- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163912691
作品紹介・あらすじ
ドンデン返しの魔術師の新シリーズ、
流浪の名探偵コルター・ショウ!
シリコンヴァレーに暗躍する連続誘拐犯。死のゲームに囚われた被害者を救い出せ。
怜悧な頭脳とサバイバル術で完全犯罪を暴く新ヒーローの誕生。
姿を消した人間を追跡する名人、コルター・ショウ。失踪人や逃亡犯に懸賞金がかけられると、彼は現地へ赴いて調査に着手する。つねに冷静に状況を分析する明晰な頭脳と、父に叩きこまれたサバイバル術で多くの事件を解決してきた。今回ショウはシリコンバレーに住む男の依頼で、失踪した娘を探すことになった。カフェを出たあと、忽然と姿を消した彼女は無事なのか? どこにいるのか? 非協力的な警察に悩まされながら調査を続けるショウは、事件の背後にはビデオゲームが絡んでいることを知る。
被害者を誘拐し、『ウィスパリング・マン』というゲームを模倣して監禁する犯人〈ゲーマー〉。刻々と死の迫る被害者たちの居場所を突き止め、彼らの命を救うために知力と体力を尽くすショウ。犯人は誰なのか。単なる愉快犯なのか。あるいは何か隠された動機があるのか――?
懸賞金を求めて難事件に挑み、不可解な死を遂げた父の謎を追う名探偵コルター・ショウ。リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスに続く新ヒーロー誕生。時限爆弾のようなサスペンスに意外な真相を仕掛けたシリーズ第1作。
感想・レビュー・書評
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恐らくは多くの人が感じていることと思いますが
流浪の名探偵コルター・ショウはジェフリー・ディーヴァーの代表作リンカーン・ライムシリーズの主人公リンカーンによって生み出されたヒーローなのではないでしょうか
長いシリーズの中で最近はライムも外の世界に飛び出して行くようになってきましたがやはりそこは四股麻痺の安楽椅子探偵、自然と行動範囲は限られます
いくら相棒であるアメリアが縦横無尽に走り回ったとしても
コルター・ショウはそれこそアメリカ中が行動範囲であり
高いサバイバル技術を持ちまさにライムの対極にある人物です
まさにディーヴァーがこれまで主人公にしてきた人物には全くない要素を兼ね揃えている主人公です
あーそんなんも書きたくなったんだろうなとw
そしてなにしろディーヴァーです
細部まで完璧です
しかもサバイバルとは対極に位置するゲーム業界が舞台
「いつもの」の対極の人物がもつ「いつもの」日常と対極の舞台
読者が持っている日常と読者が持っているディーヴァー世界の日常からかけ離れたシリーズのスタート
こりゃあ面白いに決まってますがな!
物語の最後にコルター・ショウの周辺の謎や新たな事実も小出しにされて次回作への期待感も高まります
さすがディーヴァー!商売がうまい!(言い方!) -
ミステリの世界には、いろんな刑事や探偵がごろごろしている。新しい主人公を考える作家も大変だ。四肢麻痺で首から下が動かせない、リンカーン・ライムは画期的だったが、さすがに、行動に制約が多すぎて作家の方にもストレスがかかったのか、今度の主人公は、サバイバル術に長けた行動派だ。おまけに、職業は刑事でも探偵でもない。なんと「懸賞金ハンター」だというから、いつの時代になってもアメリカは西部劇から抜けきれないらしい。
とはいえ、凶悪犯を狙う「賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)」ではない。行方不明者を見つけるため、個人や警察が懸賞金を設けることがアメリカにはあるようだ。というのも、もしそれが誘拐事件なら早期解決が大事だが、警察は実際に何かが起こるまでは動き出さない。そこで、こういう仕事が成り立つわけだ。仕事は失踪人の居場所を見つけるところまでで、救出はしない。後は警察の出番というのが建前だが、警察の動きは遅い。そこで、自ら事件の渦中に飛び込むことになる。
