ルポ 絶望の韓国 (文春新書 1127)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611270

作品紹介・あらすじ

これは“嫌韓本”ではありません。韓国を愛し、理解しようとつとめてきた筆者が見た、ありのままの韓国のルポルタージュです。 筆者は、朝日新聞の外信記者として、長年、韓国とかかわってきました。現在はソウル支局長として、日々の取材にあたっています。 その筆者にして、今の韓国は、「病理」とも呼べる状況に陥っているとしか見えないところに、本書のテーマの深刻さがあります。 利己主義――一言で言えばそうなるかもしれません。冒頭に紹介されるスターリンのエピソードは秀逸です。「朝鮮人は三人集まれば、四つの政党をつくる」 朴槿恵大統領の弾劾・罷免・逮捕に見られた政治的、社会的なうねりは、まさにそうしたメンタリティーが表出したものです。 また、500年続いた朝鮮王朝時代にはぐくまれた「両班になりたい」という感情も、あらゆるところで顔を出します。「現代の科挙」とも呼ばれる度を越した受験戦争や、誰しもが一度は国会議員になりたいと考える社会風土など、ひとつひとつが社会を歪ませているのです。 風雲急を告げる北東アジア情勢において、韓国を理解するための絶好の1冊であると自負しています。

感想・レビュー・書評

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  • なんかあんまりおもしろくなかった。

  • 2年も前に出版された本なのに、つい最近の事が書かれているように思える。物事がよく見えている人が書くとこうなるのか。さすがだ。
    2019/11現在、日本政府は異例の「戦略的無視」政策を取っているが、非常に合理的な判断だと思う。「おわりに」で述懐されている通り、なまじ見た目が似ているからか、お互い自分達の常識に当てはめて相手を判断する嫌いがあるが、歴史経路が全く異なり、文明化の時期が100年も違うのだから常識が通じなくてイライラするのは当たり前である。だったら深く付き合わなければいい。隣人だからといって仲良くする必要は全くない。
    我が家も隣人の一人とは波長が全く合わないから最低限の付き合いしかしていないが何も困ることはない。国同士でも同じことだ。

  • 2017年3月に朴槿恵大統領の逮捕があった。歴代の韓国大統領は退任すると検察に逮捕されたり収監されたりするが、朴槿恵大統領は初めて罷免され逮捕された。韓国の政治、歴史、経済、教育、社会、軍事、外交の分野を詳細に分析したルポルタージュ。この本は「嫌韓本」ではない。それについても表題の「絶望の」という修飾語がきついような感じを受ける。かなり厳しい内外の環境に韓国はあるが、絶望というわけではないだろうが…。著者は朝日新聞ソウル支局長である。

  • 韓国駐在記者が韓国のルポタージュを書く時でさえ、『日本dis』『反安倍政権』を忘れないのは、さすが朝日新聞の記者である(人として褒めていない)

    ・細かい事実誤認
    ・韓国側はそう主張しいているが、日本側からの裏取りをしていない一面的な記述
    ・韓国にとって都合の悪い部分は省略する
    ・関係無いことまで、安倍政権批判を忘れない
    ・Aを批判する時はBを持ち上げ、先ほど持ち上げたBを批判する時は、Aを持ち上げるという手段を選ばない批判のテクニック

    等々、『さすが朝日新聞社の記者だ(褒めていない)』と納得する数々のテクニックが披露されている。とても卑しい文章である。

  • 世の「嫌韓本」は読む気がしないが、本書は朝日新聞のソウル支局長の著ということで手に取ってみた。
    ネガティブな材料を拾い集めたような感もあり、バランスが取れているのかどうか判断できない。
    しかし、政治・経済で行き詰まり、外交面でも行き詰まっているように見える、韓国が抱える問題がコンパクトに整理されている。

  • 朝日新聞社のソウル支局長が語る韓国の「今そこにある危機」ルポ。韓国と相性が良さそうなアサヒの記者ですら「絶望」と名付けてしまうほどの国らしい。

    トランプ大統領をはじめ、世界では自国第1主義を主張する主導者が登場しているが、韓国は昔から国ぐるみでそんな傾向がある。他国の批判をものともせず、自国の主張を通そうとする。

    そんな強気な国民性だが、政治力や経済力、軍事力などの国力は世界と渡り合えるレベルではない。北朝鮮の核は怖いが、米軍とは協力したくない。日本の経済協力はほしいが、慰安婦問題では叩きたい。中国の言いなりも嫌だ。そんなどっち付かずで中途半端な態度が韓国流の自国第1主義だ。さらに社会では自分第1主義。過度な学歴社会、財閥支配、現職大統領の罷免など引き起こす。

    そして、セウォル号沈没事故。指示を聞かずに勝手に逃げ出した者が助かり、指示通り船中にとどまった者は亡くなった。いかにも韓国らしい事件であった。

  • 東2法経図・開架 302.21A/Ma35r//K

  • 著者は朝日新聞ソウル支局長。
    これまでの取材活動をもとに、韓国が現在に至った経緯を政治・歴史・経済・教育・社会・軍事・外交面から解説している。
    記者でしか知りえないことも書かれてあり興味深いが、次作ではもう少し突っ込んだ解説をやって貰いたい。

  •  書名は何だが、2010年以降の事象を中心に取り上げ、新聞の解説記事か特派員コラムのようでもあり、韓国理解の一助になる。『だまされないための韓国』でも対比されているように、『だま韓』が研究者の大局的な視点なら、こちらは特派員のミクロな視点といったところか。
     政治・歴史・経済・教育・社会・軍事・外交の各章に分かれている。中身は朴槿恵弾劾に至るまでの国民の怒り、歴史問題の難しさや細る日韓のパイプ、財閥偏重の弊害や「圧縮成長」のひずみ、学歴偏重・エリート優遇、極端な人脈重視(マスコミも官公庁に多大な便宜を図ってもらっているという)、韓国軍独自の防衛力整備も米韓同盟・日韓防衛協力もうまくいっていないこと、それに米中間で翻弄される外交。一つ一つはどこかで聞いたこともあるような話なのだが、一冊の本としてまとめられているので頭が再整理できる。
     結果として韓国社会の厳しさ・問題点を並べ立てているようでもあるので、いわゆる嫌韓本だとは全く思わないが、書名と相まってそのようにも見えてしまうかもしれない。

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著者プロフィール

朝日新聞ソウル支局長。1965年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大阪商船三井船舶(現・商船三井)に勤務し、1991年、朝日新聞社入社。瀬戸通信局、政治部、販売局、機動特派員兼国際報道部次長、全米民主主義基金(NED)客員研究員などを経て現職。著書に『北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕』(文春新書)、『戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事』(文藝春秋)がある。

「2017年 『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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