歴史を活かす力 人生に役立つ80のQ&A (文春新書 1291)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612918

作品紹介・あらすじ

Q なぜ歴史を学ぶのですか
A 最適解にたどり着くヒントになるからです。

歴史を人生の指針にした来た著者による、
面白くて役立つ一問一答形式の歴史読み物。


・信長、秀吉、家康 一番「楽勝の上司」は信長だ!
・技術移転、経済成長は蘇我氏に学べ
・鎖国政策ほど愚かな政策はなかった
・素晴らしいリーダーは、優れたグランドデザインを描ける
・日本人にもっと知ってもらいたい最強のリーダー・ハンニバル
・外国人人材を上手く活用してきた日本
・スピード感とセンス、英エリザベス女王の決断力を見習え
・ローマ、モンゴル大帝国は環境問題で滅びた     ほか


上司との関係に悩んだとき、仕事で判断に迷ったとき、人生で大失敗したとき……
ピンチの時こそ歴史を使って乗り越えろ!

自身が学長を務める大学の新型コロナウイルス対策でも、歴史の教訓を活かす。
いま最も歴史を「使う」ことに定評のある著者による実戦的歴史本の登場です。

感想・レビュー・書評

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  • もしも私が、学生時代の私のような落ちこぼれの人から
    「歴史の本を読んでみたいんだけど、お薦めは?」
    と聞かれたら
    「出口さん!」と答えます。
    (歴史への入口そして落ちこぼれからの出口)

    理由は次の三つ。
    1.面白いから
    2.わかりやすいから
    3.最新情報をちゃんと取り入れつつ
    奇をてらったガセネタに振り回されないから

    昨夏まで約一年間「文藝春秋digital」で連載された
    「腹落ちする超・歴史講義」を大幅加筆再構成されたこの本では
    Q&A方式をとっているので、ある意味出口さんの独断と偏見かもしれません。
    だからなお一層面白いのです。
    たとえば…

    〈Qかつては世界の覇権国家だった連合王国(イギリス)の歴史で
    最大の失敗といえばなんでしょうか?
    A連合王国の最大の失敗といえば、2020年1月のEU離脱(ブレグジット)でしょう。これにまさる失敗はほかにはないと思います。〉

    〈Q世界のスタンダードとなるために必要な要素はありますか?
    A歴史に登場する大帝国や覇権国家には、
    いくつかの共通点があります。
    ダイバーシティの尊重、身分にとらわれない実力主義、
    新しい技術の導入などですね。
    しかし最大のポイントは、合理的でシンプルなグランドデザインを生み出したか(描けるリーダーがいたか)どうかです。〉

    〈Qローマ帝国は、三世紀までキリスト教を迫害していたのに、
    四世紀の終わりには大転換をして国教に定めました。
    キリスト教への評価が100年ほどで真逆になった理由は
    何でしょうか?
    Aキリスト教が台頭した主な理由は、三つほどあります。
    みんながわかる言葉で布教したこと
    他の宗教から人気のキャラクターやアイテムを積極的に借りてきたこと
    そして教会組織が情報ネットワークを構築していたことです。〉

    三つだけ簡単に紹介しましたが、実際これに面白い解説がついたものが80個もあります。
    私の人生に役立つかどうかはわかりませんが…。

  • 「歴史」をなぜ学ぶのか?その訳を出口さんは「はじめに」で書かれている。

    冒頭、「未来に何が起こるかは、本当にわからないものです。」と述べ、そういう不測の事態が起こったときの対処を歴史から学べと言われている。

    確かに現在のコロナ禍に関しても、世界中がパニックに陥っているが、過去のペスト等の感染拡大の歴史から学び、対策をとられていることがほとんどである。地震等の災害についても、過去の経験に基づく教訓が生かされることが多いというのも事実である。

    本書は、「文藝春秋digital」の連載をまとめたもののようで、「マネー」「失敗」「リーダー」「大逆転」「女性」「宗教」「戦争」「ライフスタイル」「アメリカ」「日本と世界」という10個の大きなテーマ設定に基づき、その読者や編集者からの80の疑問に、著者が過去の歴史の事例を引っ張ってきて答えている。

