私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912530

作品紹介・あらすじ

「私の雇用主は国民です」と語っていた実直な公務員が、なぜ死を選ばなければならなかったのか?森友事件の渦中で、総理夫人らの名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられた近畿財務職員・赤木俊夫さん。懊悩の末、2018年3月、自ら命を絶った。享年54。「財務省が真実に反する虚偽の答弁を貫いている」「最後は下部がしっぽを切られる」赤木さんが遺した痛切な手記が、その死から2年たった今年3月、週刊文春で公開され、53万部が完売するなど大きな反響を呼んだ。手記の公開を決意した妻の赤木雅子さんは、真実を明らかにするために国と佐川元財務省理財局長を提訴。さらに事件の再調査を求めて署名活動を行った。集った署名は35万を越え、事件解明に多くの国民が賛同していることが明らかとなっている。森友事件は、終わっていないのだ。本書は、赤木雅子さんが国を提訴、トッちゃん(俊夫さん)の手記の公開へと至るまでの迷い、怒り、葛藤を率直に綴った「手記」と、事件を発覚当初から追い続けてきたジャーナリスト・相澤冬樹による「同時進行ドキュメント」で成り立っている。そこで明らかになってきたのは、遺族の思いを無視する安倍政権・財務省の隠蔽体質、そして改ざんに関わった職員らが軒並み出世しているという驚くべき事実だった。巻末に赤木俊夫さんが遺した手記も全文収録。(目次)序章 トッちゃんの本を出すわけ第1章 トッちゃんが遺した「手記」第2章 トッちゃんと私第3章 トッちゃんが壊れていく第4章 上司の約束は何一つ守られなかった第5章 信じていた同期の裏切り第6章 一通のメールが事態を動かした第7章 親しくなったり反発したり第8章 運命を変えた弁護士の一言第9章 提訴と手記公表 特ダネ掲載の舞台裏第10章 池田さんが告白「八億円値引きに問題ある」第11章 トッちゃんを食い物にした上司は全員「異例の出世」第12章 安倍首相「辞める」答弁は改ざんと「関係あった」第13章 昭恵さんと籠池夫妻「3ショット」写真の話は本当だった第14章 昭恵さんからLINEが来た! けど……終章 あの頃のトッちゃんに言ってあげたいこと赤木俊夫さんが遺した「手記」全文

感想・レビュー・書評

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  • 誰も処罰されない、アベ君も辞めない日本だったら、生きてる意味が見いだせなくなりそう。。。


    『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』赤木雅子+相澤冬樹 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912530

  • 「(認可あるいは国有地払い下げに)私や妻が関係していたと
    いうことになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく
    総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げて
    おきたい」

    「まさに」の使い方がおかしんじゃないかと思うんだが、それは
    さておき。

    2017年2月17日、衆議院予算委員会で、首相だった安倍晋三の
    答弁は財務省が犯した文書改ざんのきっかけとなった。

    一連の文書改ざんを命じられた近畿財務局の職員であった
    赤木俊夫さんは、恐怖と苦悩の末に2018年3月に自ら命を絶った。

    「私の雇用主は国民です」と自負していた、生真面目な公務員で
    あった夫は、何故、自死するまで追い詰められたのか。夫婦ふたり
    の穏やかで幸せな生活を突然奪われた妻は、真実を詳らかにする
    為に、国家という巨大権力に立ち向かって行く。

    赤木氏の手記が掲載された「週刊文書」は、発売直後にほぼ完売。
    私も入手出来なかったので、本書の巻末に全文が掲載されている
    にはありがたい。

    そうして、公務員にあるまじき文書改ざんを命じられた赤木氏の
    苦痛はいかばかりか…と思いを馳せる。

    本書は妻・雅子さんの手記と、取材者である相澤記者の共著である。
    突然、夫を失った雅子さんが、夫の手記を後悔するまでに至った
    経緯、その過程での心の葛藤、取材者である相澤記者との間に信頼
    関係を築くまでの揺れ動きが詳細に綴られている。

