堕ちられない「私」 精神科医のノートから (文春新書 999)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609994

作品紹介・あらすじ

うつ病などの心の病にかかったり、ドラッグ、暴力などの問題を引き起こしたりするのは、実は「堕ちる力」を失った人である。私はそのことに診察室で気づいた──。誰もが表向き「健全なクリーンさ」を演出する時代。でも、人間ってそんなに明るく健全なものですか?精神科医の説く21世紀の「新・堕落論」。高学歴・一流企業に勤めるミナコ(20代)。不眠不休で働き続けて頭が真っ白になって来院。「そんなにがんばらなくていい」というアドバイスに、ミナコは言った。「その、がんばらない方法を教えてください!」居酒屋チェーン店の過重労働で様子がおかしくなっているのをみかねた妻に連れられてきたハヤト(30代)。完全にマインドコントロール下にあるハヤトを見て著者は思う。「昔、新興宗教が果たしていた役割を、今はブラック企業が担っているのではないか?」インスタグラムの「いいね!」が減るのが怖くてたまらず、行きたくないところへ行き、食べたくないものまで食べてフラフラになっている女性患者・・・・。30年もの豊富な臨床経験を持つ著者が、「いまだかつてない上昇圧力の強い時代」に生きる人々の悲喜劇を通し、「堕ちることをおそれない」生き方を探る。理想の上司、理想の夫婦、理想の親子、理想の母親──もう、そんな理想の○○から思いきってストンと堕ちてしまおう。堕ちてみないと、この快感はわからない。香山リカの新境地ともいえる意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 久々の新書は夫の本棚から。
    時々、「うんうん」とうなずくこともあったり…

  • なんだろう。あんまりにも主観性が強い。
    いろんな患者さんが出てくるが、
    心の病気になるとき、本来の性格とかなり異なったりするので、
    その状態の人間の例を出して感想を言い出すのはなんだかなあ。

    ただ、自分磨きによって
    自分の本当にやりたいことが叶うのは
    違うんじゃないのかって
    問題提起している点は良かった。
    カフェで朝ゆっくり新聞を読むのが夢に対して、
    自分磨きを頑張るのはまた別じゃない?みたいな

  • 安定感があってよい

  • S146.8-ブン-999 300424470

  • 146

  • カウンセリングを通して感じた「堕ちる」ことの大切さを語った精神科医の香山リカ氏による一冊。「今の時代は見せかけの繁栄に満ちているが、私たちは、精神の荒野という新たな廃墟に立っている。今こそ真の「堕ちる力」を持ち、「堕ちる」ことによって人間が救われるときだ」(P9)という筆者の言葉にひかれて読み始めた。「人並みには!」「目標を持って!」「理想の何々に!」という、上昇志向を求められる、なんだか世知辛い今の時代にとって、大切な考え方の一端が示されているように思う。「等身大の感覚」(P50)というのは確かにキーワードな気がする。ただただ堕ちればよい、誰もが堕ちればよいとは思わないが、この「堕ちる力」の感覚は持っていないと、心と体は必要以上のストレスを感じてしまう時代なんだろうなとは思う。
    「堕ちたからこそ見える風景、味わえる快感、出会える人々が必ずいる。そしていったん堕ちたからこそ、私が本当にしたいのはこれなんだと気づくこともたくさんあるだろう。そこからまたゆっくり歩みだし、疲れたらまた堕ちる。それでよいのだ。堕ちることを怖れない。堕ちる力を疑わない。それは自分を信じ、人間を信じ、世界を信じることにほかならない」(P222)

  • テーマとしてすごーく大切なことを書いているけど、どうにも著者の香山さんの表現が追い付いていないように感じた。
    でも、わたしもこれとおなじようなことを最近ずっと考えていて、ほんとうに、いまのひとたちは堕ちることができないくらいに努力とか成長とかいう目標を刷り込まれているように感じる。
    「ちからを抜くために努力する」なんていうことがただの笑いごとではなくなってしまうような、そんな未来がうっすら見えてしまう。

  • うーん、あまり学ぶべきものはなかったな。
    精神科医がわざわざ本にすること内容ではないだろう。

  • こうしなければ、いけない。こうでなければ、いけない。自分探しをしないといけない。確かに、自分が好きでやっていることなのか、それとも、やらされていることなのか、分からなくなる時があります。

    本書は、気楽にいこうよ!と言う感じの本。具体的な処方箋と言うよりも、香山さんの元に訪れる患者などの具体例を見せることで、そんな自分に気付いてもらおうと言う本。

    努力が必ず報われる訳でもないし、全てがうまく行くこともないかもしれないからこそ、たまには何も考えずに、肩の力を抜いて、何もしないこと。ほったらかしにすることも大切かなと思う。

    でも、もしないと課そうとしている自分もいけないので、やはり無意識に実行しないと。

  • 【「理想の○○」なんてつまらない】理想の上司や部下、理想の夫婦や理想の親子。こんな妄想があなたを追いつめる。ネット依存、薬物、うつ等現代人の病の深層を探る。

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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