あなたに伝えたい政治の話 (文春新書 1186)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611867

作品紹介・あらすじ

さまざまなメディアで大活躍の気鋭の国際政治学者が、この国の疑問にリアルに答えます!「ライバル不在」だけではない 安倍政権が長期化した理由9条改正 なぜ憲法学者の議論はズレているのか?破綻するまで変われない? アベノミクスをめぐって加計問題の本質は不公平で非効率な「官僚支配」人材が欠乏しているのか? メディアが悪いのか?米中二強時代に耐える日本外交の姿勢とはなどなど、日本政治の今と明日を見定める上で必読です。

感想・レビュー・書評

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  • 途中で読むのを止めていましたが、読むのを再開し、読了。

    本作は、著者のブログ山猫日記の記事を整理アップデートした新書。

    ブログはタイムリーな時事ネタをリアルタイムで読めることが良い。
    ブログ元にした本書では、著者の見解の本質的な部分を浮き彫りにしている。

  • ●日本の農林水産業の危機は深刻です。平均年齢67歳。戦後の農地改革を通じて人為的に作り出された小規模家族経営主体の農政を転換すると言う本筋には全く踏み込めていません。
    ●なぜ安倍政権は続くのか?評価すべき最大の電話、歴史的・国際的に見て基本的に正しい課題設定を行っていると言うことです。改革に逆行しない。ただし、大きな改革案件はほとんど先送りされている。戦後レジームからの脱却については、ひとまず評価される。
    ●2015年、米国議会で語ったこと。歴史認識について使った英語の文言は、限りなく謝罪に近い言葉を使い「真珠湾」「硫黄島」などの米国人が想起しやすい固有名詞を用いて語ったことも効果的でした。
    ●慰安婦合意。「軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを認め、「心からお詫びと反省の気持ちを表明する」ことにあります。ポイントは「軍の関与」と言う幅のある表現を使っている事でしょう。韓国からすれば日本軍による国策として強制性を認めさせたと主張できますし、日本は軍主導による強制連行とまでは踏み込まずに、慰安所の運営に軍が関わっていたことを認めたに過ぎないと主張できます。
    ●ただし、これは政府間の合意であって、国民間の合意でも和解てもないと言うことです。
    ●どうして憲法の9条を変えなくてはならないのか。2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と言う規定が現実と著しく乖離してしまっているからです。もちろん自衛隊を災害出場に限定し、軍事的装備を全てなくしてしまえば、名実ともに「戦力以下」の存在になると言えるでしょう。
    ●安倍自民党は、いわゆる「前後でレジーム」の幕が、保守の手によって下されると言う政治的象徴性を取りに行っているのではないでしょうか。
    ●過剰供給の保育市場における認可保育園は、固定価格でサービスを提供し、競争にもさらされず、消費者の厳しい目にもさらされません。様々な理由をつけて供給の拡大を遅らせ、新規参入を嫌います。しかも、高コスト体質は改まらず、サービス水準も上がりません。既得権を反映して、公的な保育所の職員は、公務員として比較的恵まれた待遇で働きながら、全く同じ仕事を担っている民間の保育士は生活するのがやっとと言う待遇に止め置かれているのです。
    ●まずは国が「すべての児童に幼児教育の権利」を保証します。その対価としてバウチャーを配布し、親が自由にサービスを選べるようにする。
    ●待機児童問題の半分は、保育士の待遇の官民格差である。
    ●大学教育の無償化に反対する理由。現在進学率は約5割。そんな中で、大学教育も消化することは、高校卒業して働き納税もしている層から、大学へ通っている層へと所得移転することになります。また、すべての人が大学に行く必要性があるかどうか。

  • 読了。面白かった。本当に正しいことか、正直わからないが、一番分かりやすいと感じた。世のオッサンと呼ばれる私たちが下僕になるのが理解できた。攻殻機動隊にでてきた草薙少佐が、書いた本のように感じた。人のことを中傷していないのが良いと思う。

  • 政治の大きなテーマについて話す本。
    外交安全の割合が大きい。経済もまあそこそこ。この人の文章が合わない。

  • 丁寧に国内外の政治情勢について分析されており勉強になりました。悪による平和と正義の戦争、という表現がありましたが、難しい問いですね。たまたま今日の大河ドラマで、明智光秀が、戦をなくすための戦の必要性に気が付くという場面がありましたが、今の世の中もだその途上なのかもしれない。いざとなったら自分は銃が取れるか、はなはだ心もとない。妻子のためなら戦える気はしますが。

  • ちょっと頭の入ってこなかったからやめた…。
    めくって、返した。

  • 政治って難しいな。経済、行政、法律、軍事、外交、教育、福祉どれもこれも複雑に絡んでる。

    軍を民主的に統治するために確立されたのがシビリアンコントロールの原則。
    日本に突きつけられているのは、世界で起きている紛争について、主体的に考え、リスクの伴う判断も負わなければならないということ。

    リベラルって?
    憲法9条と平和、専業主婦と働く女性、組織労働者と非正規労働者。壁を取り除くのは難しい。

    高齢化と言う票の格差の温存による都市部の軽視で、日本の投票者の平均年齢は60歳近くになっているのでどうしてもなってしまう。

    少子化対策に9ページ!誰でも入れるようにするというのは賛成だけど、保育所間で自由競争させるのはないなぁ。

  • S312/ミ/18 棚:13

  • 安倍政権第2期レビュー。

  • リアリズムとこれから日本が歩む道の心細さと怖さを考えさせられた一冊。
    僕自身、戦後秩序からバブル崩壊、21世紀初頭の政治に関して認識が整理できていないところがあったので、本書の透徹したリアリズムに基づく各ファクターの整理と提示を読むことで、現実を把握するという意味で有意義だった。
    安全保障については理想論ではなく現実を直視すべきというのが著者の基本的なスタンスだと思うし、そこには概ね同意できる。正規軍を持つことが国家の構成要素として必須であることが国際的な常識であることも、安全を担保するには一定の血のコストを覚悟することが必要という現実があることも理解できる。が、やはり日本人としてはそのドライな要件に沿わせることは怖い。安全保障政策の主たる目的には戦争回避が含まれるはずだけれど、そのために戦力を堂々と保持していくことの怖さ。台頭する中国や危険な北朝鮮、アメリカの一国主義的指向への変化……という情勢の中で、震えながら道を選んで踏み出して行かねばならないのかと、一考した。
    勿論、僕個人はそんなことばかりを考えて暮らしていくわけではないし、これはこれ、それはそれ。著者のようなその分野の専門家の見解を時に咀嚼しつつ(鵜呑みにはしない)、粛々と自分の暮らしを作って行くだけなのだけれど。

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著者プロフィール

国際政治学者。1980年神奈川県生まれ。東京大学農学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。専門は国際政治。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。著書に『シビリアンの戦争』(岩波書店)、『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書)、『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書)。

「2017年 『国民国家のリアリズム 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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