ミカエルの鼓動

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914428

作品紹介・あらすじ

この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。

大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 柚月裕子さんの467ページにわたる医療ミステリーの力作です。
    私は柚月さんのファンですが、この作品は私的には「うーん」でした。
    手術のシーンの描写はどれだけ勉強したのだろうという凄いものでしたが、エンタメ的な面白さは前作の『盤上の向日葵』『検事の佐方』シリーズなどと比べるといまいちと思いました。ミステリー的な要素が弱いと思います。

    ストーリーは北海道中央大学病院に勤務する、心臓外科医でミカエルというロボットを操作して手術をする西條とミュンヘンから帰ってきた心臓外科医で自分の腕一本で手術をする真木が12歳の患者白石航の手術をどちらがやるのかの判断をします。
    ミカエルにはとある噂話があり西條は考え抜いた末、最善と思われる判断をしますが…。


    この作品、描写が細かいのですが、ストーリーはそんなに複雑ではないので、これ以上書くと最後まで書いてしまうのでやめておきます。

    そのかわり、作者の柚月裕子さんについて知っている逸話を書きます。
    4,5日前にやはり柚月さんの経歴をレビューに書かれているブク友さんがいらっしゃいました。
    その中に柚月さんが小説の市民講座を受講されていましたと書かれていましたが、私も同じ講座を受講及び運営のお手伝いをやっていました。
    今ではもちろん柚月さんを応援する地元のファンの一人でもあります。

    私は講座創設直後からのメンバーだったのですが、柚月さんは私が講座を一旦、止める直前に入って来られました。(一旦止めて、再受講しました)
    第一印象は「孤高の人」。受講生の誰かとつるむことはせずにいつも、講座のゲストの作家の先生と話されていた記憶があります。(講座のゲストは月替わりです)

    柚月さんが講座に作品を提出されたのは私が止めてからなので、残念ながら私は柚月さんの習作は拝読していません。東京からやってきた作家の先生に「この人は化けるかもしれないよ」と言われたという話は有名です。

    柚月さんは「このミス」で『臨床真理』という作品で大賞を受賞してデビューされます。
    講座のコーディネーターの文芸評論家の池上冬樹先生によると「水臭い。書いてること言ってくれなかった」という話です。池上先生は応募作もみてくださるのですが、柚月さんは一人で応募されたらしいです。

    柚月さんはとにかく経験がないので何でもとことん調べて書かれるとおっしゃっていました。

    柚月さんは地元では一番の人気作家で(講座からは他にもかなりの人数がデビューされてはいますが)講演会やら地元のテレビ出演やら、持ち前の美貌と話力が凄いです。

    講座にいたとき、私は受講生の連絡係をやっていたので、柚月さんとメール交換はしたことがありますが、一対一で話した記憶がありません。人数は当時30名程だったのに。

    だからこちらは一方的に柚月さんを知っていますが、柚月さんは私のことは記憶にないのではと思います。

    蛇足になりますが、私は小説を書きたいと思ったことは一度もなく書いたこともありません。講座にはあくまで知識欲と友達作りのために通っていました。

    私が通っていた頃は、講座のことはネット流出厳禁と訊いていましたが、最近解禁になったようなので書いてみました。(でも、あんまり知る人ぞ知るの情報がなくてつまらなかったかもしれないですね。ごめんなさい(__))あまり噂話が過ぎるのも何なのでこの辺で…。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      以前、面識があるって言われていたのはこの事だったんですね♪
      そういう講座に参加される意欲、素敵です¨̮♡

      この...
      まことさん♪こんばんは♪

      以前、面識があるって言われていたのはこの事だったんですね♪
      そういう講座に参加される意欲、素敵です¨̮♡

      この作品は購入して積んでますが、気合い入りそうですね。
      読みたい欲が訪れたら読もう!
      ありがとうございます♡
      2021/12/01
    • まことさん
      くるたんさん。
      そうです。
      この事でした。
      だから、このレビューは、一番、くるたんさんに読んで欲しかったので、読んで頂けてよかったです。(前...
      くるたんさん。
      そうです。
      この事でした。
      だから、このレビューは、一番、くるたんさんに読んで欲しかったので、読んで頂けてよかったです。(前に言ったことの、説明として)
      買われたのですね!
      楽しんでください。
      2021/12/01
  • 丁寧なリサーチに裏付けされた医療小説。
    手術シーンの描写は、まさに圧巻!
    専門用語への理解は追いつかないものの
    ドキュメンタリーを見ているような錯覚を覚えます。

