浅草のおんな (文春文庫 い 26-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167546205

作品紹介・あらすじ

どうだい、世間も捨てたもんじゃねぇだろう三社祭、ほおずき市、隅田川の花火大会……。下町情緒あふれる浅草の小料理屋「志万田」を舞台に、市井の人々の悲喜交々を描く。

感想・レビュー・書評

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  • P334
    内縁の夫に先立たれ、女手一つで小料理屋を切り盛りする 浅草下町人情物語。

  • 大枠の概要は、浅草の風物と、小料理屋の女将「志万」を中心とした、慎ましくも誇り高く生きる人々の姿を描いた人情小説。
    道尾秀介氏の解説で「このような小説は、頭の中に物語がある作家には書けなく、心の中に物語がある人にしか書けない」という指摘が印象に残った。
    「人間って同じことをくり返しているようで実は少しずつ前に進んでるんじゃありませんかね」(P198)、「仕事のつき合いが長くなって、お互いが大事な立場になるとね、相手が馴染んでいる場所には足をむけないものなのさ。大切にしているものにはふれないってことだ。それが大人の男の礼儀だ。」(P321)の一節は示唆に富んでいると思う。

  • 年末から年始にかけて一気に読んだ。主人公である女将と常連客のやり取りが暖かくもさっぱりと小気味よいこと。季節感のある小料理屋の料理がいちいち美味しそうであること。こんなお店に通いたい。

  • ラストが薄くなったが、再読したい。

  • 【どうだい、世間も捨てたもんじゃねぇだろう】三社祭、ほおずき市、隅田川の花火大会……。下町情緒あふれる浅草の小料理屋「志万田」を舞台に、市井の人々の悲喜交々を描く。

  • おんなを囲む男達

  • 志万田に行ってみたくなります。
    年を重ねて、志万さんみたいになれたらいい

  • 解説の道尾さんも書かれていましたが、
    「いい小説」だなぁと思います
    読み始めて、少しして、
    これは志万という優しく賢く正直で素直な女のお話?
    と、ちょっと身構えてしまったのですが
    志万のどうしようもない女の気持ちもちゃんと書かれていて
    そして、人は間違えてしまうものなんだな
    後悔しながら、でも、それもわたしと認めて生きていくんだなと
    やさしい気持ちで、小説の中の人たちと一緒にすごした気分です
    「恩返しは恩を受けた人には返せないんだ。
     受けたものを違う人に返すんだって」
    「自分に本当につくしてくれた人の気持ちがわかった時には、
     その人はこの世にいない。それが世間の常である。」
    「人間の中にはいろんな自分が棲んでいて何かの拍子に思わぬ自分が顔を出す。」
    胸にぐっとくる言葉がたくさんありました
    いくつになっても、恋をしていきましょう
    大切にしてくれる、大切な人がいることは幸せで強い
    自分をきらいにならないで、生きていこう
    色々な気持ちが、心のなかで踊って歌って微笑んでいたようでした

  • 大人のおっさんが本気で書いた、いいおんな。周りを取り巻く人々もまた、飛び切り粋で格好がいい。小僧には勉強になりました。精進します!

  • ジャケ買いした気がする。
    もちろん伊集院静だったのもあるけれど。
    おいしそうな料理、いい感じの小料理屋、味のある人たち。
    行きつけが欲しくなる。
    要所要所で女ってバカだなって。
    だけど、かわいらしいなって。
    あんな風にすてきに年をとれるかしら。とりたいわ。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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