    もうさあ、狂ってるんじゃないかと思うのよ。この国は。強く抵抗
    しながらも文書改ざんを命じられた職員が死に追い詰められ、他の
    関係者は改ざん後に軒並み出世してる理不尽。

    賭けマージャンで辞任した東京高検の黒川検事長(当時)の定年延長
    だって、森友問題を握り潰したご褒美だったんだろう?「官邸の守護神」
    なんて呼ばれてたんだからさ。

    「丁寧に説明していく」「政治家には説明責任がある」。安倍晋三が
    度々口にしていた言葉だが、彼は何も説明せず、なんの責任も負わず、
    「内閣総理大臣」の椅子を放り出した。

    次期総裁・菅義偉は「再調査はしない」と断言している。安倍政権が
    残した汚物にはずべて蓋をする気だ。

    だが、森友問題も、加計問題も、桜を見る会問題も、忘れていない
    国民が、少なくともひとり、ここにいる。

    妻・雅子さんの戦いは始まったばかりだ。国を相手取った裁判の行方を
    見守って行きたい。そうして、私も真実が知りたいと、心から思う。

    「雅子へ これまで本当にありがとうゴメンなさい 怖いよ 心身とも
    に滅いりました」

    秋木氏が残した手記の中の一文。切ない。

  • ほぼ1日ですあっという間に読み切りました。そして思います。

    『僕も真実が知りたい』

    集められた様々な証言、文書、状況の全てが佐川宣寿の安倍に対する忖度改竄命令の存在を示しており、関係した財務局の全ての職員の不起訴には黒川弘務の忖度による捜査指揮への介入を示していることがよくわかります。そしてその他にも政権に擦り寄り、嘘に嘘を重ねれば重ねるほど高い地位へと上っていく財務官僚たちの、【国民のために働く」という本分を忘れた浅ましい猟官主義的振る舞いは、本書に示唆された通りで、それは現在、太田充が財務事務次官に就任していることからもよく分かります。

    国民の財産である国有地の不適正な値引きは、国民の財産を毀損しているのだから、この一点だけで、国民に対する背任行為に当たるはず。そして、その証拠を隠滅するがために違法な公文書改竄をさせ、公務員としての良心を叩き壊され、心理的に追い詰められていった赤城俊夫さんの苦痛は想像を超えるものがあります。それほどまでに彼は「国民のための仕事」を大切にした公僕だったのだと思います。

    この本を、少しでもたくさんの人に読んでもらいたい。そして、赤城雅子さんに寄り添い、支え、この訴訟を応援してもらいたいと思います。

  • 本書のレビューを下書きしていたら、なんと自分のブクログレビュー史上最長になってしまい、収拾がつかなくなってきたので、逆に割愛。
    とにかく本書を読んで良かったということも、内容それ自体も、しっかり自分がわかっているからそれで良し。
    (ここまで 2021/02/24記)

    …としていて、自分史上最長のレビューは非公開読書メモの方に残しておいたが、2021/06/13『安倍官邸vs.NHK』を読み終わった時点でここに転記することにした。

    【2021.02 図書館

    私は、コロナ禍になり始めた2020年の2月末か3月頭あたりから、テレビの国会中継やワイドショーの類を全く観ないようになった。
    また、それまでにおいても、森友学園問題を詳しくは知らない状態だったし、本書は今回ただなんとなくブクログで見つけて図書館に蔵書があったから借りて読んだ。
    だから2020年の3月18日(赤木雅子さんが提訴するのと同時に、相澤冬樹氏が週刊文春等にてスクープ記事を出した日)はさぞかし世の中大変なことだったのであろうというその状況を、本書を読むまで私は全く知らないでいた。
    (どうりであの翌週、どうしてもの用事があってお会いした税理士の先生が「私達には1円のミスも許さないのに!」と佐川氏に対して強烈に憤慨なさっていらしたのは、こういうことが明るみに出た直後だったからか…と今になってやっと合点がいく)

