日本史のツボ (文春新書 1153)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611539

作品紹介・あらすじ

日本史は暗記科目じゃない!天皇、土地、宗教、軍事、地域、女性、経済。七つのツボを押さえれば、日本史の流れが一気につかめる。最もコンパクトな日本通史、登場。大事なのは疑問を出す力、仮説を立てる力、そして常識の力。人気歴史学者が面白くかつ明快に日本史を解説する。「天下分け目の関ヶ原」は三度あった律令制は「絵に描いた餅」応仁の乱、本当の勝者は?銭が滅ぼした鎌倉幕府皇位継承 ヨコとタテの違い川中島の戦い、真の勝者は武田信玄貴族と武士の年収は一桁違う?などなど、目からウロコのトピックも満載

感想・レビュー・書評

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  • 出来事の羅列ではなく、天皇や軍事、女性など7つのテーマに分けて日本の歴史の流れを説明してあるので、面白かった。

    天皇の権力が強いと後継者が兄弟など横に広がるというのが、なるほどと思った。

  • 日本史のこぼれ話を集めたような一冊。

    天皇と将軍、どちらが上か? きっかけは1221年の後鳥羽上皇が敗北した承久の乱で形勢逆転。

    神道と仏教の関係

    江戸のお寺は「役所」の存在も兼ね備えていた。

    荘園は口利き的な要素もあり、自分達の土地を自分達で守ろう!という意識のもと、武士が発生した。 田舎の武士は在地領主、京都の武士は貴族を守るため、と起こりは異なれど、発生したのはこの辺りから。

    貨幣経済の発展により、鎌倉幕府は潰えた。

    信長が実現させた自由とは?

    悪党たちが戦い方を変えた(ルール無用)

    日本は「ひとつの国」ではなかった?

  • 本郷和人さんが、七つのテーマ、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済を軸に歴史の大きな流れを論じています。
    彼が歴史についていつも心がけているのは、できるだけその時代の「リアル」に迫りたいということだそうです。
    だから読んでいる私も俯瞰しているのではなくとても近くで見ているようで、面白かったです。
    もう図書館に返すけど、また借りて読みたい。

    本郷さんも磯田道史さんと同じく「歴史が好きで好きでたまらなくてこの職業についた」みたいに見えるけど、「なるべく他人と付き合いたくないから学者を目指しました」なんておっしゃっています。

  • ■ Before(本の選定理由)
    日本史を年号では無く、7つのフィルタを使ってみると流れが見えてくる、という趣旨らしい。発送が素敵。

    ■ 気づき
    7つのうち、女性と経済が面白かった。のだけど、新書に詰め込んだこともあって、7つのテーマはバラバラ点在し、別個の話のよう。勿体ない感じがした。

    ■ Todo
    溢れた情報もキュレーションの方法次第で、新しい価値は生み出せる。

  • 歴史の授業だと、その時代の出来事やなんかを追いかけて古代から近代までやりますけど、まあそれは政治がメインなわけです。その背景が面白いのに授業では時間がないから、興味のある人はご自由にどうぞ、になってしまう。
    本書ではテーマ別に古代から近代までざーっと流して解説してもらえるのが、新しく感じます。7テーマ取り上げるので、ざーっとにはなっちゃうんですけど。概要を掴むには良い分量で、全く飽きずに読めるのと「そういえば習ったな…」を別の視点から見られるのが面白いです。

  • 歴史好きといっても池波正太郎と司馬遼太郎の小説を読んで大河ドラマを観るくらいで歴史に詳しいわけでもない。そんな私が本郷さんのこの本を読んで、もう一度これまで読んだ本を読み直したいと思いました。歴史を学ぶことは今を理解することにつながります。

  • 著者は最近よくTVのクイズ番組で見かけるのでチャラチャラした人物かと思っていたら、本職は「大日本史料」の第5編という史料集を編纂することで、そのため来る日も来る日も建長年間(1249~1256年)の資料を読んでいる真面目(?)な東大教授でした。

    その本職から離れて、歴史学によって「むかし」を知ることを「いま」に結びつける、という過程の中で、歴史はどういうベクトルで動いているかを知るために、つまり日本の古代~明治以前までの流れを把握するために、「天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済」の7つの観点から、歴史の流れを捉えている。

