- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166613618
作品紹介・あらすじ
性差別のない21世紀を実現するために。
フェミニズムを様々なトピックで学ぶ必携の一冊!
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女性たちが日以上生活の中で、「あれ?」と疑問に思うこと、
何気ない言葉や行為に抵抗を覚えること。
それはフェミニズムのきっかけになります。
「私が我慢すれば」と抑えこんでいた怒りや不満を、
いつかどこかにぶつけたくなるかもしれません。
でも、誰に、どうやってぶつけたらいいのか?
それを考えるためのヒントをくれるのが、フェミニズムです。
エッセンシャルワーカーとケア
オリンピックとセクシズム
インターセクショナリティ
Black Lives Matter
性と身体
中絶と性暴力
LGBTQ∔
#MeToo
フェミニズムの視点を身に着ければ、世界の見え方が変わる!
フェミニズムの歴史を読み解き、
物事を一歩引いて眺める視点を与えてくれる一冊
――芥川賞作家・李琴峰推薦
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感想・レビュー・書評
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私は自分自身が女性でありながら、フェミニズムについてよく知らなかった。
父親から「女らしさ」を求められること、政治家の発言やCMなどで女性軽視・蔑視表現が度々炎上していること、過去の歴史の中で女性は道具のように扱われていたことなど、個人または社会の中で起きる出来事を断片的に経験したり目撃したりすることはあっても、それらが全て繋がっていることだと考えたことはあまりなかった。
この本でフェミニズムについて知ることで、そういった私に見えていなかった私を取り巻く状況を少し知ることができた。
また、フェミニズムは女性にとっての問題というだけでなく、多様性とは何か、個人の幸せとは何かを考えることにも繋がっていて、私の生き方を俯瞰して考えるきっかけになった。
・フェミニズムが変えようとしているのは個人ではなく社会
・多様な人が一緒にいることができる「場」を作ることが必要
・誰もが「ケア」を受けている。必要な依存と自立がある
・性をセックス、ジェンダー、セクシュアリティの三つの視点で分けて考える -
フェミニズムについての本は最近色々とあると思うが、その中でも体系的にかつ分かりやすく、フェミニズムを学ぶ際の入口として最適な一冊だと感じた。
これまでのフェミニズムの歴史を踏まえ、女性の権利向上や婚姻、出産、性教育に留まらず、人種や経済格差、コロナ禍で見えてきたケア労働の課題など様々な領域に渡って触れており、現状の把握と今後の社会や生き方について考えるきっかけを与えてくれる。
特に自立と依存をめぐる固定観念は一度立ち止まって考えてみなければ、今後さらに高齢化の進む社会で生きづらさばかりが増してしまうのではないかと危惧している。これまで経済的自立が優先されてきたことで、経済活動に参加していない、あるいはできない人たちは価値が低いと見なされてきた。その現状を変えるにはフェミニストが歩んできた道を知り、その道が途切れないよう声を上げ社会に働きかけることを続けるしかない。
少なくとも継続的に学び、自分の考えを顧みて、他者との違いを受け止めていく努力はしていきたいと思った。
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「フェミニズムとは女性たちの尊厳や権利や安全を軽んじる文化を変革し、女性たちの生の可能性を広げようとするもの」という言葉だけでも励まされた気持ちになる。女性たちの生が多様であるために、具体的に何をするのかということになるとフェミニストたちの意見は簡単に一致しないが、この本ではひとつの正解を提示することは目的とせず、これまでの主張や行動について紹介している。さまざまなトピックについてわかりやすく書かれているので、これまでに聞き齧ったことを整理して考えることができた。特に興味深かったのはスポーツにおけるセクシズムについての対談。スポーツにおけるジェンダーの問題は根深いということがわかった。
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フェミニズムに関して体系的かつ網羅的にまとめられていて、とっても読みやすい。誰もが学びの一歩として手に取れると感じる。学んできたことの整理としても、新しい視点を取り入れるものとしてもすごく良い。
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自分もたまに何がなんだかよく分からなくなってしまうから、教科書的な感じでたくさん重要なことが書いてあって学びになったし血となり肉となった
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現時点でのフェミニズムを学ぶのに最もバランスが取れた理解しやすい書であった。
最後の対談の中にあるが、「様々なマイノリティの人たち、とりわけマイノリティ女性たちが、そのような歴史を通じてそれぞれの文脈の中でフェミニズムを読み解き、自分たちが生きていく空間を広げると同時に、フェミニズムそれ自体を刷新し押し広げてきた」とフェミニズムの概念の流れを分かりやすく説明されている。個人的にはケア労働の問題、教育の問題、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツと中絶の問題がが優生保護法との関係で理解が深まった。 -
男性ですが、フェミニズムに興味を持ち、リサーチして本を選びこの本で言うフェミニズム第二波の米国女性の本をまず読んでみました。ですが、翻訳と言うことも時代背景もかなり違う事もあるのか、テーマが大きすぎ捉えきれませんでした。そこにふと、本屋で見かけたフェミニズムという文字に導かれこの本を手に取りました。各世代のフェミニズムが整理されて、自力でもやもやしていたことがクリアに見えてくるのが痛快でした。当たり前ですが、なるべく近い環境で現行で研究されている専門家を探すことが理解への近道と言うことを思い知りました。勿論、フェミニズムと言うテーマには終わりなどあるわけで無く、こういった視点で議論や改善が行われる事がフェミニズムなんだと言う気づきを得られる良書と感じました。どんな人にも、無関係でないこの話、読みやすくイメージの湧きやすい事例も豊富です。
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【なぜ読んだか】
「フェミニズム」という考え方にTwitterを通じて数年前に初めて触れた。その後ネットニュースやコメントを見てその観点から論じる、批判する人の「都合よさ」を感じており、「女性の生をよくするためには手段を選ばない」嫌悪感があった。しかし同時にそんな理解でいる自分に危うさを覚えており、本当に嫌うべき考え方なのか、きちんと理解しておきたいと考えたため。
【感想】
フェミニズムについての理解を「女性の生の可能性の拡大を求める思想や営み」と改めた。
第一波、二波、三波と男性優位の社会に異を唱え、権利を獲得してきた歴史を知り、嫌悪感は無くなった。
私が嫌悪感を覚えたネット上でのフェミニズム的発信は、本書の中で「短絡的」で無理な「単純化」をしており、建設的でなく、無益だと断じていた。
主題をフェミニズムに置きつつ、性と生殖について、セックスワーク、結婚の不都合な真実、アメリカでホットになっている中絶など社会的に議論が必要な内容についても述べられており、自分の考え方や固定概念を解きほぐし、哲学的な思索に導く良書だと思う。
フェミニズムにもいろんな立場があり、1つのフェミニズムの意見をフェミニズムを代表していると考えず、多様な立場がいるのだと考えることにする。
分厚い本ではないが、腰を据えて読まなければ右から左へ抜けていってしまうような少し難解な本で読み応えがあった。興味深く、満足。読んで良かった。
【マイナス点】
中絶のところで愛知県の20歳女性が中絶に配偶者の同意が必要だったのに、男性が逃げたため手術できず、公園のトイレで産んで遺棄した事件について、日本の制度を批判し、女性の権利侵害について批判されていたが、調べたところ厚労省から未婚の場合は同意書は不要と見解が示されていた。この批判は的外れだと思う。
https://bit.ly/3GmCIhF
h...
https://www.vogue.co.jp/change/article/feminism-lesson-vol20
https://wan.or.jp/article/show/10085#gsc.tab=0