- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163912332
作品紹介・あらすじ
ベストセラー『コロナショック・サバイバル 日本企業復興計画』続編!史上最悪のコロナ恐慌、日本企業が生き残るための唯一の方法とは?ポストコロナ時代、会社のあり方は、働き方は、生き方は、こう変わる!・GAFAに負けた日本型企業モデルは、コロナショックで終焉へ向かう・デジタル・トランスフォーメーション(DX)と日本型組織の相性が悪い理由・終身雇用制は限界に。10年に1度の中高年リストラは、コロナ後に加速・電機、自動車に続き、銀行、メディア業界も破壊的イノベーションの嵐に・DX成功の鍵は「戦略」ではなく「組織能力」・資金源となる既存事業で手を抜くな・コーポレート・トランスフォーメーション(CX)こそがDXへの解・日本のGDP7割、雇用8割を占めるローカル産業のDX化に活路あり。方法論のすべて。・ビジネスパーソン全員に問われる「あなたの業(わざ)とは何ですか?」
感想・レビュー・書評
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著者、冨山和彦の父がカナダで生まれた日系移民二世である事を本書で知った。切れ味抜群で視野も専門領域も広い著者の切り口は非常に参考になる。本書では特に、日本的経営とは何かについて歴史を辿りながら紐解いていく。その上で、何が必要か。思考そのものをトランスフォームしていく。日本を鳥瞰するメタ認知は、もしかすると、著者の生い立ちも関係しているか、と思ったというのが冒頭の話だ。
終身雇用、年功制、企業別組合という言葉は、日本人の発明ではなく、日本の企業と経済社会システムについて研究したジェームズアベグレン氏が生み出した言葉である。同氏は、太平洋戦争において海兵隊員としてガダルカナル島、硫黄島で日本軍と戦い、終戦直後は広島に滞在した。
戦前は、こうした日本式の仕組みではなかった。明治から大正の日本の産業組織における欠陥として、当時の多くの経済学者が指摘していたのは、労働者の定着率の低さ。それ故の技術の継承や生産性の向上における妨げ。つまり、従業員の職業人生と家庭人生がシンクロするのは、終身雇用制と年功制が一般化していったのは1950年代半ばから。それが一時もてはやされた。
しかし、今時のマネジメントの仕事はどんどん難しく、厳しくなっていて、単に年功で歳を取り、経験を積んだだけで勝負ができるような仕事ではなくなってきている。
将来投資、新領域の探索投資というのはR&Dであれ、設備投資であれ、M&Aであれ、ほとんどがイノベーション的要素を含んだハイリスク投資である。成功と失敗の幅が大きいために、持続的に探索から需要化のサイクルを確保するためには多くのM&AやR&Dプロジェクトを走らせなくてはならない。これを借金でやっていたら大変なことになる。基本的には自分の会社の本業が生み出す営業キャッシュフロー、財務的に言えば、内部調達のエクイティ性の資金でやるべきだ。
この辺は、著者が出版に関わった『両利きの経営』の主張をなぞる。
タフアサインメントでリーダーをやらせてみて、その様子から本当の姿を見る。若手にチャレンジを。事業にもチャレンジを。本業で生み出すお金を挑戦に向ける事が肝要だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今年読んだビジネス書の中では、私にとっては、ベスト。
第1章にある通り、「今こそ日本的経営モデルから完全決別せよ」が主題。そして、新しい時代の経営モデルに乗り移り、会社自体を生まれ変わらせよ、すなわち会社のトランスフォーメーションを進めよ、という内容。
筆者は、ご自身でも修羅場をくぐって来られた方なので、議論が具体的で説得力を感じた。
内容に異論はほとんどない。
どうやって、現実問題として、トランスフォーメーションを進めていくつもりなのか、という事を、この本を読んだ人は問われている。 -
以前読んだ「コロナショック・サバイバル」の続編にあたる本。
コロナショック・サバイバルは薄い本だったが(内容が薄いという意味ではない)、
こちらは骨太で重厚な内容。
※コロナショック・サバイバル
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4163912290#comment
結論的に言うと、日本版「両利きの経営」というスタンスの本か!?