    つまり2020年3月18日のスクープ記事も何も知らない状態で本書を読み始めたわけだ。
    元々遅読な上に、きちんと理解しながら、しっかり読もうとしたので、本書は読むのにすごく時間がかかった。

    前半は赤木雅子さん(つまり文筆業のプロではない)が書かれた部分なので若干読みにくく感じていて、その為「時系列通りではなく、ここは今一瞬、場面が他の所に飛んだよね?」と私が解釈してしまう箇所があった。
    (しかしそれは私の勘違いだった)

    私が間違って解釈したのは何故か?
    それは、俊夫さんが亡くなった翌日に自宅にやって来た、俊夫さんの元同期(この時点では雅子さんが唯一信じて頼りにした人物)が雅子さんに「財務局で働きませんか?」と言ったと書かれていたからだ。
    普通この状況で、奥さんの雅子さんにそんな無神経なこと言うか?!
    きっとこれは翌日の様子を書いている内に、それより後日の、その人物との会話が混ざってしまったんだな、と私は勝手に解釈してしまったのだ。
    しかし、そうではなく、後半の相澤冬樹氏が書かれた部分を読んで、この発言は紛れもなく俊夫さん死亡の翌日のことであったとはっきりすることになる。

    つまり、私が勘違いするほどに、その人物は非常識で無神経な言動をしたということだ。
    亡くなった翌日に、しかも明らかに自殺の原因となった俊夫さんの職場への就職斡旋だなんて、雅子さんの経済基盤を心配するふりをしての(心配するにしたって、翌日に言うことじゃないし…)明らかに「そっち側」に雅子さんを懐柔しようとしているということが、このことからわかる。
    雅子さんは他にも色々な点から、以後この人物には不信感しかなくなっていくことになるのだが。

    さて、全部を読み終わって雅子さんの立場にちゃんと思いを寄せてあげることができれば、普通の主婦がこんな目にあってしまったら精神状態もさぞかし不安定になるだろうことは理解できるのだが、そうは言っても、相澤冬樹氏の記述部分を読んでいる時には、雅子さんからのこんなにも態度がコロコロ変わるメールに対しての相澤氏の対処の仕方に感心させられた。
    記者だから根底には、向こうからある日突然飛び込んできた大スクープを逃すまいという思いが無かったとは言えないだろうが、それにしても雅子さんのメールへの返信の仕方は凄いなと思った。
    雅子さんを決して裏切らなかったことや、お人柄、記者の矜持なども立派だと思うし、また、雅子さんご自身がおっしゃっているように、勘だけで相澤氏を見つけて頼った雅子さんも凄い。

    相澤氏のヤフー記事の森友問題の記事を遡って読んでみようと思うし、NHKを辞めた経緯の著書も読んでみたい。
    ヤフー記事はまだチラッとしか読んでいないが、その一部の記事によれば、森友問題を気にしたりしているのは圧倒的に男性だそうで、もっと女性や幅広い年齢層に興味を持って欲しいそうだ。
    週刊文春は読まなくても、私のように、たぶんブクログユーザーには本書の存在に気付いて読む人は結構いると思うので、このように書籍化したことは良かったと思う。

    本書で最も大事なのは亡くなった赤木俊夫さん。
    多趣味で真面目で優しくて几帳面で、公務員としてのここまで立派な矜持を持っている公務員は他にいないんじゃないか?と思えるほどの、正義の人だったんだな。
    そういう人だからこそ、こんな状況になったら、このようなことになってしまう…
    何故彼がこんな形で人生を終わらせなければならなかったのか…
    同じ公務員でも、彼のような立派な志のかけらも無い公務員達に、彼は殺されたということだ。

    私が昨年テレビを見なくなる前までは、「桜を観る会の名簿をシュレッダーにかけたからもう有りません」というやり取りをやっていて、「そんなバカな。今時データに残していないわけがない。そんな嘘八百が通るわけ?」と普通のおばちゃんでもわかる嘘をつくことに呆れていたのだが、本書を読んで、森友問題も加計学園問題も桜を観る会云々も根っこは同じなんだなということがよくわかった。
    ついでに検事(黒川氏の為)の定年を延ばす法案を通そうとしている件も、みんな繋がっているっぽい。

