農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦 (文春新書 1236)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612369

作品紹介・あらすじ

3K、高齢化など衰退産業の代名詞のようにみなされてきた日本の農業。就業人口はこの20年で半減、耕作放棄地も40万ヘクタールを超えている。しかし、この農業がいま「未来産業」として注目されている。希少で高品質な産品に特化し、トップブランドを作り上げたり、最新テクノロジーを導入したり、大規模な「植物工場」を立ち上げたり、といったこれまでの常識を覆すやり方で成功をおさめているイノベーターたちが登場してきているのだ。本書はそうした新しいリーダーたちを取り上げ、新ビジネスとしての農業を紹介する。この記事の一部はNewsPicksに掲載され、大反響を呼んだ。堀江貴文氏や経営学者の楠木建一橋大学大学院教授からも推奨のコメントが寄せられている。堀江貴文氏「農業×テクノロジー、異質なものの掛け算からイノベーションは始まる」楠木建一橋大学教授「地に足が着いた、素晴らしい仕事論だ」仕事も人も面白い! 常識を覆す「ネクストファーマー」たち・元エリート会計士が作る「究極のピーナッツバター」・東大卒「畑に入らないマネージャー」が推進する500のカイゼン・世界の一流シェフを魅了する「ハーブ農園」・京都の自動化レタス工場が世界を席巻する日・アマゾンより早い野菜流通革命・女性「未利用資源オタク」が切り開く新エコシステム・ITのパイオニアが挑む「日本農業を知的産業に」・悪臭の出ないスーパー堆肥が農業を変える・毎年完売する100グラム1万円の茶葉の秘密・岡山の鬼才が生んだ奇跡の国産バナナ

感想・レビュー・書評

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  • これを読んで、農業に対するイメージが大きく変わりました。農業新時代を感じることができる一冊。若い世代に是非ともおススメしたい。

    • 1272067番目の読書家さん
      著者です。農業のイメージが変わったとのこと、嬉しいです!
      著者です。農業のイメージが変わったとのこと、嬉しいです!
      2019/11/14
  • ワクワクするけどつまり本物だけが生き残るという厳しさ チャラチャラしたデジタル農業はダメだよ

  • 中国雲南省に10年近くいたので、日本の農業がどのような変化を起こっているのかを知りたくて読んだ。「僕は農業って最高だと思ってますよ」という冒頭の言葉が、10人の農業を担う人たちを表す表現と言える。私も以前は「農業 面白すぎるぜ」と言っていたのだが。
    著者の「稀人ハンター」という視点が、よく活きていて、変な農業人にスポットライトを当てている。そのヘンさは農業を変える力になるかもしれない。もともと変革するには、「ばか者、よそ者、わか者」と言われるが、そういう類の人たちが、農業に参入するのは面白い。
    ここに登場する10人は、農業をビジネスと考えていて、経営として成り立たせようしている。日本の農業は衰退しているとか、農業政策が悪いとか、農業は3K(キツイ、キタナイ、キケン)にさらに3つのK(クサイ、カッコワルイ、ケッコンデキナイ)が加わるが、そんなことは全く気にしていないのだ。逆に、農業は儲かると思って農業に取り組んでいる。
    杉山は、ニューヨークの会計事務所KPMGに勤めていて、1904年のセントルイス万博で、ピーナッツの品評会で、「遠州半立ち」という落花生が一位になったことを知り、ピーナッツバターをつくる農家となる。ピーナッツバターが、貧富の差がなく食べることに可能性を見出し、「遠州半立ち」を探し出し、無農薬、無添加のピーナッツバターをつくって直販する。物語性がうまく作られている。農水省の提唱する6次農業である。だいたい6次農業ができるには、農民では無理がありすぎ、補助金をつけても失敗するのが落ちだ。そこを切り抜けているのがえらい。ピーナッツにこだわったからこそできた。私は、雲南省で4粒入りピーナッツと黒ピーナッツを追いかけていた。 
    世界のスターシェフを魅了するハーブ農園の梶谷ユズルは、世界のシェフが何を求めているのかを若くして父親に教えられ、さらに栽培法を原典にあたって、珍しく求められるハーブの栽培をする。パリの3つ星レストランにハーブを納品する。「世界を旅行をしながら新しいものを探してきて、それを栽培して食べてもらってお金ももらえる。本当にこんな楽しい職業があっていいのか、と思う」という。
    小杉佳輝は、静岡の標高800mの茶畑で、高級茶「東頭」100グラム1万円の茶葉を作る。それだけの値打ちを作り出すのだ。日本のお茶は、アートなのだ。
    田中節三の国産バナナ「もんげーバナナ」は、凍結解凍覚醒法という栽培方法がいかがわしいが、たまたま皮ごと食べられるというインパクトのある品種に出会ったからよかった。
    アースサイドの稲田信二は、レタスの植物工場を展開する。ロボティクスやIoTを活用することで、育苗から収穫までの栽培工程を自動化。視野は日本だけでなく、世界を目指す。
    植物生理に基づいたサイエンスと最新のテクノロジー、農業ベンチャーのクラスター創造による農業ルネサンスに尽力するベジタリアの小池聡。
    飛騨高山の藤原孝史のスーパー肥料。悪臭をなくす有用菌の活用。益虫となるガブリダニや線虫の土壌生物を繁殖させる。
    ファーメンステーション酒井里奈の飼料米から、バイオマス、化粧品への発展させて、コメに発酵技術を導入したセンスは素晴らしい。
    佐川友彦:東大卒の畑に入らないマネージャーによるカイゼンに取り組み知恵袋になる。農家から農業へ発展させる。
    SEND菊池紳の農家とレストランをつなぐマッチングと物流革命もいい取り組みだ。農家が売り先を考えずに作るということをこの手法で、顔が見え、同時に求められる農産物を作る。
    農業は、奥行きが深く、このネクストファーマーズの挑戦は、まだまだ農業が面白くなることを感じた。農家が農業と向き合い農業をかえると思うことによって、日本の農業は、まだまだ可能性が多くあるなぁ。

