巨人軍「闇」の深層 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610884

作品紹介・あらすじ

野球賭博、清原シャブ逮捕、原監督1億円恐喝事件……週刊文春スクープ記者、執念の一撃! 2016年3月、巨人軍の高木京介投手が野球賭博に関与していたとして、渡辺恒雄最高顧問を含む巨人軍トップ3人が電撃辞任した。2015年秋、野球賭博に手を染めていた3人の現役巨人軍投手が解雇され、再発防止策が講じられて沈静化した矢先の出来事だった。 振り返ればここ数年、巨人軍は数々のスキャンダルに見舞われてきた。 2012年には原辰徳監督(当時)が女性スキャンダルをネタに反社会的勢力から1億円を恐喝されていた事件が発覚。 その後、阿部慎之助捕手、内海哲也投手にも女性スキャンダルが浮上。その背後には暴力団関係者の影が見え隠れしている。 そして2016年2月には清原和博元選手が覚せい剤使用で逮捕。しかも、清原に薬物を渡していた巨人軍の元同僚投手は、「巨人時代から薬物を使用していた」という爆弾証言をおこなった。「常に紳士たれ」をモットーにしてきた名門球団に、いったい何が起きているのか? スキャンダルの背景を探ると、野球選手の名声やカネを目当てにして巧みに近づいてくる反社会的勢力の存在がある。 そして、「コンプライアンス」を旗印に読売新聞グループをまとめあげてきた強力な司令塔「コンプラ軍団」の誤算も見えてくる。 江川事件、KK(桑田清原)ドラフト事件、桑田の登板漏洩事件などの歴史を辿りつつ、最新のスクープも満載。 巨人ファンもアンチ巨人も必読の一冊だ。

感想・レビュー・書評

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  • 20211224

  •  2015-16年に発覚した野球賭博事件及び清原和博覚醒剤事件、2012年に発覚した原辰徳一億円恐喝事件を中心に、『週刊文春』がスクープした読売ジャイアンツと「裏社会」をめぐる刑事事件・スキャンダルをまとめた書。事件そのものよりも、球団ブランドの保持と利権の維持のために手段を選ばない読売新聞社法務部(本書では「コンプラ軍団」と称する)の、もはや報道機関というより諜報機関のような「工作」ぶりに戦慄を覚える(清武英利の告発を裏付ける)。「コンプライアンスの遵守」という題目が、むしろ法の穴を抜ける手口となっている状況は、企業社会全般の問題と思われ、ひいては日本国家・日本社会の「不条理」を規定する根本的要因として深刻に考えなければならないだろう。

  • 清原の事件に関しては、リアルに伝えている。

  • 文字通り、巨人軍の闇について書いた一冊。

    江川の『空白の一日』以降、コンプライアンスを順守することを前提にしながら、それでもダーティーなイメージが消えないのは、注目を浴びる球団であるが故というのはもちろんであるが、さらに一歩踏み込んで書いていた。

  • 反社会的勢力の存在と関わり、さらには対応のあり方について考えされられた。

  •  クライマックスシリーズでDeNAに敗れ、今年のシーズンを終えた読売ジャイアンツ。2016年は球団にとって、球場外でも苦しい1年となった。

     2月には清原和博が覚醒剤取締法違反で逮捕され、3月には、昨年膿を出し切ったはずの野球賭博問題で高木京介が謝罪し、契約解除。さらに、昨年野球賭博で解雇された笠原将生、松本竜也は練習中にまで「声出し」と呼ばれる賭けに興じる選手たちの姿を証言。その結果、桃井恒和会長、白石興二郎オーナー、そして、「ナベツネ」こと渡辺恒雄最高顧問の引責辞任が発表された。

     週刊文春記者・西崎伸彦は『巨人軍「闇」の深層』(文春新書)において、それらの問題を読売巨人軍が抱える構造的な問題と看破している。いったい、「紳士」たるはずの巨人選手に何が起こっているのだろうか? 

     一連の野球賭博事件は、15年9月30日、読売ジャイアンツ球場に、野球賭博常習者の松永成夫がやってきたことに端を発する。彼は、福田聡志選手に貸した195万円の返済を求めて乗り込んできたのだった。その後、芋づる式に笠原将生、松本竜也らの関与が発覚し、球界を揺るがす大事件へと発展する。

     3選手の解雇が決定し、事態は沈静化の兆しを見せたものの、16年2月、笠原の告白から再び事件は動き出す。週刊文春の取材に応じた笠原が、野球賭博に至った経緯をつぶさに語ると、この記事に触発された松本は、選手寮内で恒常的に行われていた賭けトランプや賭けマージャンなどの実態を告白し、練習中にエラーした選手に対する賭けの実態を証言する。さらに、文春の綿密な取材によって浮かび上がってきたのが、高木京介の名前だった。文春側が巨人に対し、正式な質問状として高木の野球賭博への関与を確認すると、回答期限の翌日、巨人軍は高木の野球賭博への関与を認める緊急記者会見を行った……。