名前はコルター・ショウ。シェラネバダにある「コンパウンド(地所)」という広大な土地で父のアシュトンからサバイバル術を訓練されて育つ。兄妹の中でもコルターは追跡がいちばん得意だった。大学を優等で卒業し、一時は弁護士になることも考えたが、しばらく事務所勤めをしてみて、自分には向いていないことが分かった。一つところにとどまるのが苦手だったのだ。今ではウィネベーゴのキャンピング・カーを駆ってどこへでも出かけて行く。
ヤマハのオフロードバイクも積んでいるが、仕事中はウィネベーゴを近くのRVパークに停め、黒か紺のレンタカーを借りて行動する。なかなかの美食家で行く先々の地ビールを楽しみ、コーヒーはエルサルバドルの豆に決めている。今回はメキシコの朝食向け卵料理、ウェボス・ランチェロスのトルティーヤをコーン・ブレッドに変えて食べるという試みをしている。多分行き先が変わるたびにそこの地ビールと名物料理が紹介されるのだろう。こういう設定が心憎い。
第一話の舞台は、シリコンヴァレー。十九歳の女性が失踪し、父親が懸賞金を設けた。額は一万ドル。高額ではないが、父親の切羽詰まった様子を聞いて引き受けた。まだ明らかにはされていないが、ショウには別の稼ぎがあるらしく、懸賞金で食べているのではないようだ。ショウの捜査方法は特に目新しいものではない。聞き込みをして、目撃情報を集め、立ち回り先を突き止める。何しろ、まだその時点では事件かどうかも明らかではないのだ。それに警察ではないショウにできることは限りがある。
ただ、追跡者としての能力には秀でている。今回はカフェの監視カメラに残っていた映像から、行き先を予測し、事件現場で格闘跡を発見し、被害者の携帯電話を発見する。それで一件楽着のはずだった。だが、いくら待っても警察は来なかった。仕方なく、周囲を探るうちに死体を隠すにはうってつけの廃工場を見つける。そこで事件に巻き込まれることになる。犯人は現場に隠れていて、ショウを襲ったのだ。
誘拐事件が起きても身代金について犯人からの要求はない。しかも、一件だけでなく同一犯と思われる誘拐監禁事件が連続して起こる。カフェのコルクボードに残されていたステンシル風の男のイラストから、ショウはそれが「ウィスパリング・マン」というゲームの登場人物であることを知る。当時サンノゼで大規模なゲーム・ショーが開催中で、大勢のゲーマーでシリコンヴァレーは賑わっていた。犯人の狙いはゲームに関わりがあるらしい。
三件の誘拐監禁事件は「ウィスパリング・マン」というゲームを模したものだった。ホーム・スクーリングで育ったショウはゲームに疎かった。そこで、業界人がショウにレクチャーするという形式でゲームに関する蘊蓄が語られる。しかし、ゲームに詳しい読者には不要だろうし、ゲームをしない者には退屈な蘊蓄だ。謎解きミステリにはよくこうした解説が登場するが、ミスディレクションに必要なのだろうか。
同業者によるゲーム開発企業に対する妨害か、ソシオパスによる犯罪なのか、犯行動機ははっきりしないが、ゲーム中毒者の犯行なら、犯行の起きていた時間はディスプレイから離れていたことだけははっきりしている。「ウィスパリング・マン」を配信している会社社長の協力を得て、これだろうと思われる人物を特定するが、果たして最後の被害者を生きているうちに救出することができるのだろうか。
捜査権のないショウには警察関係者の協力が必要だ。今回は対称的な二人が登場する。いかにも刑事という見かけの白人刑事ライリーとアフリカ系アメリカ人の女性刑事スタンディッシュがそれだ。ライリーは女性の巡査にセクハラまがいの発言を繰り返す嫌な刑事役を演じ、スタンディッシュは逆に有能で感じのいい刑事役だ。この二人の役割設定がうまく生きていて、シリーズ物ながら、主人公がキャンピング・カー暮らしという設定では、おそらく、二度と登場しないのが惜しいくらい。
ジェフリー・ディーヴァーといえばどんでん返し。今回もきっちり用意されている。しかも、そのうちの一つは、ショウの抱えている難問についての謎解きの一つに関わるものだ。ショウは死んだ父が何か秘密を抱えていたことを知っており、シリーズを通してその解決を図ってゆくことになる。広大な土地でのホーム・スクーリングやサバイバル術の訓練といった、ショウの生い立ちが普通でないのには何か理由があるのだろう。次回作が楽しみな新シリーズの幕開けである。 -
