道路の決着 (文春文庫 い 17-16)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167431167

作品紹介・あらすじ

利権の聖域、日本道路公団の民営化に、民営化推進委員会委員として取り組んだ猪瀬直樹。本書は、『道路の権力 道路公団民営化の攻防一〇〇〇日』に続き、五年間にわたった戦後最大の改革の内幕を冷徹な筆致で描写した完結篇である。民営化は我々に何をもたらしたのか、その答えがここにある。田原総一朗氏との対論を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2008年(底本2006年)刊行。著者は道路公団民営化推進委員会委員。

     叙述における自賛が鼻につく点と、今、小泉政権下での道路公団問題の処理過程の内幕に注視する意味の乏しさはある。
     しかし、いわゆるファミリー企業の問題や天下りの問題は決して消滅したわけではないので、その一例として見るならば、本書自体に今なおの意味を持つかもしれない。

     なお、著者はこの改革の結果どの点が改善され、どの点が後退し、さらなる改善のためにはどういう変容が必要かについて、事後的な分析をする責任を感じる。これは他の公団民営化委員にも等しく妥当するだろうが…。


     また、この種の委員会は今後も作られるだろう。本書が暴くのは、その委員の意見が出身母体・ブレーンに左右されるということだ。例えば、JR出自の委員は高速道路料金の低廉化には相当抵抗を示したようだ。こういう委員の問題意識や閥(応援団)の影響を想定し炙り出すには不可欠の認識作業に思える。

  • 国家権力がいかに危ういかよくわかる。

  • 『道路の権力』に引き続き、この『道路の決着』も読了した。2002年から2005年に行われた道路公団民営化についての話だが、「その場しのぎ」の政治家や行政やマスコミの発言は、3.11後の電力会社をめぐるものとまったく同じ状況である。高コスト体質でも倒産することのない道路公団の構図は、そのまま電力会社に当てはまる。電力問題の解決のヒントが本書の中に、あふれていると思う。

  • 著者のようなある種奇特な人間がいなかったら?と思うと怖い。
    官僚の自己増殖の能力にはホント驚かされる。
    しかし、最近は高速道路のサービスエリアの飯は旨いところが増えたな・・

  • 松本図書館にあり

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著者プロフィール

猪瀬直樹
一九四六年長野県生まれ。作家。八七年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。九六年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。二〇〇二年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。〇七年、東京都副知事に任命される。一二年、東京都知事に就任。一三年、辞任。一五年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全一二巻、電子版全一六巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』『昭和23年冬の暗号』など。二〇二二年から参議院議員。

「2023年 『太陽の男 石原慎太郎伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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