    清水潔氏の『殺人犯はそこにいる』で指摘されている諸悪の根源は検察庁だったし、この森友問題(8億円値引きではなく、文書の改ざんの方)で大阪地検が不起訴とし、そこのお偉いさんが昇進したのだって、検察庁からのご褒美に違いない。
    (財務省の全員不起訴を2018年に決めた大阪地検特捜部の部長2019年に栄転)

    腐っている。】

  • あの 森友で 実際に改ざんをさせられ
    その苦悩に 耐えきれず
    自殺してしまった 赤木さんの 奥様の
    心の声が書かれていました。

    読み進めいくと
    本当に 腹が立ってきます。
    組織を守るために 一人の人の心をまず壊して
    そして その人の命までも奪う。。。。

    そんな 人たちが のうのうを暮らしているって 理解できません。

    この本の内容は 週刊誌などで読んでいる内容と同じですが
    赤木さんの奥様の心の中が書かれていて
    とても大変だったと思いました。

    まだまだ 終わったわけでは ないので ご苦労は続くと思いますが
    絶対に真実が表れる事を 私も願っております。
    政治家の発言の為に 大切な命が失われてしまった。
    そして その政治家は 何も感じていないのが とても悔しいです。

    これだけ 世の中が 真実をと思っているのに
    何故 赤木さんの同僚の人達は 真実を語ってくれないのかしら?
    そんなに 自分の地位を守りたいのでしょうか??
    国民のための 公務員ではないのでしょうか?

    悲しく 腹が立つ内容の本でした。
    多くの人に読んでもらいたいです。

  • 私「たち」は真実が知りたい、です。

  • 酷い、酷い、腐った国だな、その国は。
    腐った人が出世するパロディのような国になるか、裁判で明らかにされるか、ギリギリ問われている。遺族だけでない、そんな国民の為の、行動であり、その手記だと感じる。
     赤木さんを忘れない

  • 全てがありのままに書かれているという印象。
    お二人の関係もスムーズにここまで来た訳ではなく、お互いに探り探りであったこともうかがえる。
    奥様が陰でどんなに悲しみ苦しみ泣いてきたか…ということを想像した時に、ここまで強くいられるのはきっと「ご主人が見ててくれている」という思いからなのだろう…。
    早く真実が公になりますように。

  • 私も真実が知りたい
    強くお思いました。

  • 赤木俊夫さんの妻であり著者の雅子さんの事を、国を提訴した事や週刊文春の記事を読んだ印象で「とても強い方なんだな」と漠然と思っていた。
    信頼していた人に裏切られ、誰を信用して良いか分からず、度々憤りや不安、警戒心の強さを共著者であり協力者の一人でもある相澤記者に見せた。時に投げやりで諦めのような言葉も発し、矛盾した思いを抱え、割り切れず、メディアに怯える普通の女性だった。
    しかし不誠実な対応に憤る度に、相澤記者と連絡を重ねるうちに、雅子さんの強さが徐々に覚醒していく。
    愛する人と日々の幸せを噛み締めていたただの女性が、なぜ愛する人が壊れていく姿を見なければならなかったのか、なぜ愛する人の首に強く巻きつくコードを切らねばならなかったのか、なぜ愛する人が自らの腕の中で冷たくなっていく壮絶な体験をしなければならなかったのか、なぜここまで強くならざるを得なかったのか。

    雅子さんの心を動かした阪口弁護士の「あんた、一人でつらかったやろなあ」という一言が印象に残っている。
    「僕の契約相手は国民です」が口癖だった俊夫さんに、愛する人の死の真相の為に国と戦うと決めた雅子さんに、「あんた、一人でつらかったやろなあ」と寄り添えるか、真実を明らかにできるか、はたまた過去の事と忘れ去るのか、“契約相手”である国民が問われている。

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