サバイバル術と法学のスペシャリストで、懸賞金をかけられた行方不明者や犯罪者を追跡し、発見するビジネスで生計を立てている男、コルター・ショウ。
今回の仕事は、十九歳の女子学生を探して欲しいという父親からの依頼。
彼女が誘拐されたと判断し足取りを追うコルターの目の前で関係者が射殺され、やがて連続誘拐殺人事件の真相を追うことに…
うーん、また新しいタイプの面白さ。
お正月休みの一気読み。
徹底的にクールな知性と、野生の獣のような孤独感と危険な気配の主人公。彼をとりまく人間関係も謎めいている。
今後は、一作ごとに起こる事件の謎解きと、不可解な死を遂げた父の過去にまつわる謎解きを並行して追ってゆくシリーズになるだろう。
池田真紀子さん、翻訳がんばって下さ〜い! -
行方不明者の捜索を専門とするコルター・ショウが主人公の新シリーズ第1作。
シリコンバレーでの若い女性失踪事案。コルターは、鈍い警察を尻目に、サバイバル技術を駆使して立ち向かう。ゲーム業界も巻き込んだ事件は二転三転、四転ぐらいします。
部屋から出ない「静」のリンカーン・ライムに対し、父親から徹底的にサバイバル技術を叩き込まれたコルターは完全な「動」で次々と動きます。
終始怒涛の展開で楽しませてくれる、著者得意の展開は健在で、もう読み始めたら、ワクワクが止まらず、後半にどんどん振り回されるのが心地よい。
ディーヴァー作品はいつもレベルが高くて安心です。
いつもは文庫で読むのですが、あえてハードカバーに挑戦。
2段組が全く気にならず、あっという間に読み終えました。 -
非常に描写が細かく、映像の浮かぶ物語を読み進めていくようだった。しかし、少しずつ明かされる主人公コルター・ショウの人物像や家族のことは過去の謎を一層際立たせて、気になって仕方がない。読みながら常に明かされていない情報に妄想が膨らむ。
事件はシリコンバレーで失踪した娘に懸賞金を掛けた父親の依頼に始まり、懸賞金ハンターで生計の一部を立てているコルター・ショウが事件解決に乗り出す。捜索を続けるうちにシリコンバレーの実情やビデオゲームが絡んでいることが明らかになってくる。その後も事件は連続して続き、読み進める間にいつしか入り込み、本当の目的が明らかになるころにはすっかりハマり込んでいた。
生き延びるためのあらゆる技術と教訓を叩き込まれたコルター。教えた父アシュトンは15年前に事故で亡くなったとされている。アシュトンの葬儀以後、行方がわからないコルターの兄ラッセル。アシュトンの死の真相を追っていたコルターは真実のヒントになる情報を見つけ、それに関わる人物も浮かび上がってくる。ここで第一作が終了するのだが、続きが気にならない訳が無い。 -
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ジェフリー・ディーヴァーの作品を早く読みたくなりましたー!!
読みたい本が多すぎー笑
図書館でボーンコレクター借りてきましたよー。
読むのが...ジェフリー・ディーヴァーの作品を早く読みたくなりましたー!!
読みたい本が多すぎー笑
図書館でボーンコレクター借りてきましたよー。
読むのが楽しみです!!
この作品を読むのは、いつになることやら( ´д`)2021/07/02 -
2021/07/02
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その気持ち、すごい伝わってきますー!!
本当に面白い本は、全部読みたいですー!!
ただ、時間が……笑その気持ち、すごい伝わってきますー!!
本当に面白い本は、全部読みたいですー!!
ただ、時間が……笑2021/07/03
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リンカーン・ライム・シリーズの幕開けとなる『ボーン・コレクター』は、思えばズキュンと胸を撃つ類いの作品であった。捜査官ライムの身体的設定にせよ、ただものではない悪党にせよ、絶妙なストーリーテリングにせよ!