  • やはり農業で成功するには、誰もやっていないことを先頭にたってやることだと感じました。
    先頭にたってやるのとに関してリスク等もありますが、自分自身でしっかり勉強してやるからこそ成功できるものだ思います。
    農業はまだまだ改善できることが多いです。こういう書籍を参考にしながら今後の農業経営に生かしていきたいです。

    • 1272067番目の読書家さん
      著者です。農業に携わっている方でしょうか。少しでも刺激になったなら嬉しいです!
      著者です。農業に携わっている方でしょうか。少しでも刺激になったなら嬉しいです!
      2019/11/14
  • 従来の農業の枠組みに留まらない、まさにネクストファーマーと呼ぶにふさわしい10名の方々の取り組みが記されている一冊。
    「稀人ハンター」と自称される著者の好奇心から溢れだす、巧みな聞き出す力によって、10名の方々の取り組みが生き生きと表現されています。
    随所に適切な統計データも取り入れられており、熱い思いと、クールなデータとのバランスも絶妙です。
    こういったネクストファーマーズの取り組みがさらに大きな花を咲かせ、実を結ぶとよいですね。
    よい本に出会えました。付箋は28枚付きました。

    • 1272067番目の読書家さん
      五つ星、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!
      五つ星、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!
      2019/10/25
  • 異業種から農業転職した人の話。

    ここに出てくる人みんなが活力あり、未来に希望を持っている印象を受けた。

  • 本書の続編?「農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ」を先に読んでいた。サイコーに面白くて感動した。同様に本書もすごくワクワクしながら読み終えた。魅力的な人物と取り組みが紹介されていて、自分も何かしたい、何かを始めたいと思わせてくれる一冊。

  • 農業関連の仕事をしていても驚きや発見の多い本でした。農業に知識がない人でもこれからの農業ってこんな風になっていくのかなーと感心を持ってもらえる本かと思います。

  • 「ガイヤの夜明け」の農業版といったところ。

    日本の農業をいかに産業として成り立つようにするかの取り組みを探りたくて本書をひらく。

    個人の想いやこだわりで特定農産物を手掛ける話が多い。
    ピーナツ、お茶 バナナ ハーブ、、、ただこちらにはあまり関心はない。

    産業として成り立つ取り組み(物流・改善・堆肥ビジ)が、より知りたい事であるが、やはり難しそう。
    調べたら産地と企業のマッチングで紹介されているプラネットテーブルは破産していた。

    様々な取り組みが行われているが模索は続くのだろう。

  • ・学生の時にアメリカにいってKPMGでインターン、会計士に正式採用されたけど地元に戻って、科学的に落花生を栽培する試行錯誤をしたり、ピーナッツバターのラインナップやパッケージデザインまで一人でやってしまった人
    ・デュポンで働いていたけど、梨園で畑仕事ではなく「農園のマネージャー」としてカイゼンプロジェクトを回した人
    ・海外志向でラテン語も勉強、父親が農家でありながら世界を旅して高級レストランで食事するツアーに連れて行ってくれ、その視点もあって一流シェフと渡り合って欲しいハーブを作り売る人
    など

    いずれも、農業に全然詳しくなくて、外がわにいた人たちだけど、農業を変える。ITもつかうけど、泥くさく、ひたすらマッチングに奔走したり、製造業のカイゼンのようなことをしたり、①農業と関係のない人がハードルを乗り越えて農業の門を叩き ②門の中の農業王国は閉ざされていたので、外界のやり方を取り入れたり,その人のルーツを少し変えて使ったり ③その人がいなくなっても回るように仕組み化をがんばったり、自分の知り得たことを広める学校を作ってさらに産業を、活性化させたり
    あくまでも「熱意とエネルギーとをつぎ込んでやってみた」話なので、持続するかどうか、冷静に分析しておく必要はありそう。

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著者プロフィール

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店を経てフリーライターに。某誌企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。ドイツW杯での日本代表密着取材を経て、バルセロナに移住。フットボリスタ誌やNumber誌などで幅広く活動中。

「2009年 『サッカー馬鹿 海を渡る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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