オッペケペー節と明治 (文春新書 1155)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611553

作品紹介・あらすじ

なにが文明開化だYO! 金持ちにNO!明治二十年代に日本中で大ブームを巻き起こしたラップの元祖とでもいうべき歌「オッペケペー節」の謎を追って、近代がはじまった日本へタイムスリップ!明治二四、五年ごろ、日本中の人々が口ずさんでいた「オッペケペー節」。七五調の歌詞の途中や末尾に「オッペケペッポー、ペッポーポー」という囃子ことばが入るスタイルの歌だ。ひょうきんな言葉の響きとは裏腹に、その歌詞には「心に自由の種を蒔け」「洋語をならふて開化ぶり」など、政治的なメッセージや、鋭い批判、風刺があふれていた。これが文明開化の荒波に翻弄されていた当時の民衆の心をつかむ。流行の発信源は、政治活動家から落語家に転身し、のちに演劇人として名をなした川上音二郎。テレビやラジオはおろか、レコードもない時代に、全国津々浦々まで広まり、明治期最大の流行歌の一つとなった。この歌が流行した明治二〇年代は、あらゆる面で日本に近代が訪れていた。大日本帝国憲法が公布されて、最初の総選挙が実施され、最初の議会が開かれた。議会政治の幕開けである。東海道線の新橋-神戸間が開通、幹線網も拡大し、人々の移動量が飛躍的に増大しはじめるなど、社会的インフラが発展した時期だった。メディアの転換期でもあった。新聞雑誌といった新しい活字メディアが生活に浸透しはじめ、蓄音機という新たな音声メディアが登場した。二葉亭四迷の言文一致体小説『浮雲』が出版されたのも明治二〇年である。そんな時代に広まり、いまとなっては忘れ去られてしまった「オッペケペー節」。誰が作ったのか、誰が歌い始めたのかも分からない、この歌を通して、近代化が始まった時代の空気に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:767A/N15o//K

  • 【流行歌を通じて明治の日本を探検する】明治二十年代に大流行した歌「オッペケペー節」を通じて、政治、社会、文化と、様ざまな面で近代が訪れていた日本をふり返る。

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著者プロフィール

1955年、鹿児島県生まれ。九州大学文学部卒業、出版文化・大衆文化研究。日本出版学会、日本マス・コミュニケーション学会、メディア史研究会、日本ポピュラー音楽学会会員。著書に『「リンゴの唄」の真実――戦後初めての流行歌を追う』(青弓社)、『オッペケペー節と明治』(文藝春秋)、『流行歌の誕生――「カチューシャの唄」とその時代』(吉川弘文館)、『怪盗ジゴマと活動写真の時代』(新潮社)など。

「2019年 『歌う大衆と関東大震災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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