(両利きの経営、まだ読めていないけど…。)
著者の表現を借りると、「両利きの経営ができるような、経営力と組織能力を持っていないと、今後企業はは生き残れない」ということだろうか。
結構骨太な内容な上に、著者のスタンスが良くも悪くも振れ過ぎているため、
読むと賛否両論に分かれそうだ。
(或いは、「この部分は賛成・共感だが、この部分は絶対反対」みたいになりそうだ。)
正直、自分はどうかと言われると、著者の意見に賛同するところは多々あるけれど、
この改革案では今回も日本企業は変われないな…というのが正直なところ。
というのも、著者のスタンスが、完全実力主義的な考え方に基づいていて、
おそらくこの考えが理想なんだが、これだと日本国民の上位5%くらいしかついてこれないような気がする。
日本はどちらかと言うと、階層をきちんと拾い上げる(見捨てない)文化があるような気がしていて、
その層から圧倒的な反対を受けそうだ。
そうなると、結局、政治も身動きが取れなくなるし、
(大)企業といっても、そういった人たちが相当数いるので、
彼らを見捨てるのは現実的に厳しいだろう。。
改めて経営って難しいなぁ…と感じさせられた。
まずは、どこかで早々に「両利きの経営」を読まないと。。 -
企業が生き残るためには、常に環境に合わせた変化が必要だ。
これはよくダーウィン進化論を引用されるが、この点については疑問を挟み込む余地はないと思われる。
話は単純。「生き残りたければ、変化しろ」ということだ。
そこで「どうやって変化するのか?」という疑問が出てくる。
現状儲かっている事業を捨て去ることはできない。
もちろん、それらが稼ぎ出しているキャッシュは、次の変化を促すためには大変重要な原資となりえるために、みすみす手放す必要すらない。
変革を推し進めるには、これら既存のキャッシュを生み出してくれている人たちに対して、どうやって納得してもらうのかという問題があるのだ。
これが「両利きの経営」ということ。
既存事業でキャッシュを稼ぎながら、変革をしていくということだ。
しかしこれは理論であって、実施するには相当にハードルが高いだろう。
本書では、会社の悪しき慣習をまず変えること。
当然に短期間での変革が望ましいが、それらが無理な場合でも必ず変革をやり遂げるという、経営陣の覚悟が必要なことを上げている。
至極まっとうなご意見である。
悪しき慣習の変革とは具体的に、新卒一括採用、年功序列、マネジメント層の中途採用、メンバーシップ型の取締役会、ダイバーシティ、女性活用、外国人活用などなど。
これらに加え、ペーパーレス、デジタル化、無駄な会議の削減なども入ってくるだろう。
当然にこれらをやり遂げるには、現場からのボトムアップでは無理だ。
変革の責任を背負えるリーダーからの発信が絶対に必要。
そこで、そんなリーダーをどうやって見つけるのか。育てるのか。
メンバーシップ型で一丁上がりのサラリーマン社長では絶対に変革は無理だ。
まずは本書でそれを指摘している。
これもまた当然だ。社長がヤル気ないのでは、社員が進んで行うはずがない。
本書の後半は、急にローカル再生に話が向かう。
両利き経営を行うために、改革が最も必要なのは地方企業、しかも大手でなく中小なのだという。
勿論異論はないが、ここからは自分の環境とかけ離れた話になっていくので、少しトーンダウンしてしまった。
しかしコロナ禍の状況では、地方再生は一つのチャンスとも取れる。
(直前の読了図書が「シン・ニホン」だったことも影響していると思う)
人口過密地帯の都市部は、それこそ今回のようなパンデミックには非常に脆弱だ。
開・疎である地方が今後どういう付加価値を生産していけるのか。
まさに地方こそCXが重要というのは非常によく分かる。
感覚的にはこれからの10年でどこまで世界が変化していくのか。
我々がそれら変化にどうやって対応していくのか。いけないのか。
焦りと共に、気持ちを入れ替えねばと改めて感じてしまった。
「生き残りたければ、変化しろ」
「変化に対応できなければ、滅びるだけだ」
もちろん頭では分かっている。