    この作品には、鍵になる二人の医師が登場します。
    一人は、大学病院で将来の病院長を嘱望される西條。
    ロボット支援下手術のスペシャリストで、
    この装置を使う医師で彼の右に出る者はいません。
    もう一人は、真木。
    西條の勤務する大学病院に突然現れる心臓外科医。
    世界に通じる技術の持ち主で、
    彼の手術を見た医師たちは
    その正確さと速さに圧倒されます。

    そしてもうひとり、重要な人物が登場。
    深刻な心臓疾患を抱える12歳の少年、白石航(わたる)。
    航の治療をめぐって、ふたつの手術法の是非が問われます。
    ロボット 対 人間、という単純なくくりではなく、
    ふたりの医師は真剣に航を救うことについて向き合います。
    心を打たれたのは、
    身体(この場合心臓ですが)だけでなく、
    生きる意志を育む “心の修復” について述べられているところ。
    「生存しているということと、生きているということは違う」と。

    舞台が大学病院となれば、黒い影もチラチラします。
    メーカーとの癒着や隠ぺい、そして保身。
    さらに、ふたりの医師の孤独な人生を裏付ける様々な人間模様も。

    柚月裕子さんは、私の好きな作家トップ3の一人。
    今回も読み応えのある作品でした。
    でも…でも、です。
    今回は何となく違和感が残りました。
    なぜなのかよく分からないのですが…。

    もしかしたら、西條のあまりにもストイックな行動に
    感情移入できないまま読み終えたからかもしれません。
    そして、もう一人の医師・真木の人間としての強さについて、
    彼が山の中で見つけたものについて
    もっとわかりやすいヒントが欲しかったからかも。

    最後のシーンは、行く末を読者に委ねるものでした。
    西條の真摯な生き方を考えると
    もっと明るい希望の光を描いて欲しかった。
    雪山の後、航くんと一緒に向日葵の種を植えていてほしい…。

    しばらく本を読む時間が取れなくて 久々のブクログです。
    少し辛口コメントになってしまいましたが、
    柚月裕子さんの作品、心からリスペクトしています。

    • つくねさん
      あわわ、そ、そ、そこがツボなんですww

      山から帰ってこない遭難系のは読めないのですが、
      山に登ってちゃんと降りてくるなら気分が浄化さ...
      あわわ、そ、そ、そこがツボなんですww

      山から帰ってこない遭難系のは読めないのですが、
      山に登ってちゃんと降りてくるなら気分が浄化されますので読んでみたく思いましたww
      2023/06/09
    • yyさん
      しじみさん

      期待を裏切るといけないので、ひと言 (^^)
      山のシーンは、ホントに ほんの 少しです。
      そして、降りてくるかどうかは...
      しじみさん

      期待を裏切るといけないので、ひと言 (^^)
      山のシーンは、ホントに ほんの 少しです。
      そして、降りてくるかどうかは謎です。
      期待は小さくね。
      2023/06/09
    • つくねさん
      えええぇえ、降りてくるかは謎なんですか
      そうかそこらへんの解釈は読者に委ねられてるってことなんですねww
      とりあえずyyさんの3本の指に...
      えええぇえ、降りてくるかは謎なんですか
      そうかそこらへんの解釈は読者に委ねられてるってことなんですねww
      とりあえずyyさんの3本の指にはいる作家さんだとゆうことで
      図書館の予約入れましたww
      2023/06/09
  • 手術支援ロボット「ミカエル」を操る天才外科医に託された少年の命 ー

    通勤時の駅と自宅の徒歩の間、オーディブルで聴いた。少年の手術のシーンなんかは胸が熱くなり、わざわざ自宅までの道のりを遠回りしたほど夢中になった。

    さすが柚月裕子さん。
    おもしろいし、リアリティあるし、文句なく物語に引き込まれるのだ、

    けど…

    僕は結末には不満。
    どなたかがレビューに書かれていたけど、その後が知りたい、と思ってしまった。

  • 久しぶりの柚月作品(長編)。手術支援ロボット(ミカエル)の第一人者・西條と従来通りの手術を実施する・真木。ミカエルの欠陥が明らかになり、苦悩する西條。過去に父親を手術中死去させてしまった真木。この2人の対立を通して、医師が患者に対して向き合う姿、誠実さが伝わった。一方、大学は経営という観点も必要で、病院長・曾我部とミカエルを大学のウリにしたい雨宮、医師VS経営者という構図があるから故に、医師2人の苦悩が顕著になった。ラストの西條の吹雪の場面は唐突過ぎ?多分、真木のように真摯に医療と向き合うに違いない。⑤

