日本破滅論 (文春新書 871)

  • 文藝春秋
3.96
  • (23)
  • (26)
  • (15)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 217
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608713

作品紹介・あらすじ

この国の政治、経済、社会に危機をもたらしたものは何か。構造改革、デフレ下の大増税、自由貿易至上主義、ポピュリズム…その根本にある日本の病理を気鋭の論客二人がえぐりだす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 痛快!

    破滅論に秘められた、物事を達観し、本質を見抜くという思考回路。

    この国の政治、経済、社会に危機をもたらす、構造改革、デフレ下の、大増税、自由貿易至上主義、ポピュリズム・・・

    その根本にある日本の病理が透けてみせる。

    ヨーロッパの大学で学んだお二人の痛快な対談でした。

  •  

  • 決めるのが政治でなく、議論するのが政治。なるほどと思う。
    フレーズで洗脳し闇雲に決めることに、違和感を覚えた。その理由も、そこにある気がした。
    しかし、しょーもない議論に時間を使うのは勘弁願いたい!

  • 社会
    経済
    政治

  • 何年か前に手に入れて半分ほど読んでいたものの、諸般の事情で中断していたので最初から読み直した。対談本なので気楽に読めそうとおもってチョイスしたけど、出版は5年前なので出てくる話題がどうしても古さを感じさせる。これはまあしかたがない。5年前というと第2次安倍政権発足前で、当時は民主党野田政権だった。そのような事情から本書では民主党政権に対する批判がいろいろ出てくる。さすがに5年前となるとわたしの記憶もかなりあいまいで、「ああ、そういえばそんなこともあったな」と前政権時代を回想するのにはいい機会だった。
    とはいえ当時は民主党政権末期で政権交代の熱はすっかり冷め、それどころか政府の震災対応をめぐってかなり批判的な世論もずいぶん見られた。そんな時期に注目を集めていたのが橋下氏であり、これを反映してか本書はひとつの章をまるまる使って「橋下現象」批判を展開している。まあ「橋下現象」批判を彼らが展開するのはとくにおどろくことでもないのだけど、しかし批判のボリュームがわたしの想像以上だったので、さすがに食傷気味だった。さらにいえばその主役が政界引退を表明した現在となっては、敵のいないところに弾を撃っているような空しささえ感じる。もちろん「橋下現象にはそれだけの勢いがあった」ということはできるし、実際このことはたとえば去年から今年にかけて東京で巻きおこった「小池現象」からもある程度の類推が可能だろう。とはいえ「小池現象」は先日執り行われた総選挙でひとつの区切りを見せたことは記憶に新しいわけだけど。
    ただ橋下氏本人に対する評価はともかく、「橋下現象」に対する本書の分析は的を外しているようにわたしは感じる。「橋下現象」というのは、平たく言ってしまえば【本来の意味における】「反知性主義」(つまりは反権威主義)であって、最近の事例でいえば「トランプ現象」がそれに近いのではないか。つまりは「反知性主義」といってもそれは知性そのものの否定ではなくて、知性とはなんであるか、どうあるべきかの判断が権威主義的に決定されていると感じる人がそれだけいて、その人たちのフラストレーションが爆発して政治的ムーヴメントを発生させたと解釈する方が説得力があるとわたしは考える。だから「橋下現象」をイデオロギーで解釈することにはそもそも無理があるだろう。この文脈で保守とは本来なんであるかというような話を展開したり、「橋下現象は冷戦構造を引きずっている」と言っているご本人が、むしろ冷戦構造というイデオロギー的な枠組みにとらわれているような感さえある。さらにつけくわえるなら「橋下現象」の背景には大阪特有の事情というものも多分にあるわけで、そういう事情に特段ふれずに「今や勝ちに乗じているだけです。なぜ今、組合叩きが流行っているかと言うと、組合の力が落ちているからです」と言われても説得力がないだろう。
    だから「橋下現象」を理解するのにウェーバーだのトクヴィルだのオルテガだのノエル・ノイマンだの、そんなむずかしい話は持ち出さなくていい。というか、その種の議論こそがまさに権威主義的に見られるわけで、自分からわざわざ相手の射程に入っていって何がしたいのか、とはおもうところ。とはいえ「反知性主義」ということばが本邦で広く流通したのはここ2,3年の現象だと記憶しているので(そしてこの概念に対する理解が本邦で深まった背景には、森本あんり氏の著書の影響が小さくないだろう)、5年前の時点でここを見据えた議論を展開するのはたしかに困難ではあるだろう。
    対談本なので議論がラフなのはしかたないし、つまらないということはなかったけれど、結論をいうとやはり食い足りなかった。とくに著者たちが自分たちから提言をするという場面では観念論的でどうも輪郭のぼやけた感じになって、わたしが期待していたのとは議論の方向性がちがった。「正直、このくらいの議論ならたとえばツイッターでだれかが書いてる話を見ているだけでも、タダでかなりの部分勉強できちゃうよなあ、いまの時代」とおもってしまったあたり、わたしの感性も本書を入手した数年前とくらべてかなり変わったのだとおもう。
    あと、最後の章でやたらマクドナルドが槍玉に挙げられるのはさすがに気の毒だとおもった。しかもマクドナルドはある種の経済学をたとえるのに持ち出されるだけで、マクドナルド自体はさほど関係ないけど、まあ「プリウス」みたいな役回りなんだろう。このあたりのレトリックにも時代を感じた。

  • 震災を食うという考え方を重要視すべきだと感じた。社会的な危機に陥ったとき、それを克服しようと大きな発展が生まれる可能性がある。

  • 非大衆人でありつづけたい。多数決の怖さを意識することが、基本かな。

  • 対談本にしては綺麗にまとめられた良書!!

    誰もが社会に対して薄々感じている違和感の正体がわかりやすく解き明かされる内容である。
    多方面の知識、視野をいかした話題のようだが、述べていることは実は当たり前で尤もなことばかりである。

    また対談を通して、著者陣の志や姿勢、そして人としての魂を感じ取れるのも読みどころ^^

  • 無思考、無教養はいただけない。ムードに流れず、自分の頭と心で判断したい。

  • 自分がいかに無知であるかを痛感させられた
    政治、経済、パラダイム、柔軟性と時代を見据える視野の広さを養うことで一個人として恥じぬ生き方をしていきたい

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野剛志の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三橋 貴明
佐藤 優
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×