東大生と語り尽くした6時間 立花隆の最終講義 (文春新書 1335)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166613359

作品紹介・あらすじ

2021年4月に亡くなった「知の巨人」立花隆さんは90年代後半から、母校・東京大学のゼミ(立花ゼミ)で講義をおこなっていました。
その最終回となったのが、2010年に20歳前後の若者たちに向けて語ったものです。
古稀を迎えた立花さんの話は「自身の20歳の頃」「宗教」「スーパーコンピュータ」「デカルト」「世界史」「世界情勢」など多岐にわたり、午後3時にスタートした講義は午後9時すぎまで続きました。
本書は、この「立花流白熱教室」をまとめたものになります。
「いかに死と向き合うか」など中年・壮年世代にとっても「人生の指針」となる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 立花隆は21年4月に逝去。享年80歳。タイトルに最終講義とあるが、死期迫るタイミングでの著作。死についても心情を吐露するが、弱音を吐かない所は本音なのかよく分からない。あとがきに編集者。もう一度お目にかかってお礼が言いたいと。人間の知の力とは何なのかと、知の巨人に思う。好きなところに出かけ気になる事を掘り下げる立花イズム。死はこれまでの経験から想定される範囲の出来事として始まり、終わるはずだと。

    死について。好奇心との向き合い方。考えることについて。本は100冊読んで初めて1冊簡単な書を書けるが、読むに値する本を1冊書くには1000冊は読む必要がある。剽窃を防ぐにも既存の知識を把握する必要があるが、それでも無意識に他人の言説は刷り込まれているものであり、完全オリジナルな発想など難しい。ここに立花隆による読書の本質が語られている。知の範囲を広げ、好きな所に出かけていくのだろう。

    人間が理解できるのは人間が作ったものだけだ。つまり社会や神話や文学といった、人間が関わることによって生まれたものだけだとデカルトの発言を引く。重ねて、本当の形而上学と言うのは人間が作ったものを通じて真理に辿り着こうとする営みだとヴィーコの言説を被せる。自然秩序のみならず、人間本性を介することで神を観想するという考察に達する。自然世界。人間の観念世界。そして、人間の観念が具現化した人工世界。

    死者と向き合い、対話ができるという読書の醍醐味をリアルに味わいながらページを捲る。日頃、著者の存否など意識しないし、同時代人というには年齢も違い過ぎるが、立花隆に関してはあまりにも身近な死。合掌。

  • 科学の部分はちんぷんかんやったけど、地理・歴史の部分は「なるほど」と納得できたので、20代の頃に立花隆さんのおっしゃることが理解できてたら、今頃こんな世界にはいないやろなとしみじみ…

  • 立花隆の本は、実はあまり読んだことがないのですが、この本を読んで、彼が知の巨人と言われた理由が少しわかった気がします。
    たとえば、単に知識があるだけでなく、様々な言語に通じており、いろんな言語を通じて知識を得てきたことや、世界の動きについても、人から見聞きしたのではなく、実際に現場で見てきていることなど、できるだけ、出どころに近い情報を得ようとし続けた姿勢が、彼の知の確かさを支えているように思いました。

    この本は、「東大生と語り尽くした6時間」とあるように、若い人たちに向けた語りであり、どのような知を、どういう心構えで身に付けていけばよいかを、著者自身の経験を踏まえて語っています。

    個人的には、中身もさることながら、「注」が秀逸だと思いました。
    非常にコンパクトにまとまっていて、ここを読むだけでも勉強になると思います。

  • S図書館
    ブクログきっかけ
    2010年6月に文藝春秋で立花ゼミ生に向けて行った6時間の講義録
    それを文系内容は文系の学生、理系内容は理系の学生が文字起こし→提出→立花氏加筆→まとめの繰り返し→「二十歳の君へ」出版
    章の終わりの注釈は、学生による力作だという(わかりやすい!)

    博覧強記の立花氏
    理系分野にも精通し、様々な分野の内容だった
    特に3章が富んだ内容になっていた
    難しかったので興味ある部分だけ読んだ

    第1章 序
    35大学に入学した時と卒業する時とで、脳はほとんど別人のものかと見紛うほど変化を遂げるはずです
    二十歳前後は脳の大変化は二度と会うことはない
    次に大きく変わるのは、60代すぎて脳の退化現象がみられるようになってから
    物事の見方、考え方のパラダイムシフト的大変革を成し遂げる人生最大のチャンスは今だということです

    第2章 死
    57.1969年出版 「死ぬ瞬間」エリザベス・キューブラー=ロス著者
    人は自分の死が不可避だと分かった時、まず示すのは「心理的ショック」
    次に「否定(そんなことはないだろう)」に変わり、それから「怒り(なぜ自分が死ななければならないのか)」になる
    それに次いで「 神あるいは運との心理的取引」になり、次いでそれがだめとわかると、「躁鬱状態」に落ち込む
    それが続いた後やっと死を受け入れる心境になる「受容」の時期が来ると分析

    主な内容
    第1章 序 20才の君へ
    第2章 死 自分の病歴
    第3章 顧 1960年を振り返る、問題の問題、ドストエフスキー
    第4章 進 種の起源、私の頭脳
    第5章 考 ヴィーコ、デカルト
    第6章 疑 神聖ローマ、地政学

  • 著者は、1000冊の本を読んで初めて読むに堪える本が1冊書けると述べています。 
    僕も自分が読みたいと思った本を読みつづけ1000冊を必ず読破したいと思います。
    その集大成として何か一冊を書き上げたいです。

  • 序盤は、若者向けのメッセージとかあって、タメになったけど、後半はもういろんな分野をあっちこっち言ってて、結局何言いたいのかわからなかった。
    ただ、興味のあるものには手を出す、っていうスタンスは学びたい。

  • 非常に読みやすいけど、博識ぶりは驚異。

  • 言葉、言語。母国語も怪しい。大日本語シソーラス買おう。
    言葉で全てが表現できるわけではないけれども。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 立花さんの思想のほんの一角を垣間見せる案内本みたいな印象。自分としては文学と哲学部分が難しかったです。立花さんのエネルギーには圧倒されます。学生時代にちょっとでもこういう刺激に出会えていたらもう少しまともになっていたかも。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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