世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912011

作品紹介・あらすじ

映画『ソーシャル・ネットワーク』後日譚。 ザッカーバーグを訴え、65億円をかっぱいだ怪人ウィンクルボス兄弟。 仮想通貨の黎明期、ビットコインに巨額のカネをつっこみ、世界第4位の仮想通貨長者となった兄弟の奮闘を描き出す実話! フェイスブックのアイデアをめぐる争いでザッカーバーグから巨額の和解金を得た実業家ウィンクルボス兄弟。しかしシリコンバレーに広まった悪評ゆえ、兄弟からの投資を受けようとするスタートアップはまったくなかった。そんな兄弟に、「仮想通貨ってものが生まれた、こいつはデカいものになるかもしれない」と囁く者がいた。これは巨大なビジネスチャンスか、あるいは…。兄弟は、まだ「仮想通貨」に賭けることを決意する。 怪しい投資家に実業家にハッカー。テクノロジーとビジネスが野合する水際で大博打に打って出る魑魅魍魎たち。 そんな中に飛び込んだ兄弟は、仮想通貨を真っ当なビジネスにするために奮闘する。 映画『ソーシャル・ネットワーク』の原作となった『Facebook』の著者ベン・メズリックが、ザッカーバーグの敵役となったウィンクルボス兄弟に焦点を当てた後日譚。バブル前夜の仮想通貨ビジネスに肉薄した会心作。映画化予定。

感想・レビュー・書評

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  • 映画『ソーシャルネットワーク』の後日譚としてビットコインの創世記を描いた本。テッキーな人を中心に広まり、マネー・ロンダリングなどへの悪用が当局に指摘されていた当時の状況が描かれており、ビットコイン初期の動向が描かれていた。マーク・ザッカーバーグと対立したウィンクルボス兄弟の葛藤や世間からの風当たりを描写されており、物語としても読み応えがあった。

  • ・主人公はフェイスブックの創始者ザッカーバーグと確執のあるウィンクルボス(Winklevoss)兄弟を.フェイスブックをテーマにした映画ではザッカーバーグに敵対する悪役として描かれており,実世界でもそのイメージのせいで苦労したらしい.
    物語はシルクロード壊滅あたりを最後とする1.5年 2011〜2013年.

    ・兄弟はフェイスブックの誕生に際しザッカーバーグと衝突.裁判沙汰となり巨額の和解金を得た.その資金をもとにファンドを立ち上げるもフェイスブックと因縁ある彼らはシリコンバレーでは受け入れられず上手くいかなかった.立ち行かない中スペインで緩慢と過ごしていたときビットコインと出会う.さらにビットコイン購入サービス”ビットインスタント”を提供する青年に会い彼に出資をするとこを決意.そこから彼らのビットコイン史が始まる.
    彼らは全ビットコインの1%を所持.ビットコインは鰻登りに値上がりし,アーリーアダプターとして巨万の富を獲得.(出資先のビットインスタントは失敗.エンジェル投資家も大変ね)
    1981年でまだ40歳.いやはやすごい世界ですなあ.

    「ビットコインは既存世界との融和と完全決裂の道に分岐する」という未来は現在進行形ですでに起きていることだと改めて思うし,この本を読んでいてもひしひしと感じる.(出資先となる青年チャーリーへの影響という意味で無政府資本主義でイデオロギーから水と油な登場人物ロジャー・バーと兄弟の衝突)
    この兄弟は前者の立場でビットコインの社会的地位向上・市民権獲得に貢献した人たちと言えるだろう.

    既存世界との融和:
    ”イノベーションを起こしたいのと同時に,資金洗浄も根絶したいし,バランスを正しく取りたい”

    ==========================

    ・フェイスブックの創始者ザッカーバーグに対する印象が悪くなる.えぐいことやってんな.「違法じゃなければ倫理的じゃなくても良い」

    ・シリコンバレーのエコシステムを垣間見える.
     エンジェル投資家からの投資だけじゃなく,先行する成功企業からの買収も出口戦略の一つ→親分(フェイスブック)から嫌われる金は色付きとして受け取られない.

    ・なぜ金はゴールドか?
     化学的性質(変形・変質しない,固体)
     ほどほどのユーティリティ(銀は産業用用途が広かった)
     ほどほどの埋蔵量(希少すぎるオスミウムは×)
     運搬可能・分割可能・偽造不可能・代替可能

    ・従来の二重支払い問題の解決方法
     →中央機関による取引の監視

    ・マウントゴックス=
     マジックザギャザリンオンランエクスチェンジの略称らしい.まじかw

    ・キプロス:財政悪化・預金封鎖・他国支援で賄えず国民から一定%徴収(財産権侵害)
    ”世界中に衝撃を与えたのは,キプロス政府が国民に対して行った大掛かりな泥棒行為ではない.そのようなことが起こりうると言う事実だった.〜政府は思いつきで介入してくる”
    「国民全員が,自国の政府に金を奪われた」
    ”自分達の金が実は安全ではないと気づかせる大事件”

    ・2013年5月16日 ビットコインカンファレンス前夜
     シリコンバレー関係のごく少数名が集まる秘密のカンファレンス(20名程度)
     →いまから8年以上前か… このご時世に暗号資産と騒いでも時すでに遅し感.
     こういう人たちは今何に注目しているんだろうか.

