存在の美しい哀しみ (文春文庫 こ 29-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167542078

作品紹介・あらすじ

死の床に臥した母から異父兄の存在を知らされた榛名は、母が亡くなったのを機に、兄の住むプラハに向かった。榛名は妹であることを隠し、ガイドとして兄を雇って、初めての対面を果たす。-榛名、母、異父兄といくつもに視点を変えながら、家族の歴史と真の姿を万華鏡のように美しく描き出す、感動の長編。

感想・レビュー・書評

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  • 美しくロマンチックな家族の物語。共有できない時間を超えての結末。
    ごく微量だだけれど虚無的な諦めたような雰囲気をたたえた登場人物たち。ひせさしぶりに小池真理子ワールド堪能。しばし素敵な世界にたゆたいました。

  • ・激しい恋愛ものではなく静かに各人の内面を表している、今の私には秀逸の作品(2021/12/10)

  • 7年前に読んだ事になってたが、全く記憶なし。
    今はこんな静かで優しい話が一番好き

  • 人は秘密でできている、とも言えるし、同時に、開かれた部分から形作られるものもある、とも言える。

  • 男と女と夫と妻、親子 兄弟。

    解説に(人は秘密でできているのだ」とある

    第3章の、芳雄と奈緒子の話が好き

    聡と榛名が再会する場面は映画のようでとても美しい

  • あれ、小池真理子、だよね?
    変化したような気がした。
    今まで持っていた、硬質な美意識とか、孤高の激しさ、とかのイメージがいい意味で裏切られて。
    人はみな、複雑で多面的で、色んなものを内包しながは生きている。そんな豊かさとか、優しさとか、深みを増した切なさとか、ひとすじ縄ではいかないさまざまな感情とか。
    小池真理子、がもっと好きになった。

  • 【哀しくも美しい家族の物語】異父兄の存在を亡き母から知らされ、榛名は兄のいるプラハに向かう。そこで初めて知ったのは、両親の過去であり家族の真の姿だった。

  • 本屋で平積みになっているのに惹かれてジャケ買い。
    プラハだけで進む話だと予想したものの、短編集といった形で。

    個人的には「プラハ逍遥」「天空のアンナ」「ウィーン残照」だけでもいいんじゃないかと思っています。
    それぞれの話はとても美しく、主人公が皆哀しみを抱いて、それぞれがそういった感情から繋がっていて面白いんですが、一つにまとめる必要はあったのかな?と。

    また面白い点として父親は間接的にしか語られていません。父親はあくまでも影響を及ぼす存在ではあるが主人公ではありません。それが分かった上で再度読み直すのも面白いかと思いました。

  • ストーリーは別として、こういう話の構成は好き。
    榛名の母の人生をベースとしながら、かかわる人物の生き様含め、語られている。ここは要らないんじゃ?と感じる部分もあった。
    最後の異母兄妹の話で、あまりにきれいにまとまっている気もするが、映画を観ているようなウィーンでのシーンだった。
    ただタイトルの「存在の美しい哀しみ」が読後もピンと来ない感じがする。再読すればわかるのかな・・・。

  •  母、奈緒子から異父兄がいることを大人になって知らされた榛名。
     第1章「プラハ逍遥」は、母の死をきっかけに、兄、聡が住むプラハへ向う榛名が描かれている。

     そして続く第二章以降では、
     母―奈緒子、
     深田芳雄―奈緒子の同僚、
     玉岡知沙―榛名の父信彦の会社の女性、
     芹沢史恵―聡の継母、
     恵理―聡の異母妹、
     聡
     ・・・それぞれの視点でそれぞれの人生が綴られてゆく。視点―角度を変えることで全く違う景色が見えてくる。まるで万華鏡のよう。
     ただ、重大な当事者であるはずの二人の男(芹沢 喬、後藤信彦)の語りが欠落していることが残念。
     プラハ、そしてウィーンの街並みが美しく描かれています。

     第一章 プラハ逍遥 (榛名)
     第二章 天空のアンナ (奈緒子)
     第三章 我々は戦士だ (深田芳雄)
     第四章 ただの一度 (玉岡知沙)
     第五章 荘厳の日々 (史恵)
     第六章 片割れの月 (恵理)
     第七章 ウィーン残照 (聡)

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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