- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166613649
感想・レビュー・書評
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演劇研究者によるドリフターズの本格評伝。各メンバーの生い立ちから、結成過程、『全員集合』を経て、志村けんの死去までが綿密に綴られている。この際に、疎開、進駐軍とその撤退、集団就職、編集の進歩といったメンバーを取り巻く社会や技術が与えた影響に目配りされているのも特徴。そして本書全体を通じて、いかりや長介と志村がどのような喜劇思想を抱いていたのか、その舞台美術や観客との関係にはどのような特徴があるのか、これらは近代演劇史においてどう位置付けられるのかも、説得的に明らかにされている。
筆者が指摘するように、『全員集合』はあくまでも舞台の生中継であった。テレビ芸ではなく舞台演劇の歴史のなかでドリフターズを捉える本書の視点はとても効果的であり、それゆえにドリフターズのみならず「その時代」が熱気とともに描かれている。 -
まず、この本を読んでいる最中に仲本工事さんが亡くなってしまった…本当に残念です。ご冥福をお祈り致します。
私は世代的に全員集合の記憶はほとんど無く、ドリフ大爆笑やカトケン、だいじょぶだぁ世代
とにかく、ドリフのコントが大好きでよく観ていました。そんな感じでドリフターズは大好きなコントグループなので、その歴史がまとめられた本作はとても興味深い内容でした
特に、ドリフターズの結成までの奇跡的な系譜、全員集合時代の出来事は凄まじさは知らないことだらけで驚きの連続でした
後半はそれぞれのソロ活動に関すること、その中でも志村けんさんといかりや長介さんの対立、和解、長介さんの死、志村さんの晩年、最後の喜劇王と言われる所以についてもわかりやすくまとめられていました
ドリフファン必読です -
前書きの通り、日本芸能、お笑い、TV史に燦然と輝くドリフターズなのに語られる本がほとんどなかった。
再現ドラマ等もいくつか出てきているので知っている話もあったけれど著者のドリフターズ愛が伝わってくる好著 -
ドリフターズの誕生から現在までを、社会の流れと合わせて綴った内容は、壮大なドラマを感じさせて読み応え抜群。特にクレイジーキャッツと比して、ドリフが高度経済成長期の影の部分を背負っていたという指摘は目から鱗。だからこそドリフは今でも愛されるんだな。
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土曜日夜8時。
一家に一台しか無いTVの前に座り、
いかりやさんの「おいーっす!」の掛け声にわくわくしながら舞台の始まりを待った。
まだ小さな頃なのであまり鮮明な記憶は残っていないが、
それでも全員集合!は大好きな番組だった。
当時の私が観ていた彼らは、この本によると既に円熟期に入っていたのだという。
昭和史に沿ってドリフターズの歴史を読み進めていくと、
初めて知った事がたくさんあったし、解説も考察もとても興味深かった。
元々はコミックバンドで、志村さん以外はバンドマンの系譜を引いているのだとか。
冒頭やエンディングの歌とか、コントのオチからの舞台セットの移動時の音楽とか、
言われてみればドリフを思い出すときには常に音楽が共に鳴っている。
クレイジーキャッツが高度経済成長期の光なら
ドリフターズは光り輝く成長期に取り残されたノスタルジックな影。
だから、どのコントもギラギラしていなくて、泥臭くて、暖かかったんだろうな。
いかりやさんら4人と志村さんのコントのリズムの違いの背景には刻む音楽のビートの(時代の)違いがあると書かれているのを読んで、全員集合晩年以降、ドリフ大爆笑に感じた漠然とした両者の違和感へのモヤモヤが多少解消された感じがする。
本の中で最も胸にストンと落ちたのは、
「ドリフは、マスマーケティング時代の笑いであり、高度消費社会の到来と共に、笑いもターゲットマーケティングへ移行していく。」という一文だった。
その頃から、ビートたけしや明石家さんま、ダウンタウンといった面々が時代を席捲していく。
個が大切にされる現代となっては、ドリフターズのようなメンバーやコントが新しく出てくることはないのだろうし、仮に現れたとしても需要があるかどうかもわからない。
だからこそ、もう戻ってくることがないであろう、
家族そろってブラウン管越しにドリフのコントを観ていたあの頃が
とてつもなく懐かしく切なくなるのかもしれない。 -
誰もが知るドリフターズの笑いは分かりやすか
ったですね。
当時は眉をひそめる大人もいましたが、今から
考えるとカワイイものでした。
これほど日本中を笑いの渦に巻き込んだドリフ
ですが、その歴史を振り返った本は少ないので
す。
著者はこの本では「ドリフの語りにくさ」を前
書きで語っています。
その理由は、初期の頃からマンネリを言われ、
子供相手に大いに受けた笑いは、わかりやすい
が故に、それ以上の解釈を必要とされなかった
からでは、と考察しています。
しかしドリフは今も連綿と続く「お笑いの歴史」
を作ってきたのです。
あのドタバタギャグの裏には、こんなに苦難に
満ちた歴史があったことに驚かされます。
これほどまでに多くの国民が共有した演劇は、
歴史上に他にはないと言われるドリフターズ。
その全てを知ることができる一冊です。 -
面白い。確かにドリフの歴史を追っていけば、
そのまま日本の喜劇の歴史になります。
私はやっぱり
「いっちょめ、いっちょめ、わおー!」
が最高ですね笑 -
本書も、手にとっては戻し手を何度か繰り返し、その間に複数回の書評採択を目にするにつけ、最終的に読んでみたくなったものの一。結果、これは読んで良かった。破天荒を好まない家庭に育ったこともあり、幼少時にTVで見たのは、もっぱらドリフ系の番組。本書を読んで改めて感じたのは、ドリフの目線が全世代に向けられていたという事実。思春期以降の学生時代、コアな方向に気が向いて、ドリフからも興味が薄れていった訳だけど、たまたまか、ちょうどそれがドリフの凋落と軌を一にする。あくまでコミック・バンド、というのもなるほどって感じで、そういえば確かに、先だって読んだ”1989年~”でも、ドリフのことはあまり取り上げられていなかった。志村けんの訃報に触れた際、思いのほかうろたえている自分に驚いたんだけど、沁みついた記憶に基づく部分が大きかったんだな、きっと。そして、本書最終章に涙しそうになる。
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昭和芸能史をドリフを通して理解できる本です。