    ・宇宙開発ー>希少金属を採掘
     「貴金属はもはや貴重ではなくなる」

    ・メトカーフの法則
     ネットワークの価値は接続するシステムのユーザの2乗に比例する

    ・”ETFの申請は,ビットコインが主流に向かっていることを,既存の銀行業界に知らしめる合図となるだけではない.ビットコイン界のど真ん中に永久に消えない線をひき,将来的にビットコインは必ず規制されることになると考える兄弟のような人々と,ビットコインはウォール街,SEC,その他規制局や政府から独立して存在することになると信じる人々とを分断するだろう”

    ロジャーバー:
    BCHにシフト

    ・ビットコインユーザの遷移はこんな捉え方をするのが良いのかな?
     暗号に関わる技術オタク→急進的リバタリアン→何かしらの理由で匿名性を求める人々→ギャンブルのおもちゃ→法定通貨インフレに対するリスクヘッジ資産としての認識(今?)

  • ビットコインの1%を持つと言われるウィンクルボス兄弟(映画ソーシャルネットワークに登場したfacebookの発案者?でザッカーバーグと裁判していた)が主役のこの本とても面白い。

    Facebookから勝ち取ったお金の大半をいかがわしい時期のビットコインにオールインって、なかなかできない。
    そして投資しただけじゃなく、自ら働きかけてアントレプレナーシップを持って動いた。ウィンクルボス兄弟も実力で暗号資産長者になったんだなぁとわかる一冊。
    そしてウィンクルボス兄弟の父が、炭鉱の現場から
    自動車整備工場(当時は馬車が主流の移動手段で、車が一時的な流行でユースケースが限られるので普及しないと思われていた)を立ち上げ、のし上がるストーリーもすき。

    同じくビットコイン長者で日本好きのロジャーバーも結構出てくる。

  • 映画「ソーシャル・ネットワーク」が好きで、それのもとになったメズリック氏の「facebook〜」を読んでいたこともあって、「世紀の大博打」を読んでみた。
    仮想通貨という言葉しか知らない、みたいな自分でも興味深く読めた。
    ……のだけど。facebook〜と同じく、ノンフィクションだけれど、人物の心理描写など、本人しか知り得ない・(過去のことなので)細かく書くのが難しい部分が多かったと思う。facebook〜の前書きだったかで「読みやすさを考えて小説(物語?)仕立てにした」というような一文があった気がするのだけど、今回もそういう感じだったのかな?と。

    映画を観たり本を読んでも、自分はウィンクルボス兄弟に対して悪役の印象を抱かなかった。けれど、本書ではそういった印象を持たれてしまったことについて触れられていたので、なんかこう少し驚いてしまった。

    終盤で出てくるとある人物との再会したエピソードには驚いた。

  • ビットコインの発展の経緯についてよくわかったが、登場人物の人間模様や場面の情景描写が長くていささか読みづらいし、どうでも良いことをたくさん読んでしまった気にもなる。

  • 読みごたえがあり面白かった

  • Facebookのアイデアをめぐる争いで、ザッカーバーグから巨額の和解金を得た実業家ウィンクルボス兄弟。彼らはその金を注ぎ込んだのが、黎明期にあったビットコインだった —— 。今や世界第4位の仮想通貨長者となった兄弟の奮闘を描き出したノンフィクション。

  • ビットコインに関する本はこれまでも読んだことがあったが、本書は黎明期の人物を中心に描かれ、その点で読みごたえがある。
    確かに、見てきたような会話や生々しい心理描写はノンフィクションとしてはやや微妙。しかしそれを差し引いても、我々の日常生活からは決して伺えないスタートアップ、暗号通貨を巡る世界を生き生きと感じとることがてきる。

  • 読了日のレートは、1ビット10,940ドルだが、本書はそれが1セント程度の価値しかなかった頃から話は始まる。
    前著の『facebook』で敵役だったウィンクルボス兄弟の汚名をそそぐ見事な復活劇として描いているのは、著者がビットコインの将来に惚れ込んでいるからだ。
    確かに読み終えた読者も本日のレートを知りたくなるほど感化される物語でもある。

    「本質が明らかになるのは、出来事が起きた瞬間ではなく、その後の行動だ」と言う通り、この兄弟にとって打ちのめされることは問題ではない。
    再び立ち上がり戦い続けることに意味がある。

    賭博場そのものを買うという「世紀の大博打」で始まるビットコインの物語は、やがて優れた技術はわれわれを自由にするのか束縛するのかという根源的な問題に立ち至る。
    一握りの大企業がユーザーのデータを独占し、政府は国民を監視する手段として技術を用いる一方で、「暗号化と暗号通貨は、集中化されたシステムから力を奪い、人々の手に力を取り戻す」強力なツールとなる。
    集中と分散。
    ビットコインを動かす技術であるブロックチェーンと秘密鍵を使えば、「完全で真に自由なオンライン・コミュニケーション」を取り戻すことも可能だと考える。

  • 【世界一の仮想通貨長者の狂気のバクチを描くノンフィクション】ザッカーバーグから巻き上げた六十五億円を仮想通貨に。バブル前夜の仮想通貨に群がる怪人達を描くノンフィクション。映画化予定。

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