- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163915821
作品紹介・あらすじ
僕には【サバの味噌煮の缶詰】を見ると思い出す友だちがいる。小学校の運動場。放課後にサッカーボールを追いかけることだけが人生の全部だった、あの頃。そこにはタケちゃんがいた。小学校最後の夏休み、僕はタケちゃんと一緒に冒険の旅に出たーー。
懐かしくて、じんと来る、笑いと涙の映画『サバカン SABAKAN』(2022年8月19日全国公開、出演は番家一路、原田琥之佑、 尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、草彅剛)。本書は金沢知樹監督が書き下ろした原作小説です。
「サバカン SABAKAN」「ガンダムの恋」「弟と少年ジャンプとプラネットマン」の三篇を収録。
感想・レビュー・書評
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まさに80年代の昭和の時代の子供らが主人公。
ある意味の悪ガキが悪ガキとして通用し、大人や先達がゲンコツを見舞っていた時代の大らかさと繊細な情が長崎を舞台に描かれている。お笑いを散りばめた表題作のサバカンは公共の場で読む事注意。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和60年代(1980年代)の長崎を舞台にした、小学校6年生の主人公(作者?)を中心とした物語である。あの時代を過ごした「男の子」なら、誰もが思わず「うんうん…」とうなづくであろう日常生活、風俗習慣、が、これまた郷愁を誘う方言(ここでは九州、長崎の「…たい」「…やもん」という口調である)で、実に平易な文体で描かれており、読みやすい。
読みやすい、とは言ったものの、果たしてこんな日常会話のような文体で、実にその情景を読む者の頭の中にありありと(時には夏の日差しやのどの渇き、殴られた時の痛みまでも…)思い浮かべさせてくれる、これはもう作者の才能と言っても良いのではないかと思う。実際、小学生が書いているのに、妙に心に訴えかけてくる優れた作文、を読ませてもらっているようで、実に心地よい。
ところで私自身は昭和40~50年代に小学校に通っていたので、この小説の主人公とは20年近くは世代が異なる。しかし、あの時代、そう昭和というのは、戦後、高度経済成長という過程を追ってきたにしても、家族のつながりとか、社会情勢とか、テクノロジーとか…、もろもろの物事は、「あまり変わらなかった」時代だったのではないかと思う。そのことが逆に、皆をのんびりとさせ、誰かに言われるでもなく互いに助け合い、貧富の差こそあれ誰もがそれなりに生活していた…、良い時代だったのかなとも思う。
脱線してしまい、また繰り返しになるが、実に平易な文体でみずみずしく描かれた、昭和の子どもの楽しい日記のような文学作品である。子どもの日常生活を、ここまで魅力あるものとして表現してくれた作者に、大いに感謝したい。映画化もされているとの事で、書籍を読まずに、映画館でこの世界観を体験したかったな…とも思う… -
映画に出てくるシーンが散りばめられていて
あぁ、このシーンよかったなと思いながら、
もう一度サバカンに浸れる一冊。
金沢さん故の例え方やククッと笑える表現が映画よりさらに詰まっている。
本編でたくさんおもしろがあるからこそのあとがきにやられました。
笑いと涙がこんなにも共存しているのはなかなかないんじゃないかなと思います。
また読むだろうと思います -
ニヤニヤしながら又ある時は声を出して笑いながら読み終えた。いや実に面白い本に出会えた。九州弁も完璧だ。著者の履歴を見て成る程と納得、長崎生まれだった!自分の子ども時代も似たり寄ったりだったな。
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映画原作だから読んだが、好みではなかった。
でも、サバの味噌煮間寿司はどこかでチャレンジしようと思う。
よくある田舎の、どこにでもいる子供と、ちょっと誇張された大人たちの、わりとなんでもない話を劇的にするのが上手だと思った。 -
80年代の子供を描いたノスタルジー溢れる短編。
どれもサラッと読めて良くも悪くも軽い。
文中のツッコミ?だけが現代語調なのは意図したものだったのだろうか。 -
ある年の思い出、ってところだが、いかにも類型的な運び。
映画にガンダムは出ていないのだろうか?