    日本史のみならず世界史についても博識の著者であるので、様々な角度からの質問に、たくさんの著者の引き出しから最適解を導き出しているという感じだ。

    「なぜ劉邦は項羽に勝てたのですか?」というように、一つの歴史的事実に対する疑問に答えたものもあれば、アメリカの章では「ナンバー1大統領とワースト1大統領を教えてください」というように、著者の考えを直接問うようなものもある。

    前者のような質問については、現状確認できる史実に基づき、著者がもっとも合理的と考える答えを述べている。誰もがある程度「やっぱり、そうだよね」と納得できそうな答えが示されている。

    しかし後者のような質問には、著者は個人的見解でしか答えようがない。この質問の著者の答えは、ナンバー1がフランクリン・ルーズベルトで、ワースト1がドナルド・トランプだったが、これはある意味著者の個人的見解ではあると思う。しかし、それでもその理由が明快であって、なんとなくその答えが普遍的なものに見えてきたりする。

    著者は、答えを出すときに、幾つもの引き出しの中から最適な歴史的事例を選択し、例示してくれる。その選択のセンスが著者の博識に裏付けられたものであり、述べられた根拠の解説なども、極めて合理的なストーリーで展開されているように感じる。

    80項目の質問に対する回答は、一見、固定的な側面での答えのように見えて、実は著者の幾つもの分析の結果から選ばれた合理的な最適解が示されていると思う。なので、読者として合意できる答えには納得性があるし、合意できないなと感じても、考え方がとても参考になる。ちょっと答えがダイレクト過ぎて、テストの「傾向と対策」的な解説であり、微妙に味気なさを感じるのは私の個人的なものかも知れない。

    総じて本書をトリガとして、気になる人物はさらに深読みするなどしていけば、ビジネスや人生での応用に役立てられるように思う。

  • 具体的な解説があって分かりやすいです。

  • 純粋に歴史を学ぶための本ではなく、問題解決の方法や先例を歴史に求めた本、というべきで、だからこそ「歴史を活かす力」といったタイトルが付けられている。

    歴史本は出口さんの本も含めて色々読んできたが、それでもまだ知らないことの方が多かった。また、私自身では問題解決の際、歴史と解決方法をうまく結びつけられていない、ということも感じさせる内容であった。

    総じて私自身はまだまだ歴史を活かすレベルまでには到達しておらず、まだまだこれから、という気づきを得られたこともこの本を読んだメリットの一つである。

    また、この本の隠れたテーマは「リーダーシップ」である。歴史に名を刻むリーダーが、どのような場面でどのような決断をしたのか、その背景は何であるか、といったところが丹念に書かれており、なるほど腹落ちできるところも多かったので、心に刻んでおこうとおもう。

  • さすが出口せんせ、私のようなバカチンを諭すように非常に分かり易い説明で、しかも私の古い歴史認識をいくつかアップデートしていただき、もう少しでしたり顔で人前で誤った歴史を語るメンドクセーオッサンになる所でした。本当にありがとうございます。

    私の好きな言葉『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』が有りますが、まさにそれですね。このQ&Aを読んで改めて歴史を学ぶ、歴史を楽しむ必要を再確認させられました。

    所謂ブラック企業の経営者の方、ぜひこれを読んでいただき、大声での朝礼を止めて、経営者の経験全てで物事を判断する事も止めて、素晴らしい会社に仕立て上げて下さい。

  •  今年を振り返ると、出口治明氏の本をはじめ歴史の本をよく読んだ年だった。塩野七生のローマ人の物語から始まり、司馬遼太郎、井沢元彦、半藤一利、そして出口治明。
     歴史を様々な角度から眺めることができたので、とても良かったです。従来は井沢元彦の本が中心だったので少し一面的だった。コロナ禍に入ってすぐに塩野七生のローマ人の物語を読み始めたのが良かった。他の時なら最後まで行けたかどうか分からない。
     最後に出口治明氏の本を読むと整理されるのだ。やはり大作家の本を読むべきですね。

