政府・警察・自衛隊の〔対オウム事件ファイル〕 極秘捜査 (文春文庫 あ 38-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167644017

作品紹介・あらすじ

世界史上初めて、化学兵器"サリン"での無差別テロリズムを敢行し、さらにクーデターさえも計画していたオウム真理教。わが国の政府、警察、自衛隊は、あるいは秘められた特殊部隊は、いかに壮絶な戦いを繰り広げて来たのか。未公開資料をもとに、恐るべき"戦争"のすべてを緻密に描くノンフィクション大作。

感想・レビュー・書評

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  • オウム真理教‥今の若い世代は知らないかもしれないが、あの頃は地下鉄も利用していた頃でもあったし、テレビではサティアンの隠し部屋から松本智津夫死刑囚が見つかった時の様子も中継していた‥その裏でこんなにも自衛隊も警察も医療関係者も頑張ってくれていたんだと、この本を読んで分かりました。

  • #2877ー22ー172

  • 「沙林 偽りの王国」を読んだ後での作品だったので、
    事件の背景は認識していたし、正直読むのが辛かった。
    警察と自衛隊、ギリギリの戦いではあったのでしょうが、
    やっぱり及び腰で、臆病で無能だったとしか感じられない。

  • こちらはノンフィクション。しかしなんでこんなに1人の作者が多方面に食い込めてるのだろうか。こちらはわりと親切であったし、きっちりみっちり全体扱われておった。

  • オウム真理教の選挙パフォーマンスやテレビ出演を目にしたことはあるが、学生時代にはむしろ統一教会(勝共連合、原理研)の方が問題になっており、オウム真理教についてはあまりよく知らなかった。しかし、そのオウム真理教は選挙戦で惨敗した後は急速に過激化し、通常兵器のみならずNBC兵器(生物兵器、化学兵器、核兵器)の保有をも計画、その一部を実行に移していた。警察はこうしたオウム真理教の全容をなかなか把握できず、松本サリン事件への初動など様々な判断ミスを犯すが、捜査対象を次第にオウム真理教へと収斂させていく。サリンの生成、軍用ヘリコプターの存在、銃密造疑惑、次々と明らかになる事実は警察の対処能力を超え、陸上自衛隊の協力を得ながら強制捜査への準備が進められるが、まさに強制捜査へのカウントダウンが始まったところで1995年3月20日を迎えるのだった。副題に「政府・警察・自衛隊の『対オウム事件ファイル』」とあるとおり、主に捜査情報に基づいて地下鉄サリン事件前後の緊迫した状況を描く。限られた予算の中で生物化学兵器への対応策を研究してきた自衛隊の努力は特筆に値するだろう。

  • オウム捜査、地下鉄サリン事件対処を、克明に描いたノンフィクション。
    Cテロの実相や、今日でいうところの緊急対処事態のようなときに自衛隊や警察がどのように動いたかというところは非常に参考になった。

  • 日本の警察史上初となった化学兵器「サリン」を使った
    オウム真理教による無差別テロが発生した。その時、政府、
    警察、自衛隊はいかなる体制で事件に対応したのかを追った
    ノンフィクションである。

    国家中枢、警察や自衛隊にオウム真理教が与えた衝撃の大きさ、
    またその捜査に当たる当局の地道な作業がよく分かる。

    しかし、本書は捜査当局を美化し過ぎているのではないだろうか。
    本書の最終章に「しかし、史上最悪の犯罪集団に対して、わが国の
    治安機関は、血を出し、傷つきあがらも何とか勝利を収めることは
    出来た。」とある。

    本当に「勝利」なのか。地下鉄サリン事件が発生する以前に
    松本サリン事件があった。第一通報者の会社員が犯人扱いされた
    ことは記憶に新しい。サリンなど、素人が自宅で手軽に生成できる
    ものではないのにだ。

    にもかかわらず、のちに狙撃される國松警察庁長官はパーティの席で
    「犯人は第一通報者の会社員でしか有り得ませんよ。もし違ったら、
    逆立ちして歩いてもいい」と発言している。

    松本サリン事件の際に正しい捜査を行っていたのなら、地下鉄サリン
    事件の発生は防げたのではないだろうか。歴史に「もし」は禁物だが、
    そう考えずにはいられない。

    余談だが、事件発生当時、運輸大臣だった亀井静香氏は恩人の葬儀
    に向かう為の高速道路上で重大事件の発生を知った。急ぎ、東京に
    戻らなくてはならぬ。次の出口で一旦降りて、引き返すという
    運転手に、静香センセイは言い放つ。

    「それより、どこか空いているところ、この上でUターンできないのか!」

    無茶だろう、それは…。

  • p257
    運命なのだろうか。日本人は、放射能に対する医療データに初めて世界に与えた民族であるとともに、また多くの犠牲者を出して化学兵器に対する臨床データさえも世界で最初にもつことになった。非人間的で、大量破壊兵器として最も恐れられているNBC(核・生物・化学)兵器のうち、日本人は世界に先駆けて、実に二つもの洗礼を受けることになったのである。

  •  当時学生だった自分の下宿そばで、教祖が都知事選活動をしていた。そのころから怪しげな団体だとは思っていた。そして秋葉の教団運営のPCショップも数度行ったこともあった。やたらと安く、しかし1人の客に2人の店員がマークする、という怪しさ満点の店だった。事件当日は中野坂上駅を朝7時ごろに通過しており、その後の惨事発生を知り、びびった。
     ということで本書の存在は知りつつ、あんまし読みたくないなと感じたまま17年、ついに読んでしまった。事件後2年でここまで追い詰めたのか、そしてまだまだ不思議な状況も残っているのかと改めて感じた。著者の情報収集力に脱帽しつつ、つぶさに読み進めた。いやー何だったんだろうあれは、と今も思う。
     執筆時点で3名残っていた特別指名手配犯は、つい先ごろ、ついに皆捕まった。とにかくセンセーショナルな事件であり、この2ヶ月前に発生した阪神大震災とともに、95年は忘れえぬ年となった。

  • 10数年前に起きたある事件を題材にして取材したものです。

    極秘資料を入手したり、警察幹部からインタビューを
    とったりと非常に作者の情報入手経路が広範囲で、しかも深くまで
    食い込んでいるかが良くわかります。

    しかしながら、この事件・・・あえて出しませんが・・・は今になっても、
    ゾッとする事件です。
    (当時は確か大学くらいかなぁ・・・。)

    この事件について詳しく知りたい人はぜひ読むべき本ですね。

    私は事件について知りたかったというよりは、この作者の本が読みたかった
    口ですが・・・。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。小説デビュー作『宣戦布告』がベストセラーになり映画化。以後、『ZERO』『瀕死のライオン』『外事警察』『奪還』『特命』『銀色の霧』『QUEEN スカイマーシャル兼清涼真』など話題作を発表し続けている

「2022年 『トツ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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