古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新書 1256)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612567

作品紹介・あらすじ

軍歌「露営の歌」、早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、夏の甲子園のテーマ「栄冠は君に輝く」、「とんがり帽子」「長崎の鐘」昭和という時代に日本人が求めた曲を作り続けた作曲家・古関裕而。クラシックの作曲家を目指すも挫折し、戦時中は軍歌でヒット曲を連発。軍歌の覇王と称された前半生。終戦後は一転してドラマや映画音楽から社歌や自衛隊の歌まで作曲するなど常に大衆音楽の担い手であった。NHK朝の連続テレビ小説「エール」のモデルとなった日本を代表する作曲家の80年の生涯を新しい資料と丹念な取材で読み解いた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「東京オリンピックマーチ」
    高校野球甲子園の「栄冠は君に輝く」
    プロ野球球団阪神タイガースの「六甲おろし」
    映画ゴジラの「モスラの歌」
    NHKのお昼の定番曲「ひるのいこい」

    そのぐらいしか 知らなかった
    ただ それだけでも
    十二分に天才作曲家だと思う

    本書では
    それらの歌の背景を実に丁寧に
    語られると同時に その時代が語られる
    戦争前~戦時中~戦争後を
    作曲という表現で生き抜かれた
    古関裕而さんを
    興味深いエピソードとともに
    語られていく

    歌は世につれ
    世は歌につられ
    まさに そのままの
    昭和史の一冊です

  • 独学で作曲を学び、昭和を代表する作曲家になった古関裕而の生涯。
    第1章 好きになったら一直線(1909~1930年)
    第2章 ヒットを求めて四苦八苦(1930~1936年)
    第3章 急転直下、軍歌の覇王に(1937~1941年)
    第4章 戦時下最大のヒットメーカー(1941~1945年)
    第5章 花咲く大衆音楽のよろず屋(1945~1973年)
    第6章 経済大国の大門を叩く(1952~1989年)
    主要参考文献有り。本書で引用した歌詞一覧有り。
    NHK朝ドラ「エール」のモデルとなった作曲家、古関裕而。
    激動の昭和という時代を音楽で生き抜き、
    人々の想いに添ったメロディーを生み出したその生涯を、
    様々な資料を駆使して紹介しています。
    生活のためもあったり、依頼されたら断れなかったり、
    1年も悩んで作曲する作品もあれば、即興で名曲を生み出したり・・・
    いろいろあるけど、作曲が好きだったことに尽きる生涯です。
    なんとその作品数は5000曲!
    応援歌、軍歌、昭和歌謡、ドラマや映画の音楽、社歌と、
    ジャンルも多様多彩・・・「モスラの歌」も彼の作品とは!
    妻金子や戦時中の軍歌、菊田一夫、オリンピックとの関わり等の
    エピソードも豊富で、読み易い内容でした。

  • ラジオ番組アフターシックスジャンクションで特集されて購入したものの、積読状態でしたが、かろうじて朝ドラ完結前に読了しました。

    彼の楽曲は、戦前も戦後も日本大衆の世論を掴んできたため、彼の人生を語ることは、日本大衆世論のフォレストガンプ的な歴史物語となる。

    クラッシックへの憧れや軍歌の制作に従事したことへの後悔は、朝ドラでも描かれていましたが、この本では、時代の波に上手く乗れたこと、彼自身がノンポリであったこと、また妻の金子が株にのめり込んでいく様など、なかなか描かれないエピソードや著者の人物描写も面白い。

    レコード製造枚数からレコードの売上枚数を割り出し、その数字の凄さを説明されてたりと、独自の数字根拠が掲載されているのも魅力だし、僕のようなCD 世代ではわかりにくいレコードの説明もとてもわかりやすかった。

  • 2020.05.19 図書館

  • 令和2年上半期のNHK連続テレビ小説「エール」のモデル、作曲家の古関裕而の評伝。事実と活き活きとした描写が楽しめる。

    さすがNHK、古関裕而に関する書籍が多く出版されている。その中から選んで見たのが本書。軍歌であったり日本軍全般と昭和史に関して多くの著作がある作家。古関裕而を語るには若いがその分冷静で学術的な記述。

    古関裕而の4千曲に渡る幅広いジャンル。「六甲おろし」「闘魂こめて」や「紺碧の空」など。どうなるか分からないが東京2020大会関連でオリンピックマーチの関係が、古関ブームにつながっているのだろう。

    本書を読むとドラマが史実にかなり忠実であることが分かる。

    史実に即している割には堅苦しくなく小説的に気楽に読める作品でした。

  • ふむ

  • 「スポーツ映像(映画・音楽)」
    佐野慎輔先生 参考図書
    https://library.shobi-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=00081115

  • ●古関裕而は、昭和の日本を代表する作曲家である。明治に生まれ、大正に育ち、昭和のほぼ全般にわたって活躍し、平成になくなった。地元の福島市で音楽をほとんど独りで学び、東京に出てコロンビアと契約し、やがて大衆音楽で頭角を現して、ヒットメーカーとして不動の地位を確立した。生涯の作品数は5000曲とも言われる。
    ●日本の黄金時代は昭和と言って間違いない。その頂点に君臨するものこそ、オリンピックマーチに他ならない。1964年の東京オリンピックは、経済大国日本の成人式だった。
    ●第一次世界大戦の戦後の急激なインフレに見舞われ、喜多三呉服店は事業を整理した。
    ●ドビッシー、ラベル、ストラヴィンスキー、ムソルグスキーなどを知り、中でもラベルの「ボレロ」やストラヴィンスキーの「火の鳥」に大きな衝撃を受けた。
    ●内山金子は古関裕而にファンレター、文通、結婚。
    ●満州事変から軍歌の出番。
    ● 1936年。プロ野球最古の応援歌「六甲おろし」
    ● 1948年。栄冠は君に輝く。当時は全然売れなかった。
    ●山一證券以下、大量の社歌の作曲

  • 朝ドラ「エール」を観て興味を持った。

    昭和の時代ほぼすべてにかけて活躍した作曲家。
    戦前のヒット曲からはじまり、戦時中の軍歌、戦後の「長崎の歌」などが生まれた秘話。戦後が駆け足だったかな。

    奥さんが株に夢中だったとか、ドラマには描かれていなかったので、面白かった。

    ドラマに描かれているとおり、人柄も素晴らしかったことが分かった。

  • 朝ドラ「エール」が面白かったので昭和歌謡に興味がわいたのもあって購入。時代に合う音楽、ヒット曲とはどういう要因でできるのか、などの話を戦前・戦中・戦後を通じて描かれていて面白い。特に当時の社会情勢と関連付けて論じているところは読み応えあった

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著者プロフィール

辻田真佐憲(つじた・まさのり)
1984年大阪府生まれ。文筆家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科中退。
2011年より執筆活動を開始し、現在、政治・戦争と文化芸術の関わりを研究テーマとしている。著書に『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』、『ふしぎな君が代』『大本営発表』『天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成』(以上、幻冬舎新書)、『空気の検閲~大日本帝国の表現規制~』(光文社新書)『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』(えにし書房)、『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)などがある。歴史資料の復刻にも取り組んでおり、監修CDに『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)、『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ!』(キングレコード)、『日本の軍歌・軍国歌謡全集』(ぐらもくらぶ)、『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』 (文春新書) などがある。

「2021年 『新プロパガンダ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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