体が反応して動けるかどうか。
ここが人生の勝負の分かれ道のような気がするのだ。
(2020/8/8) -
著者の危機感が伝わってくる。ただし、著者の文筆は危機感に訴えるものが多いものの、危機感だけでは読み手の心は動かせないと思う。
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感想
・集中力がある時に読めば、一気に流れで読める。
・途中途中にしっかりと参考図書を盛り込んでいて、広げ方と深め方を知ることできる
・両利きの経営の実用理解をするための本
・これから企業経営(特に人事関連)がどのように変化するべきかを述べてる
評価
入り口の本であり、ここからどう深めていくのか、自社に落とし込んでいくのか、仕事に活かしていくのかを理解しておくこと
組織や会社に対する見立てを持つこと、これからの変化適応とは10年後のCXを想定しながらも常に変わり続けること
内容
・日本のコーポレートを知り尽くしているからこそ、変わるべき。そのうえで、過去を紐解く
・かつてより日本の強みはオペレーショナルエクセレンス、一方で二番煎じの追い上げを図ることがほとんど
★改良型イノベーション、一括採用~育成、同質連続的で固定メンバーが形成する組織かつ低賃金でよく働き協力する風土が完全合致して奇跡を生んでいた
第一章
●『日本的カイシャモデル』
きわめて排他的で内部は曖昧かつ柔軟な形で運用。
・人事管理(終身雇用、年功序列、組合、一括採用、男性社会、メンバーシップ、定年、転職=悪、中途は例外、育成は長期OJT、一元的制度)
・組織構造(年功階層、事業・機能の分権、稟議決裁=ボトムアップ+合議、長時間会議、あいまいな責任区)
・事業戦略(量産的生産活動が主軸、改善力がコアコンピタンス、手持ち技術の転用による探索、現場主義、精緻さの追求)
・財務経営(資金調達の帳尻、業績はP/Lの数字管理、経理がCEOは稀)
・コーポレートガバナンス=サラリーマン共同体主義(社内取締役中心、株主のガバナンス機能は最小、成功のKPIは平穏無事、社長人事は内部決定、年齢が高い)
●カイシャ危機
・既存技術が通用しない
・若手が減少する
・経営者が育たない
・株主がモノを言う
→(感想)言い訳すんな、なるべくしてなった。日本は自分たちのカイシャという偶像を創り上げたうえ、社会性を重視して改革の芽も見出さなかった。ということが理解できた
第二章〜五章
どのようなモデルなのか
兎にも角にもCXに変わる
変わるべきことと転換点になるモデルは
日本の大多数GDPを支えているのは中小そこポイント -
間に合わせ?で書かれたコロナショック・サバイバルはコロナのインパクトなど改めて認識をする意味で良かったが、こちらは要は「これから日本企業は変わらねばならないそのためにはリーダーが強い意志を持ってCXを断行しないといけない」という事を大方針として記載してるだけかな。
日本にはL型産業及びG型産業でも地方企業がGDPの9割を占めるので地方創生は日本の大きな課題というのは情報としてなるほどだったけど、この本はそういったL型産業の地方の中堅・中小企業の社長もしくは経営幹部に向けて書かれたのだろう。私のようなそこら辺のサラリーマンではなかなか手をつけられないような改革案が多くいつしか自身が所属している会社を客観的に評価し始めてる自分に「いかんいかん…」と思いながら読んでいた。
この本を読んでまずは
・スマイルカーブの両端を狙う施策を意識
・両利きの経営を読む
・ROICは指標を分解して組織に浸透させる
あたりをやってみようと思う。 -
冨山さんの危機感がビシビシ伝わってくる本。
ちょっと危機感を表出しすぎて逆に本質が見えにくくなってしまうかもしれないというぐらいが個人的な見解です。
しかしながら産業再生機構でカネボウやダイエーと直接かかわってきた『経営実務家』(さらに本当に社員の給料が払えなくなるぐらいのキャッシュの生々しさも経験している方)であるたがめ、その経験から発せられるメッセージはしっかりと受け止めねばならないんだな、と思う。