    読んで驚いたのは、本当に「ツボ」と思われる箇所をしっかりと押さえ、新しい歴史の見方を分かり易く解説しています。
    一部下記に紹介します。

    天皇
    何故「天皇」が出来上がった?⇒白村江の敗戦による「日本ブランド」の確立???(詳細は本書をお読み下さい)
    結果論ではあるが、白村江、幕末維新、昭和の敗戦と日本が「外圧」による危機に晒されたとき、新しい「ヴィジョン」を掲げる。それが日本の歴史における天皇の役割だと言えるかも知れない。

    宗教
    神道と仏教はどちらも天皇家によって、形成され受容されていた。

    また、日本の宗教は政権と結びつくことによって、形式化して本来の内容を失った。

    明治政府が打ち出した方針は、天皇を中心とした国家づくりを、思想的に補強するために、仏教や儒教といった外来の宗教ではなく、日本古来の神道を持ってくることでした・・・(略)・・・しかも明治維新でいきなり表舞台に引っ張り出されるまでは、肝心の天皇はむしろ仏教との繋がりの方が強かった。そこで、邪魔な仏教を排除しようとしたのが廃仏毀釈でした。

    具体的には、天皇・皇后などの葬儀も、聖武天皇(724~749年)から江戸末期までずっと仏式で行われていて、神式でやるのは、明治以降のことだそうです。

    土地
    日本の土地制度の歴史として、教科書などでも最初に登場するのが、「律令制」であり、「公地公民」です。著者は、「実態とかけ離れたフィクションに近い説明なのではないか」と、この記述に異論を挟む。

    この時代の政権は「そこに書かれている内容を実現できるだけの行政システムもなければ、インフラも未発達、支配の対象となるような公民というまとまりも未だ成熟していなかった」

    以上内容の一部を紹介しただけですが、新しい切り口からのアプローチが面白く、本当に歴史を理解できた(?)ような心境になります。

  • <目次>
    第1章  天皇を知れば日本史がわかる
    第2章  宗教を知れば日本史がわかる
    第3章  土地を知れば日本史がわかる
    第4章  軍事を知れば日本史がわかる
    第5章  地域を知れば日本史がわかる
    第6章  女性を知れば日本史がわかる
    第7章  経済を知れば日本史がわかる

    <内容>
    ちょっと視点を変えて、日本史を俯瞰した本。専門家でない限り、こうした別の視点から日本史を描いてもらえると、新しい発見があって楽しいです。また授業への参考にもなってきます。もうちょっと書いてほしかったですね。

  • NDC分類 210
    「七つのツボを押さえれば、歴史の流れが一気につかめる。最もコンパクトな通史の登場。古代の「関東」は美濃から始まった?なぜ日本は世襲社会なのか?毛利、北条には独立政権の可能性があった?ヤマト朝廷の成立から明治維新まで、人気歴史学者が明快に日本史を解き明かす。」

    目次
    第1回 天皇を知れば日本史がわかる
    第2回 宗教を知れば日本史がわかる
    第3回 土地を知れば日本史がわかる
    第4回 軍事を知れば日本史がわかる
    第5回 地域を知れば日本史がわかる
    第6回 女性を知れば日本史がわかる
    第7回 経済を知れば日本史がわかる

    著者等紹介
    本郷和人[ホンゴウカズト]
    1960年東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院で石井進氏、五味文彦氏に師事し、日本中世史を学ぶ

  • オーディブルで読了。
    テーマごとに切り口を作り、読み進めるごとに同じ出来事が違う切り口として光が当たるのが面白い。
    人間や年号を覚えたりするかったるいことをせずに楽しく日本の歴史に触れることが出来るので良い。

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、東京大学史料編纂所教授。専門は中世政治史。著書に『東大教授がおしえる やばい日本史』『新・中世王権論』『壬申の乱と関ヶ原の戦い』『上皇の日本史』『承久の乱』『世襲の日本史』『権力の日本史』『空白の日本史』など。

「2020年 『日本史でたどるニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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