警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163913445

作品紹介・あらすじ

初めて明かされる警視庁科学捜査の裏側。オウム事件、ルーシー・ブラックマン失踪関連事件、和歌山カレー事件などで科学捜査が突き止めた真実とは。

感想・レビュー・書評

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  •  「科学捜査」の第一線を拓き続けた著者の自伝的ドキュメント。地下鉄サリン事件を皮切りに、科学捜査官として関わった事件を列挙する形で警察人生を俯瞰している。
     この本には二種類の視座が存在している。一つは事件捜査における科学的な方法論をいかに担保するかという手法的な問題であり、もう一つは硬直しがちな組織の中で新しいことを導入するのがいかに難しいかという組織論的な問題である。
     しかしこれらは実は根元は一緒であり、前例に拘泥忖度せず論理のみで問題を考えるということがいかに難しいかという点に収斂する。そして、著者は科学的論理性を重んじる無私の人であったために科学捜査において輝かしい結果を上げ続けることができたが同時に組織の中で居場所が無くなる状況に何度も追い込まれたのだった。
     本書は読み応えのあるノンフィクションであるのだが、惜しむらくは自伝として書かれているため客観性に欠ける。科学的であることを重んじる筆者によるので致命的な瑕疵とまではなっていないが、それでも本来は別の筆者によるルポルタージュになることが望ましかったと思う。もう少し失敗の話もほしかったし、私生活が垣間見られる部分もあっても良かったと思う。何しろ真面目な方らしく、全体的にかっちりしていて隙がなさすぎるのである。
     本書を読了して間もなく、全然関係ないテレビで、ある識者の放ったコメントが本書を思い出させた。「組織の中に異能の人が現れた場合、その活躍する場所をちゃんと作れるかどうかというのがその組織に柔軟性があるかどうかということであり、活躍させられないような組織はもう終わりなのだ」幕末の江戸幕府についてのコメントであった。著者はまさに異能の人であり、100%ではなかったかもしれないが活躍する場が当時の警視庁にあって本当に良かったと思う。

  • 科学捜査の裏側を設立当初から関わっている著者の自伝的作品。どう考えても正しいことをしているのに、組織というものは絶対に足を引っ張る人間もいる。それでも現場のため国民のために尽くした著者には頭が下がる思いだ。

  • 極秘感がまったく無い

  • 科捜研や科警研は、昔からしっかしした組織ではなかったようで、それを今のような形に導いた本人が著した本。
    携わった事件がいろいろで、なかでも、
    地下鉄サリン事件、東電OL殺人事件、和歌山カレー事件、世田谷一家4人殺害事件、新宿歌舞伎町ビル火災、等はまだ記憶に残る事件なので、興味深かった。

  • ふむ

  • 著者は困っている人を見ると見捨てずに(助けずに)はおれない、良い人なのだろう。だから、頼まれれば、貧乏くじを引くことになることを承知のうえで、引き受けてしまう。それは、警察官としてはとても大切なことだと思う。しかし、警察官僚として、警察組織の中で生きていくにはかえって余計なことと受け取られるようだ。良い人だから、良いことをしたのだから、それが自分のキャリア(出世)に良く働くと期待するところも無くは無い。しかし、前述のように警察社会というところはそれほど単純でもないようだ。そういった警察官、警察官僚としての組織内での生きづらさがいたるところに記される。

    「警視庁科学捜査最前線」の内幕的内容。

  • 仕事に対する情熱がすごい。
    心折れそうなとき思い出したい。
    心折れてからだと熱量にやられて読めないかも。

  • 相当マニアックな内容で読みづらさもあるが、過去の大事件を科学にアプローチしていき、解決に導いていくプロセスは勉強になる。所々に警察組織への作者の不満が散りばめられているところはご愛嬌。

  • 科捜研の女ならぬ男 ノンフィクション

    サリン事件がターニングポイント
    銃火器以外の兵器、犯罪が登場。

    関東化学
    試験キット納入

    常に勉強することと常に考えること

    息子が父の志を継いで検察官の道を歩み始めたのが胸熱

  • 東2法経図・6F開架:317.7A/H32k//K

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