  • 雑学+アルファの域を出ないが面白い
    歴史に興味が湧く
    シナ人が各国に住みついているのは清の時代にイングランドが植民地に労働者として雇ったため

  • 歴史の教養をつけたいと思って読んだ本(日経ウーマンの教養本で紹介されてた)。
    過去に中国人の友達に兄弟はいるの?と聞いて、「いないよ。一人っ子政策だったからね」と言われて、恥ずかしかったので。

    何度か海外旅行に行って、どこでも中華料理は食べれるなと思ってた。この本を読んで、清の時代に連合王国に労働者として世界各地に連れて行かれたことと、火力革命による調理法のおかげで中華料理が世界のどこでも食べられるとわかった。
    たくさん初めて学ぶことがあったけどなぜかこのエピソードが一番印象に残った。自分が当たり前だと思って何も感じてないことにも歴史があってそれを知る、学ぶって面白いなぁと思ったからかな。

    学生時代は暗記科目で苦痛だった歴史が、ああ〜面白い、ドラマだなと思った。

  • 学生の頃は世界史よりも日本史が好きだった。社会人になってからは日本史というよりも時代小説が好きで、司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」は幾度となく読んでは感動していた。また、テレビ番組はあまり見ない方だが、NHKの「歴史ヒストリア」は大好きで良く見るし、旅行に行くと城を見たり神社を訪れたりしてその土地の歴史を知るのも楽しい。歴史に学ぶというよりは、歴史を物語の一つとして楽しんでいるという感じだろう。

    日本史や世界史という言葉を聞くと、ついつい試験のための暗記を思い出してしまい苦手意識が先に立つ。書籍を読むのは大好きで苦ではないのだが、「学問」となってしまうとページをめくる手が遅くなるのは基本的に勉強嫌いだからだろう。しかし、社会人になって仕事をするようになると、過去の先輩方が行った仕事の資料を読んで学び、同じような仕事が発生した時にはそれに倣って仕事を進めるようになる。時には以前のやり方を見直してより効率的に行う方法を考えてみたり、場合によってはパソコンを使って電子化したりと過去のやり方から学んでさらに改良するということなどを日常的に行っている。

    これこそ「歴史に学ぶ」ということと同じなのだが、そういったことを学生時代に気づかなかったのは非常に残念ことだなと今更ながらそう感じる。

    出口治明さんが書かれた「 歴史を活かす力 人生に役立つ80のQ&A (文春新書)」は、書名の通り過去に起きた歴史的な出来事や歴史上の人物に学び、それを仕事や人生にに活かそうという一冊だ。

    出口さんは京都大学卒業後に日本生命相互会社に入社し、国際業務部長などを経て2000年に退社されたが、その後、ライフネット企画株式会社を設立し、ご自身が60才の時にライフネット生命保険株式会社と社名を改名し社長に就任された。社長を退いてからは公募で立命館APU学長に就任するという、還暦を過ぎてから異例の職歴を重ねられた方で歴史に関しても卓越した知識をお持ちだ。 私は出口さんのお話をNHKの「最後の講義」というテレビ番組で拝聴し、その語り口や内容にグイグイと引き込まれて感銘を受け、出口さんの著書を拝読するようになった。

    今回拝読したこの一冊は、日本史も世界史も交えてさまざまな出来事や人物に焦点をあてており、歴史的な出来事や人物の行動などを「マネー」「失敗」「リーダー」「大逆転」「女性」「宗教」「戦争」「ライフスタイル」「アメリカ」「日本と世界」という10のテーマに分類し、一問一答形式で歴史の内容やそれをテーマに当てはめるとどうなるかなどを紹介されている。