  • 柚月裕子さんは初読みの作者になりますが
    緻密な描写に私の知らない専門用語など並べ立て無知からくる緊張が巨大組織の圧力と重なって呑み込まれそうでした。相当医療分野の知識集めないと書けないようなリアリティにもしかして手術支援ロボットミカエルの取説とか取寄せて操作できるくらい把握してるんじゃないかと思ってしまった。
    物語は、心臓外科医としてミカエルを使い手術する西城と、素手で手術する職人的気質の真木。異なる2つの才能が12歳の少年の手術をめぐって対立する。
    大学病院といったら派閥に癒着、汚職とか見え隠れする定番の雰囲気も混じるなか、物語は佳境へと引き込まれていく。主人公は西城なのに、真木のほうに惹かれてしまいました。何故かって、それは「山が好きだからです」もうこれだけで他になんの理由もいらないことは明白っw

    心に触れたのは、12歳の少年は自分の意思で選択したこと。狡い大人は人のせいにしたり言い逃れる道を用意してるのに比べると純粋でまっすぐで崇高なものに感じられました。

    それにしても、プロローグの旭岳の遭難がリアリティに欠けているのが残念に思えました。山好きの私としては遭難するなんてどんなルートで登ったんだろうと興味津々でしたが5合目までロープウェイ利用して日帰り登山するのが計画だったとのこと、姿見駅ってあったので旭岳ロープウェイからのルートのはず、だとすれば山頂までは3kmない距離の登山でコースタイムも4時間もあればピストンできる行程なんですけど。9時間も彷徨うとか信じられない。しかも山頂から避難小屋までは辿りついてる訳だからそこからロープウェイのある姿見駅までは距離にして800mのほぼ平坦な下りなんですよね。ロープウェイは通年営業してるから、朝4時30分なんて日の出前から小屋を出てもロープウェイ動いてないし、稼働する時間まで小屋で待機してから下山するのが普通の選択だと思いますけど。それに視界悪くてもガイドロープがあるし10月下旬ならまだ積雪も少ないし。このレベルで迷うことまずないと思いますが・・・。登山届は出さないとね。予備のバッテリーも必須ですね。登山するなら行き当たりばったりじゃなくもっと真摯に向き合って欲しいと思いました。
    雪山=遭難とか、山=自殺とか、そんなイメージを持って欲しくないと思ってしまいました。

  • 久しぶりの柚月裕子さん

    思ったのは相変わらず丁寧だということ

    丁寧に「人」を描いている
    ミステリー要素はあまり感じなかったです
    本人もそんなに意識してなかったんかな?と思いました

    そして柚月裕子さんが描く「人」は強い信念を持っている
    強い信念を持った主人公はそれ故に「人」としても強くあろうとする
    でもやっぱり迷いであったり、嫉妬とか何かを面倒くさいと思ったり、責任転嫁したり、欲があったりとか弱さ満載だ
    柚月裕子さんそれを良いとも悪いとも言わない、当たり前として描くだけだ
    何を受け取るかは委ねているそんな物語に感じました

  • 図書館の本で二週間しか借りられなくて、しかも予約してる方が400人以上いるから、遅延なく返さなくちゃ…!と思うプレッシャーに押し潰されそうになっていましたが。

    三日で読み終わりました。

    面白かった!!
    まるっまる医学用語ばっかりだったけど、ほんのすこーーーし馴染みがあるからか、いや、柚月さんがとてもわかりやすく描いてくれているから!
    やっぱり専門的な分野なので説明が多く、漢字も多かったですが解説書の印象はなく、むしろ出てくる人たちの人間らしさがとても魅力的で胸熱でした…。

    しかも、北海道の話だったし!嬉

    最初、ごろーちゃん!?(cv黒木瞳)
    という声と、アメイジンググレイスが頭の中を流れましたが。←

    先生モノはいいですね…西條先生に診ていただきたい私です。

    • ひまわりめろんさん
      にゃんちびさん
      こんにちは!

      400人以上って…
      自分の住んでるところではありえない数字でちょっと引きましたw
      『ミカエルの鼓動』はもちろ...
      にゃんちびさん
      こんにちは!