実はライム・シリーズの前から、ディーヴァー作品には、ぼくは少なからずこだわっていた。『眠れぬイヴのために』『静寂の叫び』など単発作品の強い印象である。そこに来てこの『ボーン・コレクター』。ディーヴァー作品は、どれもスリリングで先が読めない。出版された途端にすぐに手に取り読んでゆく時代が僕の中で続く。翻訳されたものはどんどん読んだ。初期作品であるジョン・ペラム・シリーズなどは、ディーヴァー作品としては地味で、粗削りながら、好感の持てるローカル探偵シリーズとして、映画のロケーション・ハンターという商売が羨ましく思ったものだ。
どうしていつの頃からかディーヴァー作品から自分が背を向けてしまったのか、きっかけも理由も思い出せない。ライム・シリーズもキャサリン・ダンス・シリーズも好きだったはずなのだが、徐々に飽きて来てしまった、というのがきっと本当のところなのだろう。なので昨年『オクトーバー・リスト』で、ストーリーを逆行させるトリッキーな作品に再会し、相変わらずディーヴァーだなあと、苦笑しつつ楽しまされてしまった自分に、改めて驚いたものである。そこで旧ライム・シリーズを数作Amazonで注文。基本的に新作読みのぼくの、本の途切れ目にでも読もうかなあと。そんな意識で。
しかしその矢先である昨秋、『魔の山』が登場。しかしこれはシリーズ第二作である。先行する本書『ネヴァー・ゲーム』と、結構シームレスな続編であることを知ったことが、今回の本作読書のきっかけとなった。
正直、白黒判じ難い作品なのである。主人公は、失踪人探しを生業とする、私立探偵とは少し異なる、ひとひねりした職業の変わり者コルター・ショウ。バウンティ・ハンターとも異なる。法的に逃げている状態の犯罪者を捕まえてくる商売ではなく、あくまで一般の依頼を受けての失踪人探しである。賞金ではなく、報酬。公務ではなく民間。
個性的なのはそれだけではない。その道のプロとして十分な変人であるところだ。謎の家族編成。生い立ち。失踪した兄のこと。伝説化した父から伝えられたサバイバル技術。冒険趣味としてのロック・クライミングやオフロードバイク。ほぼ移動生活のためキャンピングカー住まい。生活信条としての確率論。生きるための。自然や野生や人間行動に対する次の手を選択するための分析脳。とにかく、これは冒険小説の一端であり、なおかつハードボイルド的要素でもある。
但し、違和感と言うべきか、このアナログでワイルドな主人公が、本書で行方不明となる少女を探す地平は、大自然ではなくネットゲームの電子的空間なのだ。シリコンバレーに展開する捜査ゲーム。まさしく現代の小説なのだ。
ちなみに本書は三部構成である。それぞれ異なる行方不明者を同時多発的に追わねばならない我らがショウは、複数事件を扱うゆえに、事件捜査の順番を決める。それらの事件が連なることで、連作短編小説集的構成となっている。その構成にすら一筋縄ではゆかぬ工夫が凝らされ、それぞれの主要な事件現場の手書き地図なども添えられるところが楽しく感じられる。エンタメ王。
ゲームの世界は、ぼくは苦手な領域なので、その世界に深入りするシーンは退屈させられるところも正直あるが、現実世界に繋がるネット盗賊的企業の存在にはぞぞぞと怖さを感じさせられる。概ね一気読みに近いページターナー本であるのは、ショウを取り巻く状況変化の多さだろう。多くの魅力的な人物、怪しげな男、意味深な女などなど、登場するキャラクターがネットゲームのように次々とショウの捜査眼に引っかかっては関わりを持って行く。デジタルとアナログを交差させる妙な奥行き感。
知的楽しみとワイルドな主人公の今後への期待。連続する事件群の本書はごく一部の地平を切り取った一作なのだろうが、家族の過去へのミステリアスな暗示なども効いていて、本作のみならず続く作品群も含めてショウをめぐる一大長編小説のようにも見える。なので、次の作品への食指が伸びる。その種の媚薬的要素はこの作品にふんだんにあるということだけはお伝えしておきたい。聞くところによるとコルター・ショウ・シリーズは三部作であるようだ。 -
2019年5月刊のTHE NEVER GAMEを翻訳して、2020年9月文藝春秋刊。懸賞金ハンターのコルター・ショウの1作目。父親に仕込まれたサバイバル技術を駆使して、巧みに行方不明者の真相に近づくところの描写が凄い。時系列を前後させて描くストーリーも緊迫感を煽り、面白い。登場人物も面白い。謎を残したまま、次作へ。気になる。
これ、実は気になってた一冊なんですが...
レビュー読ませて頂いて、やっぱり当たりなんですね☆
リンカーン・...
これ、実は気になってた一冊なんですが...
レビュー読ませて頂いて、やっぱり当たりなんですね☆
リンカーン・ライムシリーズの積読を読み終えたら是非手にしてみようと思います(^o^)/
いつになることやら(苦笑)
ステキなGWをお過ごし下さいね。
こんにちは!
面白かったです
面白かったですが何をおいてもってほどではないのでw
のんびりでよろしいかと
私はお先に2作目いっ...
こんにちは!
面白かったです
面白かったですが何をおいてもってほどではないのでw
のんびりでよろしいかと
私はお先に2作目いっちゃいますがw
GWはなにも予定がないので(まだまだコロナも恐いし)読者三昧です
レビューが追いつかないです
ヒボさんもよいGWを!