     いったい、なぜ巨人軍では、このような犯罪行為が横行しているのだろうか? 筆者・西崎は、過去の事件を検証しながらその原因を探る。

     かつて西崎がスクープとして報道し、世間の注目を集めたのが、原辰徳監督(当時)が巻き込まれた恐喝事件。過去の女性問題で恐喝を受け、一億円もの大金を暴力団員に支払っていた経緯を報じたものだった。しかし、実は記事になる前、この動きを嗅ぎつけた巨人軍側は、記事の広告を差し止める仮処分申立を東京地裁に起こすなど、躍起になって週刊文春側に対して圧力をかけてきた。彼らは、原監督は脅迫の被害にあっただけであり、恐喝の相手は反社会的勢力に所属するものという認識はなかったと言い逃れをしている。

     「プロ野球の憲法」と呼ばれる野球協約には、「暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会的勢力と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求はまた申込み、約束すること」に対して、1年間もしくは無期の失格処分を規定している。加害者側が「反社会的勢力」であると認めれば、シーズン途中に原監督の退任も避けられないのだ。また、警察側も巨人軍に対して、加害者は「反社会的勢力」ではないと説明。実は、原監督は2009年、暴力団排除をうたう警視庁のポスターに起用されており、反社会的勢力との交際が発覚すれば、警察としてもメンツが丸つぶれとなってしまう。余談だが、覚醒剤取締法で捕まった清原も西武時代に「覚せい剤打たずにホームラン打とう」というポスターに起用されている……。結局、原監督はお咎めなしのまま、続投した。

     反社会的勢力や密接交際者がプロ野球選手に近寄ってくるのは珍しいことではない。12年の日本シリーズMVPに選ばれた内海哲也は、元暴力団員に女性との交際トラブルの解決を依頼。この人物は、阿部慎之助と小泉麻耶との不倫スキャンダルにも深く関わる人物であり、「密接交際者」として球界では悪名高い人物であった。さらに遡れば、1990年に発覚した「投げる不動産王」こと桑田真澄による、元暴力団関係者に対する「登板日漏洩事件」でも、巨人軍は野球協定にある「1年間の出場停止」を「1ヶ月の公式戦出場停止」に捻じ曲げ、事実関係もうやむやなまま事なきを得ている。

     もしも、過去に問題を深く掘り下げ、抜本的な改善がなされていたなら、今日の反社会的勢力と選手との関わりや、野球賭博との関わりも防げたはずだ。しかし、問題を先送りにし、対処療法を繰り返してきた「球界の盟主」は、その傷口から延々と膿を出し続けることとなる……。

     残念ながら、今回の野球賭博事件でも「根本治療」が果たされることはないだろう。

     賭博事件以降、『産経新聞』と『サンケイスポーツ』のインタビューにおいて「声出し」と呼ばれる賭け行為を告白した笠原に対して、巨人軍は事実に反する情報を流布して情報の撹乱を意図しているとNPBに緊急の対処を求めた。また、NPBもその姿勢を後押しするように、『産経新聞』に対して記事の訂正を求める抗議書を送り、事実上の取材拒否となる管理施設内への立ち入りの通告を行っている。

     高木の賭博発覚から7ヶ月。膿を出し切ったはずの現在もなお、野球賭博に関わった「第五の選手」の存在が噂され、各誌では水面下での取材が行われている。巨人軍を巡るスキャンダルは、まだ終わらないだろう。

  • 明治大学の一場には栄養費として200万円を渡す。高木京介は1年間の失格処分で無期失格処分の三選手と違い再びプロ野球のマウンドに立てる。野球賭博に関与した第五の疑惑選手がいる。清原は女子アナ出身の巨乳タレントと一緒にクスリをやっていた。また清原は、裏カジノに百億円のカネを流用して逮捕された大王製紙の井川会長も六本木のママつながりだった。小学生の息子とキャッチボールのためだけに平日朝8時半から神宮球場を借り切った。
    原辰徳も一億円恐喝され支払い、内海も阿部も女性絡みでスキャンダル、桑田も投げる不動産王とカネの亡者で巨人の選手は金づると狙われ魑魅魍魎の世界でもうむちゃくちゃというのがわかった。

  • 20160906

  • 野球そのものの話はありません。

  • 巨人軍を揺るがせた野球賭博問題、原監督の恐喝事件、清原の覚醒剤事件などを週刊文春の記者が纏めた内容だが、読み終わっても何だかなぁというモヤモヤ感だけが残った。

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