ここのところ多くの本を読んできていて佐宗さんの本とかファクトフルネスからシン・ニホン、両利きの組織を作る、両利きの経営、世界標準の経営理論と読み進めてきたので、おおむね両利きの経営の根本の考え方・概念が見えてきてからこの本にたどりついたので、メッセージはよく伝わるが厳密なところでは深化と探索という表現をよく用いられた学者としての入山先生とは少し違うんだなと感じました。(あくまで個人の所感) 両利き経営への提言と自らが格闘してきた?日本カイシャモデルへの提言、これだけの実績をお持ちの方のメッセージだからたとえ表現方法が厳しすぎると思いつつも歯を食いしばって学んでいかねばな、と思います。
個人のレビューなので、あくまで個人的な話をすると、前半部や憲法改正的概念のところぐらいまでは勢いつけて読み進められたけど、後半部分が少しスピードダウンしてしまいました。すみません。 方法論、というところのはずが、自分の浅はかな経験と変なすりあわせをしてしまったから、ざらつき、を感じてしまったからなのかな。
この提言が、10年・20年後にどうなっていくのか、また、確認したい。今回の抜粋は書籍のラストの文から。
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P382
いずれにせよ、会社のために滅私奉公することが、必ずしも「業によって事をなす」ことに結実しない時代。 個人の職業人としての生き方、働き方をより直截に世の中へのお役立ちとその対価に関連づけていくことが、会社としても、個人としても重要な時代が来ている。これこそがCX時代における個人としての生き方のトランスフォーメーションの第一歩になる。
そして、人の役にたてる業(わざ)を持てれば、それなりに食えるようになるし、その上でまだ業(わざ)の余力があるなら、あまり対価をもらわずに世のため人のためにそれを使う自由度も生まれる。 こうなると人生はかなり愉快である。 一回切りの人生、どうせなら愉快に過ごそうではないか。
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しかしながら超個人的には、この文のほうが効いたな。
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P251
日本的カイシャの内部環境に適応し、出世してきた人材、特に日本人中高年男性にかかる能力を持っている人がたくさんいる確率は低い。私はテクノロジー系でそういう人を何人か知っているが、日本的マネジメントの価値観では、「面倒な人」「無駄に敵をつくる人」「(社内)人望のない人」ということで途中からメインストリームを外される人がほとんどである。
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コロナショックでより一層明らかになった(コロナショックによって引き起こされたのではない)ビジネス環境の大きな変化は、グローバル化とデジタル・トランスフォーメーションによって、ビジネス環境や産業アーキテクチャが劇的に変化しているということである。
これに対応するためには、旧来の日本型経営モデルから脱却しなければならない。
筆者のこの強い危機意識の下に、企業をその仕組みから生まれ変わらせるための道筋を取りまとめている。
筆者はまず、日本型の経営モデルの課題点は同質的(大卒男性の新卒一括採用で、その後も転職等の入れ替わりがなく、同じ釜の飯を食うことで価値観を共有していく)であり、かつ連続的(終身雇用、連続的改良・改善型競争、内部昇格による社長の承継)という点にあると整理する。
このような組織が現代の競争環境で生き残れないのは、ビジネスの競争がよりアーキテクチャ重視になっており、ゲームの仕組み自体があっという間に変化してしまうからである。
そのような環境下では、「戦略」の意味も薄れてくると筆者は述べている。3~5年の中期経営計画ベースの事業戦略を練り上げても、その期間が終わらないうちに新たな競争環境が生まれ、それに対応しなければならない状態に直面する可能性が高いからだ。