    どのテーマもQ&Aも内容的に素晴らしくて引き込まれてしまうが、個人的には歴史上の人物が語ったと思われる言葉が関西弁になっているところが親しみやすくてとても良いなと感じた。例えば、「日本は二回とも大元ウルスを撃退したのはなぜか」という問に対して「もともと大元ウルスには日本を征服する気持ちがあまりなかったようだ」という答が書かれているのだが、その中でクビライが「『あいつら生意気だから一発どついてこい』と軍を派遣した・・・」という感じだ。こういった、ちょっとしたことながら出口さんの語り口が思い浮かぶような書き方がまた良いなと感じた。

    先行き不透明な今だからこそ、出口治明さんの書かれたこの一冊を読み「歴史を活かすことの大切さ」を知るのは意義のあることだと思うがいかがだろうか。

  • 歴史に関する著書を多数出している著者による、読者からの質問に答える形で進んでいく、歴史をどのように活かしていくかの指南書です。著者独自の視点は、他の著書を見ても分かる通り、明快で筋が通っており、おもしろく読み進められます。
    今までの歴史的な出来事や人物を取り上げながら、これをどのように現代に活かしていけばいいかという内容ですので、教科書で学ぶ歴史とは一味も二味も違う内容となっています。
    著者独自の固有名詞の使い方となぜかセリフの引用が関西弁になっているのが気になりますが、一通りの歴史を学んだ後、このような良書を見て、歴史の活かし方、おもしろさを感じたいと思います。



    ▼歴史を学ぶことの意義の一つは、このように予期せぬ出来事に遭遇した時、適応するため参考にする、即ち「歴史を活かす」ことにつきるだろうと僕は考えています。歴史を多く知れば知るほど、最適解にたどり着くヒントになるのです。

    ▼引きこもっていては、人々の生活が豊かになるはずはありません。目安の一つとなるのは、平均身長と平均体重です。日本の歴史上、最も平均身長と平均体重の数値が高いのは、現代の私たちです。反対に、最も低いのは江戸時代の末期でした。男性でおよそ身長155センチ、体重50キログラム。外国人の目に「小人の国」と映っても不思議ではありません。戦国時代などのほうが、はるかに体格はよかったのです。それほど貧弱な体格になったのは、鎖国で経済が停滞したことに加え、キリスト教を禁じる観点から人々を宗門改めで土地に縛りつけた、つまり人々の異動を禁じたことが主な原因でした。
    ▼歴史上の出来事を振り返るとき、その時点でネーションステートが成立していたかどうかは重要なポイントの一つです。そのBefore/Afterで、人々の考え方がまるで異なるからです。
    ▼激しい内戦が起こるのは、明確な対立軸があるときです。
    ▼ローマ帝国も大元ウルス(追記:モンゴル帝国)も、リーダーの失敗で滅びたのではなく、きっかけは地球の気候変動でした。産業革命以前に滅びた大帝国のほとんどは、気候変動に伴う諸部族の移動や病原菌の移動が主な原因となっています。産業革命までは農業が主たる産業でしたから、当たり前といえば当たり前です。人間に失敗があったとすれば、気候変動によって大帝国は亡びるものだということに気づいて対処しなかったことかもしれません。
    ▼歴史に登場する大帝国や覇権国家には、いくつかの共通点があります。ダイバーシティの尊重、身分にとらわれない実力主義、新しい技術の導入などですね。しかし最大のポイントは、合理的でシンプルなグランドデザインを生み出したか(描けるリーダーがいたか)どうかです。
    ▼ヨーロッパの封建性社会では、わかりやすくいえば、頂点に王や皇帝がいて、その下に中間層として諸侯などの領主がいて、その下に一般の民衆がいるというピラミッド構造を成しています。だから、ヨーロッパでは皇帝や王がその地位を追われたとしても、一気に人民まで転落はせず、中間層の諸侯や領主に戻ることができたわけです。
    ▼もちろん中国にも領主層がいて、皇帝の多くはそういった領主層や遊牧民の首領から出ています。しかしヨーロッパとは異なり、中国では封建制が早くに姿を消し、皇帝が飛び抜けて偉いだけであとは比較的フラットな流動性の高い社会を形造りました。この本で何度も登場している始皇帝が生み出したグランドデザインのたまものです。加えて共産党支配下の中国では領主層は存在できません。それによって、皇帝をやめさせられた人が一般市民になって生涯を終えるという、大転落が実現したのです。
    ▼ヨーロッパの歴史でキーマンを三人挙げるなら、ローマ帝国のグランドデザインを描いた古代ローマのユリウス・カエサル(紀元前100~44)、近代国家の基礎を築き、ルネサンスを準備したローマ皇帝フェデリーコ二世(在位1220~50)、そしてネーションステート(国民国家)を完成させたナポレオンだと思います。
    ▼リーダーの最も大切な仕事は、将来のビジョンを描くことです。そのビジョンは規則やルールに表れます。とりわけ創業者は何もないところから組織をつくりますから、リーダーとしての資質や才覚が明らかになります。
    ▼明治時代になって、天皇制をコアにして国民国家を創設する際に、イエ制度とセットにして中国の朱子学の考え方を採り入れた影響が大きいと思います。朱子学は、南宋の儒学者だった朱熹(1130~1200)が唱えたもので、君主権や身分制度を許容する男尊女卑の学問です。これが明治政府の天皇制、家父長制とうまくマッチしました。
    ▼国内の政治がうまくいかないときの一番簡単な対処法が排外主義だからです。「この不幸な状況はあいつらのせいだ、けしからん」と批判の眼を国外にそらす。これは日本にかぎらず、危機に直面して国をまとめられない愚かな指導者の常套手段です。
    ▼歴史学者のジョン・ルカーチは、著書『歴史学の将来』のなかで、愛郷心や愛国心は誰にでもあるけれど、それが劣等意識と不義の関係を結んだとき、排外的なナショナリズムが生まれると述べています。戦後日本のアイデンティティの柱であった経済大国(GDPでアメリカに次ぐ世界第二位の大国)の地位を中国に奪われた時から排外主義が生まれてきたように思えてなりません。近代の日本の歴史をみてもわかる通り、排外主義は国を滅ぼします。日本で排外主義が目立つように感じたら、阿部正弘が策定したグランドデザインを思い起こしてみるべきでしょう。

