- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167535056
感想・レビュー・書評
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「インド」、「H」に続いて何を手に取るかということで選んだ本書。予想は的中、今のこのタイミングでこれを目にして大正解。非常に意味があった。
H少年が神戸での幼少期にレコードでリゴレットのアリアを初めて聴いたのに対比して、自身はずいぶんと歳を食ってからその曲がその作品にでてくることも知らぬままメトロポリタン歌劇場の観客席に座って聴いていた。彼からすれば「ふとどきもの!」と一喝されかねない状況であり、まったく順序を逆に舞台に触れている自分を思うと恥ずかしい限りであるが、それでいて彼の持論である「面白くなければ舞台じゃない。観客あっての舞台である。」というものには逆らっていないようにも感じられる。あとは開き直って、この本を読んだことが更に後押しとなって、これから一層のこのことこの街のあちこちの舞台へと足を運べるようになれること、そしてまんまと「騙されて」楽しんでくること、それが目下の目標として掲げることではないか! と、つくづく思う日曜の昼下がりであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
舞台作りに関わる人々の苦労や想いが伝わってくる。単に舞台を見て楽しむだけでなく、裏側の人々のことを考えて見ると、思い入れやおもしろみが増すのだろう。また、劇場建築について最後に少し言及されていた。単なる建築物ではなく、舞台のための劇場であることを忘れずにいてほしいと、舞台側の切実な想いが伝わってきた。
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いつもは「覗いた」なんだけど、今回は舞台という河童さんの本職の部分を扱うということで「語る」というタイトルになっているそうだ。
舞台の転換のしかけや大道具小道具が作られている現場、音響など、舞台のあらゆる部分が作られる様子を教えてくれていてとても面白かった。舞台を見てみたくなった。
河童さんの本職の部分について知るのは初めてだったけど、やっぱりそこでも河童さんの凝り性は変わらないみたいだ。
大道具さんへの細かい注文をお願いする手紙なんかも見れて面白かった。せつせつと凝らなくてはならない理由を述べながらお願いしてた。
一緒に働くと頼りになるし楽しそうだけど、妥協しないひとだから大変でもあるだろうなあと思った。
河童さんの本は面白いなあ。
古本屋でいくつかまだ読んでないやつを見かけたので買っておいた。そっちも楽しみだ。 -
もともと舞台美術家としてすばらしいと思っていた人の書いたものだし、またエッセイストとしてもこの人の書いたものはとても好きだったので、以前から読みたいと思っていたし、ページを開く時にはとてもワクワクした。で、読み終わって思うのだが、まさに期待以上である。
最初の方に書いてあるのだが、「演劇などはあまり見ない人には演劇に興味が持てるように、かなり知っている人でも初めて知る意外な知識があるように」といったリクエストで書かれたものだという。まさにその通りで、とっても興味深かった。筆者の本職である舞台美術については特に、何ともイラストと写真を文章を見比べながらため息をついてしまう。それだけではなく、さまざまな分野のエキスパートについて書かれた部分が、なんというかまさに夢のようなのである。
特に気持ちが惹かれたのは、舞台監督という仕事について書かれた部分だ。この仕事が、いわば裏方中の裏方、本当にすばらしいものだってことがよくわかる。それもこれも、筆者がまさに現場の人であり、たくさんの人たちの誠実と向かい合いながら仕事をしている人だからだろう。
なんかよくわからないけど、読み終わった瞬間に走り出したくなるような本だった。 -
妹尾河童さんって、舞台美術の方だったのか!緻密に描かれた図案は素晴らしく、そこに添えられた文章はキュートで面白い。
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舞台美術家による舞台裏案内。見えないところが面白い。