- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163916590
作品紹介・あらすじ
福岡県北九州市で7人が惨殺された凶悪事件が発覚したのは、2002年3月のことだった。逮捕されたのは、松永太と内縁の妻・緒方純子。2人が逮捕された2日後に現場入りを果たして以来、20年間にわたってこの〝最凶事件〟を追い続けてきた事件ノンフィクションの第一人者が徹底的に描く、「地獄の連鎖」全真相。
全576ページにおよぶ決定版。
著者紹介
小野一光(おの・いっこう)
1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。著書に『風俗ライター、戦場へ行く』『連続殺人犯』『震災風俗嬢』『新版 家族喰いーー尼崎連続変死事件の真相』『冷酷 座間9人殺害事件』『昭和の凶悪殺人事件』など。
感想・レビュー・書評
-
著者の真実を伝えたいという執念を考えると評価は5なのですが。。。
サイコパス(松永)の残酷さを思うと、素直に5がつけられないという複雑な心境に至っております。
そもそも、なぜこの本を読んだのか?
読売新聞の書評欄でこちらの書籍の紹介を目にしたのですが、あらすじがぶっ飛んでいて内容が理解できなかったのです。そこで、図書館で予約して読んでみる事にしました。
(予約して4か月くらい待った)
本を見てびっくり!厚みが4㎝弱あります。文章もびっちりめで、しかもハードカバー。
本からの圧が強かったため、速攻で読みました。
読んでみての感想ですが、本物のサイコパスは加減を知らないので、つけ込む隙があればどんどん入り込んでくる。
私利私欲(松永の場合、お金)のために、都合のいい人物に狙いを定めたら、マインドコントロールし資産を吸い上げるだけ吸い上げ、これ以上吸い上げるものがないと判断したら切り捨てる。切り捨て方もマインドコントロールしている人物に殺人を指示するというやり方で、
自分の手を汚さず人を殺める。
今回の事件で多人数の犠牲者が出た理由の一つともいえます。
数は少ないと思いますが、この手のタイプが身近にいないとは限りませんし、今後出会わない可能性が0%とも言い切れませんので、自分なりに人間関係を切る時の基準を作っておくといいのかな、と思いました。
サイコパスは人の弱みに付け込んでくるので、ターゲットに冷静さを失わせ判断能力を失わせる状況をつくります。その瞬間、地獄の入り口が開いてしまう。
サイコパスと早めに縁を切るためにも、どういう時に人間関係を切るのか、という基準を作り、家族・大切な人と共有しておくといいのかも?と思いました。
(実際、サイコパス被害に遭っていないので経験談が語れない)
この本から学んだことは、以下2つ。
・殴る・蹴るなどのDV行為を行うものからは一刻も早く
逃げる。
・お金の貸借は人間関係が切れる時。
貸したら戻ってこない(あげる覚悟)と思って貸す。
その時は人間関係が切れる覚悟で!
この2つが揃ったら、今までの思い出とか、育んできた情とか、プライドも何もかも捨てて縁を切った方がいいと思いました。サイコパスと縁を切らないことで受ける被害は自分だけでなく、家族、友人関係へと蜘蛛の巣状に広がってしまうのが怖いのです。
著者はかなり詳細な情報を文字で伝えています。
(読んでて具合が悪くなるレベル)
読むと残酷な事ばかりで辛くなってくるのですが、この事件から学ぶことはあると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリアルキラーものに強く惹かれてしまう自分が怖い。。
-
これが現実に起きた事件だなんて信じたくないくらい残虐。
サイコパスによる洗脳はこんなにも逃れられないものなのか。。
度々気分が悪くなって斜め読み。 -
youtubeやまとめサイトなんかでよく取りあげられてる超超有名な事件。
通電や「事実関係証明書」を使った恐怖支配によって、一家まるごと+αを監禁、殺し合いをさせた手口は有名だけど、どのように事件が判明し裁かれていったのかは知らなかったので、新鮮だった。
わたしが見たサイトや動画では、松永が緒方と知り合って〜と、事件を時系列で見ていくものばかりだったし。
最初は、17歳少女が警察に駆け込んだことにより、監禁事件が発覚。そこから芋づる式にこんなえげつねぇ事実が出てくるなんて、だれも思いもしなかっただろうな。
とても興味深い本。でも、とにかく長い&事実の羅列が多い。ノンフィクションなんだから当たり前だけど、オーディブルじゃなかったら挫折してたかも。 -
2023年10月2日読了。
九州という土地がサイコパスを産む素地を備えているのだろうか。この松永太然り、ママ友を洗脳した赤堀某という巨漢主婦然り何故にここまで人を思うがままに操作する怪物が産まれるのだろうか。
被害者にもある一定の傾向が見て取れる。皆一様に世間体を気にし、「家」を重んじている。恥の感情に入り込むことに長けた松永太の狡猾さは生まれながらの才能なのだろうか。傍から見るだけでは子供騙しも甚だしい嘘に皆が絡み取られた事実をなかなか理解出来ない。
一刻も早く松永の処刑が叶うことを心底より希求する。生きていてはいけない人間である。 -
センセーショナルな語りに流れるのではなく、事実を丹念に拾い上げている。だからこそ、余計に精神にくるものがある。
-
この本を読む方はすでに豊田正義の『消された一家』を読んだことがあるか、あるいは当事件をモデルにした小説や漫画を読んでいるかも知れない。本書は裁判記録や関係者への取材を多く引用し、そのためにやや物語調に書かれている『消された一家』より読みづらいと思うかも知れない(あと単純にページ数も多い)。しかしそれにより事件の凄惨さ、救われなさが事実として非常な重たさを持って感じられる。
ちなみに読む時は気力と体力が十分にあるときに読んだ方がいいです。 -
筆者の個人的な感情は出来るだけないように、事実とされていることを残しておかなければという強い意志を感じた。流れがわかりやすくどうやって進んでいったかがとても理解出来ない事件なのに頭のなかにすっと入ってきた。
-
生い立ちから事件を経て判決まで事実が淡々と列挙されており、著者の推測や憶測は皆無でノンフィクションとして読み応えがある。淡々と事実の列挙であることから、事件の凄惨さや異常性をひしひしと感じる。読んでいて気分が悪くなることが多々ある。
某有名芸人がバラエティ番組で松永死刑囚が裁判で爆笑をとったなどと吹聴していたらしいが、この本を読んで感じたのは″爆笑″ではなく、自分が主犯のくせに最後まで醜く自己弁論を繰り返す態度への″冷笑″だと思う。いくら弁が立つとはいえ、この事件の残虐さを知っていたら、まともな人間は笑えない。