにくい印象(あまり情報が無いからだろうが)。ただ爪や髪を伸ばし放題の風貌も含めかなりの変人であるイメージは伝わってきた。

  • ポアンカレ予想を証明したペレルマンの苦悩、ソ連におけるユダヤ人数学者(ユダヤ人一般)への迫害が苛烈を極めていたことが描かれるが、ポアンカレよそそのものへの言及はほとんどなし。

  • ペレルマンが育った当時のソ連の数学会の状況がよく分かる。
    ただ、証明したポアンカレ予想に関する数学的に詳細な解説は無い。それは他書に譲る。

  • 450円購入2013-10-04

  • ポアンカレ予想を解決したペルマンの生い立ち、当時のソ連や、特異な数学教育について語る。この本を読んでも、ポアンカレ予想につて、その解決過程の詳細は書かれていない。

    たとえ、詳細に書かれていたとしても、分からないとは思うが・・・分からなくてもそれを期待して読んだのに、期待した内容とはずいぶん違いがある。

  • 青木薫さんが翻訳した本は外れがなかったけど、今作もそうだった~。
    ポアンカレ予想を証明したロシアの天才数学者ペレルマンに関する本。
    この本のすごいところは、ペレルマンに対するインタビューは一切行わず(存命だが、行えない)、ペレルマンの生立ちから表舞台から姿を消すまでの様子を関係者への取材をもとに丁寧に記述している点。
    ペレルマンがどれだけ数学に対して没頭してストイックであったかはもちろん、社会主義体制のもと均質であることが求められるなかどのようにユダヤ人であるペレルマンが並はずれた才能を開花させることができたか、等々。興味深く読み進めることができました。

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