したがって、中期経営計画を基に事業を育てていくというよりも、事業や社内の機能をポートフォリオマネジメントの観点で捉え、それらを環境に応じて素早く新陳代謝していくことが求められる。
事業の取捨選択においては、事業ごとに管理会計を適用し、ROICやEBITDAなどのKPIを基に素早く撤退や売却を判断していく仕組みが求められる。
組織の機能のポートフォリオについては、新しい産業アーキテクチャに対応するために自社のどの機能を強めていく必要があるのかを常に問う姿勢が求められる。
例えば、これまでも日本企業は作り込みやカスタマイゼーション、擦り合わせによる改良や品質向上は得意であったが、標準ソフトの構築といった領域は弱かった。しかし、これらの機能は新しい競争環境のアーキテクチャに適応し、市場で支配的な力を獲得するためには必須の能力である。これらの能力の強化に本気で取り組む必要がある。
バリューチェーンの付加価値創出におけるスマイルカーブ現象なども、組織の機能を考えていく上では重要な観点であろう。
やるべきことは、以上に述べたようなことであるが、実際に走っている企業の中でこれを実現することは、非常に難しい。
筆者は、大きく「両利き経営」と「Gの世界で戦うかLの世界で生き残るか」という2つの観点で、この問題に対する処方箋を述べている。
まず、「両利き経営」とは、これまでのビジネス能力をすべて捨てて一気に新しい企業へとトランスフォーメーションするというのは非現実的であり、既存事業の稼ぐ力(キャッシュフロー創出力)を高めることで、新しい領域への挑戦権も得られるということである。
これまでと全く異なるアーキテクチャで闘う新規のビジネス領域はリスクも高く、マーケット自体も未成熟であるがゆえに、そのための投資は自己資金を投下せざるを得ない。この自己資金の源泉は営業キャッシュフローから生み出された内部留保に他ならない。つまり、既存事業の収益力を高める努力を徹底的に行わなければ、トランスフォーメーションもできないのである。
しかし、これだけでは旧来の日本型経営における連続的な改善にとどまってしまう。そうならないためにも、会社のガバナンス、意思決定のあり方は、まず最初に切り替えられていなければならない。コーポレート・トランスフォーメーションの第一歩が、ガバナンス改革であるということの理由がここにある。
そしてもう一つが、必ずしもG(グローバル)の環境で闘うだけが道ではないという提言である。むしろ日本には充実したL(ローカル)のビジネス環境があり、この中で競争に打ち勝って生き残っていくことも、非常に有効な道であるということだ。
Lの世界でもコーポレート・トランスフォーメーションは必要である。しかし、サービスはリアルな空間の中で同時同場で行われる必要があり、そのために必ずしも規模の経済やグローバルな価格競争の影響を受けるわけではない。そして、これらのサービスも、デジタル化により必要なリソースや顧客に対してはグローバルにコンタクトすることができる。
例えば、老舗ホテルや旅館がグローバルな予約システムに登録することで、海外の旅行者から直接予約を受けることができるといった状態である。
したがって、これらの競争環境上の優位性を活かしてLの世界で勝ち残っていくことができる企業は、日本には非常に多いはずであるというのが、筆者の主張である。
提言の内容は筆者のこれまでの著書とも論旨を一にしているが、企業をつくり変えるという観点で整理されており、現状の課題の整理が明確で、さらにその処方箋においても考えられる抵抗や困難にどう対処するかということも念頭に置いて書かれている。
また、大企業から零細企業まで様々な企業の再生に携わってきただけに、それぞれの企業や競争環境に応じた生き残り方を模索するための方法論として書かれており、決して単一の正解があるといったまとめにはなっていない。
コロナショックという環境下で、あえてこの危機をひとつの契機として、より多くの企業が新しい競争環境で生き残れる形へと生まれ変わってほしいという筆者の思いが伝わってくる本だった。