孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか

著者 :
  • 文藝春秋
4.13
  • (26)
  • (31)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 276
感想 : 30
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914800

作品紹介・あらすじ

改革を目指した「政界一の喧嘩屋」はなぜ総理の座を追われたのか――。
安倍・麻生との確執から、河野・小泉との本当の関係まで、
担当記者だからこそ書ける菅義偉の実像。

「歴代総理の中で、菅ほど、その実像が伝わらなかった宰相はいなかったかもしれない。一体、どこで何を誤ったのか。この6年あまり、担当記者として菅の息づかいまでを間近で感じながら取材を続けてきた私だからこそ、その真実を探し出せるのではないかと考えたのが、この本を執筆した理由の一つである」(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 菅義偉氏の担当記者によるノンフィクション。「令和おじさん」での人気から、側近スキャンダル→コロナ禍での安倍氏との齟齬→安倍辞任・菅総理誕生→菅辞職までの浮き沈みが、密着取材に基づいて書かれている。ほかの政治家や官僚への批判(というよりも悪口)も結構記録されていることに驚く。

    もっとも筆者は、菅氏を改革志向として割と好意的に描いている。たとえば、脱炭素宣言や「1日100万回接種」は、賛否があるとはいえ、菅氏のトップダウンだったようだ。

    だがトップダウンの裏腹として、熟議の軽視や国民への説明不足があり、また官房長官時代のやり方を変えられなかった(スピーチの練習をしようと思ったが、結局やめたらしい)。これらが、内閣総辞職へと至る原因として指摘される。本書全体が詳細な取材に基づき、かつ菅氏に好意的なだけに、説得的な指摘である。

  • 表面的なマスコミ報道や内閣支持率に頼り過ぎず、もう少し腰を据えて菅総理に国の舵取りを任せるべきではなかったのかと思いました。

  • この本に書かれていることが全て事実ならば、自分は菅義偉という男を随分誤解していたし、この国のリーダーとして本当に相応しい人物だったのではないかと思う。しかし、本書でも指摘の通り如何せん口が下手すぎた。我々はメディア越しにしか政治の世界を見れない。ならばやはり、メディアは上手く使うしかない。

  • 菅さんが推し進めた数々の政策が、菅さんの決断力、推進力があったからこそ成し遂げられたんだと分かった。
    当時の菅さんが何を思っていたのか会話の中で語られており面白い。
    本当に国民のことを考えてくれていた総理なんだと思えたし、より一層退陣に追い込まれてしまったのは悔やまれる。コロナがもう少し早く収束してたら確かに違ったかもしれない。。

  • 結局のところ、国民が無能だと、いつまでたっても政治がよくならないとは感じた。パフォーマンスではなく、しっかりと、仕事の成果を評価することを国民としてやっていかないといけないのではないだろうか。岸田さんの政治がゆるせない人たちはみんな、こちらの書籍は必読だと感じた。

  • なんかかなり読んでて辛かった。
    ご本人は実直で実行力があり、相当剛腕だったようだ。政治家を目指した動機も極めて純粋でその気持ちを持ち続けて総理にまで上り詰められたように思う。

    正しいことをやって入れば、必ず評価される筈だ。
    その信念と、朴訥としたお人柄は極めて好ましいと個人的には思うのだけど、残念ながら民主主義においては、政治のトップには「どう見られるか」という大事な視点がある。そこが弱かったのか。

    実績に評価が伴わない。

    意外だったのは、それをかなり気にされていたということ。とても悲しかった。
    この本の著者にはご本人からも積極的に連絡を取って「愚痴」っていた節があるし、何でもおひとりでなさらず、信頼できるチームがあればまた結果が違っていたかも知らないと思う。

    ただ、ご本人が「正しい」と思ったことが本当に正しいのかはまた別。
    例えば、特定技能についても、進めるのはいいとして、そこから生まれるかもしれない弊害とか、その対策について、本当に検討されたのだろうか。
    やるのはいいが、動き出したら止まらない日本の政治では、本当に堤を崩すアリの一穴になりかねない気はする。

  • 菅前総理の働きぶりや人柄が著者によって克明に表されている良本。
    叩き上げ、無所属で総理大臣まで登り詰めた理由がとても理解できた。
    合理的でやると決めたことを徹底的にやりきること、その能力が政治家として非常に優れていた。
    一方で叩き上げであるからこそ成果を出せば評価されると考えていた部分が仇となり、国民と積極的に対話しなかったと評価されたことで、早期退陣に追い込まれてしまった。
    今回の激動の一年を踏まえて、未来の暗い日本の政治にこれからも貢献してほしいと思わされるような一冊であった。

  • 今更ですが、菅さん本。
    菅さんが辞めてからの方がコロナ感染者は圧倒的に増えてるし(オミクロンの影響は大きいけど)、岸田さんよりは仕事してたよなとも思う。
    一方で、統一教会と菅さんの関係はどうだったんだろう?というのも気になる。
    しかし、かなり前の話な気がするけど、1年前の話なんだな。

  • まさに、仕事ができる人がリーダーとなりうるかはわからない、という典型例。メディアや世論の雰囲気に画一的に思い込まず、立場の違いをみた多面的な見方が必要。

  • 今までビジネス書ばかりで、政治に興味がなかったが、初めて興味を持つきっかけをくれた。そんな価値の本

全30件中 1 - 10件を表示

柳沢高志の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×