    ▼リーダーの仕事は、究極的にいえば、人々を幸福にすることです。優れたビジョンは、社会の混乱を治め、人々の暮らしを豊かにします。数百年、数千年も受け継がれるのは、最初の設計図がしっかりしていた証拠です。
     リーダーシップといえば、メンバーに号令をかけたり、チームを引っ張ったりといった統率力が第一と勘違いされることがあります。どれだけ統率力があっても、優れたグランドデザインを描けなければ、リーダーとして失格です。ビジョンが描けないリーダーは、場当たり的にゴールを変えてしまいがちで、やがてフォロワーにも愛想を尽かされます。誤ってゴールに人々を導くリーダーは、チームの全員を不幸にします。そんなリーダーは、むしろ統率力がないほうが人々は幸せかもしれません。
    ▼人間は、ホモ・モビリタスという別名があるように元来、あちこち移動して交流する生き物です。人間の歴史は、大規模な移動や交易によって発展してきたといっても決して過言ではありません。だから日本の江戸時代、中国の明朝のように、外国との交易を禁じたり、移動の自由を奪ったりすると、その社会はどんどん住みにくくなります。場合によっては、人間の身体まで、貧弱になってしまうのです。僕はそういう政策を採った政権を評価しません。
    ▼長期的に見れば、人類は地球上を自由に移動し、自由な交易によって互いに不足するものを補い合って発展してきました。人類の歴史を知っていれば、本質的な観点から現在の出来事を把えることができるでしょう。それこそが、歴史を活かすことだと僕は考えています。


    <目次>
    はじめに
    第1章 マネー
    第2章 失敗
    第3章 リーダー
    第4章 大逆転
    第5章 女性
    第6章 宗教
    第7章 戦争
    第8章 ライフスタイル
    第9章 アメリカ
    第10章 日本と世界
    おわりに

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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