吾輩は猫である (文春文庫 な 31-3 現代日本文学館)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167158057

作品紹介・あらすじ

苦沙弥先生の書斎に今日も集うのは、迷亭、寒月、三平ら、太平の逸民たち。人間どもの珍妙なやりとりを、猫は黙って聞いている。滑稽かつ冗舌な文体と痛烈な文明批評。発表当時から「とにかく変っている」という折り紙がついた、夏目漱石の処女小説。読んで笑うもよし、首をかしげるもよし、深く考えるもよし。

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが知っているフレーズて始まる、漱石の処女作。
    猫の飼い主は恐らくは漱石自身であり、それをネコ目線で批判したり、またネコを借りて自己の世評、思考を書き記しており未だ斬新な小説と思う。猫の飼い主、珍野苦沙弥(笑)は偏屈な人として描かれているが迷亭、寒月、東風を中心とした人物たちが訪問しては楽しく、知的な会話を繰り広げるところが楽しい。また、奥方をはじめとした珍野一家の描かれ方も家族の有り様として興味を持って読んだ。寒月の嫁やバイオリン、銭湯、泥棒等、様々なエピソードを、日常生活で使いたくなるようなとてもユーモアある文体で描かれていて楽しい。古い小説であるがゆえ、少々理解に苦しむ書き方や、強烈な差別用語、時折日露戦争中と感じさせる文が見受けられます。淡々とした猫の語り口は、そのまま落語の台本になりそうです。森見登美彦の文体を思い出しました。勿論こちらが元祖ですが。
    本筋から大きく脱線していく箇所も多々あり、また、長編でもあるので、少々読みにくく万人にはお勧めできないが、読んで損はないと思います。

  • 夏目漱石の処女作。
    自分を猫に置くことによって自己批評と、世の中の人が行う出来事に辛辣な批判を愉快に行っていた。また、禅や西洋文学の膨大な知識と芸術性には圧倒された。
    この大きな尊敬の基礎には、クシャミ君の間抜けな化粧を施すことで、笑得る程の脱力感を感じさせられ、小説を読んでいて声を出して笑うのは初めての経験だった。
    いちいち中国の古い言葉を用いるのは、意味を調べるのが面倒だった。
    クシャミ先生と寒月君、迷亭のコンビは凄い面白い。迷亭の気楽で愉快な話しも、仙月君の禅のうさんくさくも人間味もある人物には長い時間楽しませてもらえた。
    最後に猫が水の張った竃でもがく事を諦め南無阿弥陀仏したところは本当に深く、合理的な所に今生から未来に渡っての恐ろしさと悲しさを感じた。寒月、迷亭、仙月、三平、東風君らの邂逅には崇高な出来事へのありがたみ、厳かな祭りの予感と波乱万丈があった。

  • ようやく読んだ。
    漱石は好きだが、デビュー作を読んでいないと気づいて読んでみた。
    とにかく、字がびっしり。
    読んでは止まりを繰り返し、たまに息抜きと称して別の本に手を出し、やっと読み終えた。
    つまらないわけでは決してない。
    主人と細君のケンカ、迷亭の冗談に始まり、詩人は逆上をインスピレーションと称して勿体ぶっているとか、学者作家は頭を使う上に貧乏だから栄養不足で禿げているとか、寒月君のバイオリン購入談など、ものすごく面白い。
    ただ、読むには時間がかかった。

  • 青空文庫で読んだ。
    書き出しは有名だが、中身はだらだらしていて面白いとは思えなかった。
    明治時代の人々の暮らしぶりとかが垣間見えて良かったかと。
    あと、最後の人生論的なのが面白かった。

  • 「吾輩は猫である。名前はまだ無い」
    というフレーズだけが独り歩きしてる感のある本作ですが、
    実はけっこう読み応えのある作品です。

  • 読んだことないな、と思い立ち読んでみた。

    皮肉やユーモアが満載に詰まってるのに、ラストに向けて切なくなっていくのがなんとももの悲しいかな。

  • 一度長過ぎて挫折しましたが、夏にまとまった時間があったので読み直しました。猫目線で人間社会を少し皮肉った描写が癖になります。中間あたりでまた読むのに疲れてしまいましたが、後半にかけては楽しく読むことができました。ありがたやありがたや笑

  • 途中までおもしろかったんだけど、あまりの長さに挫折、、、。もうちょっと時間が経ってからまた読んでみます。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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