      400人以上って…
      自分の住んでるところではありえない数字でちょっと引きましたw
      『ミカエルの鼓動』はもちろん人気ですが今確認したら市の図書館は予約待ち69人でした

      無事読了おめでとうございます

      それにしても後ろに待ってる人がいると思うと遅れなく返さなきゃ!と思う気持ちとても共感しました
      ほんとそうですよね!
      2022/06/12
    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん

      コメントありがとうございます♪

      私は予約が早かったので、それでも50番目くらいでしたよ。本屋大賞にノミネートされてか...
      ひまわりめろんさん

      コメントありがとうございます♪

      私は予約が早かったので、それでも50番目くらいでしたよ。本屋大賞にノミネートされてからぐーんと増えましたね。
      ちなみに、元彼の遺言状は600番くらいだったのでやめました…。こりゃ数年順番にならないなと思って。

      と、思ってたらくる時は一気に数冊来たりして、また追い詰められたりする人生です。
      2022/06/12
  • 年度末で仕事が終わるのも遅く、読み始めてから4日も要しましたが、久々の柚月作品、やはり読み応えありましたね。

    柚月作品との出会いは偶然見かけて手にした「慈雨」。

    佐方禎人シリーズに日岡シリーズ(個人的にはガミさんシリーズですが)等々、ドハマリした作品ばかりで、気づけば本作で16冊目の読了となりました。

    柚月裕子作の医療ミステリーってだけでワクワクしませんか?

    勝手に大好きな知念実希人作品を手にした時のような高揚感と期待値高めで読み始めました。

    プロローグは雪山で遭難寸前の男性が描かれています。

    このシーンが本作のどのようなプロットとなるのか、つかみはOK。


    本作の主人公は心臓外科医で手術支援ロボット「ミカエル」の使い手である西條。

    そこにライバルのごとく現れたのはドイツから西條が勤める病院へ移ってきた同じく心臓外科医の真木。

    同じ心臓外科医ですが、西條は「ミカエル」の第一人者で真木は天才的心臓外科医。

    キリスト教における特別な大天使は、「ミカエル」、ガブリエル、ラファエルの三人で、「三大天使」と呼ばれています。

    その中で「ミカエル」は“神のごとき者”と言う意味で、英語だと「マイケル」、ドイツ語では「ミヒャエル」、フランス語では「ミシェル」、等々、どの国でもポピュラーな名前として使われています。

    難病を抱えた少年を救う為、西條は「ミカエル」で、真木は己の技術で手術をすることを主張。

    そんな時に「ミカエル」をめぐるとある疑念が囁かれ始め、いよいよミステリーの本流へ...

    って思ったのですが...

    まぁ、少年を救うシーンは読み応え十分でしたが、その先が...

    そっかぁ...「慈雨」を読み終えた時もどことなくこんな感じを覚えたような...

    どーーーーしても、個人的にラストが物足りないが故に☆4つ。

    でも、読みやすさ、一瞬にして世界観に入り込めるところはやはりさすがですね。




    ミカエルの鼓動【あらすじ】

    大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條泰己。

    そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木一義が現れ、
    西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。

    難病の少年に、手術支援ロボット「ミカエル」を

    用いるか否か、術式をめぐって真木と西條が対立。

    そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。

    しかも大学病院の闇を暴こうとする記者が現れ、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。

    「ミカエル」をめぐり、何かが起きている。

    そのとき、西條は――。

    天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。

    この者は、神か、悪魔か――。

    気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。

    説明
    この者は、神か、悪魔か――。
    気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。

    大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
    あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
    「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
    そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
    大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
    天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。

  • 手術支援ロボット〈ミカエル〉の第一人者である、心臓外科医の西條。
    その優位性を信じていた彼の前に、従来の開胸手術の名医・真木が現れて……。

    医療モノ。

    出世などの医師のエゴではなく、患者への平等な医療を考える西條。
    その信念は素晴らしく、理念どおりの手術を行っていく姿は、好ましかった。

    ただ、矛盾や引っかかりがちょこちょこあり、やや入り込みづらかった。
    西條の最後の決断も、共感しづらい。

    展開もストレートで、先が読みやすかった。

  • 医療をテーマにすると大学病院にありがちな派閥問題や隠蔽、厚労省や企業との癒着が多いように思うが(個人的見解)。

    この小説は、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する西條とドイツ帰りの天才医師・真木との対立が中心である。

    例えば自分が患者ならどちらに手術をして貰うのだろうか?と考えながら読み進めた。

    ロボットだと不具合が生じる事もあるのかもしれない。
    人だって絶対とは限らない…。
    信頼できるかどうかになるのか…。

    エピローグが、思い描いた結末とは少し違っていた。
    ちょっと残念。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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