- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163913421
作品紹介・あらすじ
直木賞作家にしして日本推理作家協会代表理事の京極夏彦さんは、
当代きっての妖怪研究家としても知られています。
全国各地に伝わる「幽霊」「おばけ」の話にも通じています。
そんな京極さんが〝妖し〟の魅力を存分に紹介する初の講演集!
【本書で語られる主なテーマ】
▼「鬼太郎」「ネコ娘」「子泣き爺」「ぬりかべ」のモデルは実在した?
▼〝師匠〟水木しげるに学んだこと
▼「遠野物語」に登場する「河童」「山人」はナニ者?
▼「幽霊」「妖怪」「おばけ」はなぜ怖いのか?
▼絵師・河鍋暁斎はなぜ「天才」と言われた理由とは?
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
世界妖怪協会の初代会長・水木しげる氏の大ファンで、公認の弟子と称する京極夏彦氏が、小説家目線で語った全国各地での講演会を書籍化されたものです。「妖怪」や「幽霊」などと云うものは、長い時間をかけて培われてきた民俗風土の文化であり、生きるための知恵の一つとして現世を生きやすくしてきたものです。どうしようもなく行き詰った気持ちになった時は、それを「妖怪」に仮託して笑い飛ばせばよろしい。そして「怪談」の怖さを楽しみましょう。〝いたら怖いかな〟くらいの感覚でつき合えば、人生はより楽しいですよ、と語られています。
-
【「あやし」の世界の魅力を語り尽くす!】日本各地に言い伝えられる「妖怪」から江戸・明治期の絵師・河鍋暁斎、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるまで令和版「妖怪談義」。
-
講演集。京極さんの妖怪話は面白いねえ。でもこれは普段小説で書かれていることと同じなんですね。出力法が違うだけ。実にぶれない。
妖怪とはなにか。日本語の特性は妖怪に通じる。おばけとは幽霊とは怖いとは信仰とは。面白いねえ。 -
あやしいどころか理路整然と明晰に、「おばけ」と「ことば」についてご教示賜りました。日本語のいい加減さこそが概念操作を高めて解釈の幅を広げる、これが「目に見えないものは、いる」と水木先生のおっしゃるところのお化けや妖怪の解釈に通じるんですね。確かに、京極さんが著作において一貫して述べておられます。葬式とかお盆とかの意義、これに関してもなるほど。死者のためではなく、生者が別れの悲しみを乗り越えて前に進むために催すイベントですか。先祖を送り、あるいは年に一度御霊に会うために、遠路はるばる縁者が集うんですものね。
-
読んだら忘れてくれと言うものだから、務めて立ち止まらず読み進めるようにしてみた。とは言っても、妖怪との距離のとり方というか、妖怪を見る視点のようなものがとても面白くて結局あれこれ考えてしまったけれど笑
-
学生選書ツアー2023選書図書
【所在・貸出状況を見る】
https://sistlb.sist.ac.jp/opac/search?q=9784163913421 -
先生への愛が強すぎてことばよりおばけが多すぎ
-
ゆっくりゆっくり味わうように読みました。中には直接会場でお聞きした公演もあって、よくこれだけ脱線しながら、最終的にそういう話に着地するなと唸ってしまいます。目の前に先生がいて、語りかけてくれるようで非常にありがたい本でございました。
-
小説はすべて誤読です。(29ページ)
ネットの海で唯一神的な解釈の暴力をふりかざす人間に出会ったら、この言葉を思い出そうと思う。
書楼弔堂でもこの辺りに言及したシーンがあったように思うけれど、京極夏彦にこう端的に言われると安心する。土井善晴の「一汁一菜でよいという提案」に出会ったときと同種の。権威に弱いので。
死の対義語が誕生ではなく生である文化が多い
→定規が生、定規の端が死であるとしたら、その先に見えない定規をくっつけてしまっているようだ
語彙は解像度である