- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163910611
感想・レビュー・書評
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著者、池上彰さん(1950~)の作品、ブクログ登録は4冊目になります。(対談集を含む)
本作は、著者が、2018~2019年に、文藝春秋西館で行った講義をもとに、作られたものです。
本作に登場する人物は、次のとおり。
田中角栄(1918~1993)
江副浩正(1936~2013)
小泉純一郎(1942~)
中内功(1922~2005)
渡邉恒雄(1926~)
堤清二(1927~2013)
村上世彰(1959~)
堀江貴文(1972~)
石原慎太郎(1932~2022)
池田大作(1928~2023)
上皇陛下(1933~)
上皇后・美智子さま(1934~)
本作で気になった箇所は、
p213
著者の祖母は創価学会員であったため、宅配されていた聖教新聞を、著者は小学生の頃から読んでいたとのこと。
p187
石原慎太郎について、書かれた箇所。
著者は、石原慎太郎のことを、「暴言と思いつきの長期都政」と記す。
更に、「天真爛漫・無意識過剰」とも記す。
無意識過剰というのは、湘南高校で石原慎太郎と一緒に学んだ江藤淳(1932~1999)が言ったとのこと。
どういうことかというと、自覚しないまま、何でも口にしてし、それがさまざまな差別発言を引き起こすことになったりすると。
石原慎太郎について書かれた箇所は、なるほどなるほどと感心してしまった。
実にうまく分析されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文藝春秋社の広い講堂で、いろいろな人が夜間授業をしています。
2018年4月~2019年3月池上彰さんに与えられたお題は「”戦後”に挑んだ10人の日本人」。
既成の体制にさまざまな方法で挑んだ12人の人物伝です。
選ぶ視点は「毀誉褒貶のある人」。
その中で天皇陛下と美智子さまは、陰に陽に批判してきた勢力もあったから、ということ。
それ以外の人物は、私が悪人と認識している人もおり、「こういうことを語れる池上さんて凄いな」と思いました。
ナベツネの時は明らかに読売グループから送り込まれたとみられる参加者が目に付いたし、池田大作のときも創価学会会員、反創価学会、大勢の聴衆がつめかけたそうです。
ナベツネのところでは、ここで初めて明かされる興味深いエピソードがありました。
池上さんは「憎めない人」とおっしゃっていますが、私はますます嫌いになりました。
とても面白い本でした! -
流石、池上彰。いや、池上先生。
上皇・上皇后については割と知ってたのであまり目新しい話はなかったが、それ以外の「何となく知ってる人」「名前だけ知ってる人」「知らなかった人」についてはとにかく面白い。
歴史にどんな影響を与えたかという観点はしっかり抑えつつ、人物像にも言及が多くて、その人に対する理解が深まる。
印象的だったのは、石原慎太郎。本書は「毀誉褒貶」のあった人を取り上げており、基本的にはフラットな立場なんだけど、石原慎太郎に関しては、池上さんがめっちゃ嫌っている感じが行間からひしひしと伝わってきた。
普段は自分の意見を敢えて出さない池上さんだけど、本当はどんな価値観や信念を持っているのかが垣間見えて良かった。 -
池上さん自身も会っていた人の話もあるので、完全な第三者目線ではなかったが、それゆえの裏話もあって面白かった。
特に上皇陛下・上皇后美智子さまは戦後の日本の在り方を模索されていたと思うし、私が若い頃とは違う印象を持っていたので、とてもよく理解できた。
強いて言えば、だいたい30ページ程度ずつで書かれているため、消化不良なところもあった。いくら客観的にとは言っても主観は入るものなので、「この説明がなかったら違ったように解釈されてしまうのでは...」という箇所もあった。編集の問題もあるのかもしれないが。
ただ、普段なかなか取り合わされない12人であったので、様々な切り口での説明は、その方々それぞれで面白かった。30ページずつというのも、導入としてはちょうどいい量であることが利点だった。興味が湧いた人については、また自分で追求していこうと思う。 -
さすが池上彰!と思わせる内容。
もっと辛口に掘り下げてみてはどうか?と思うところもあるが、これだけの大御所を扱うのであるから、そう簡単にはいかないのだろう。扱われている人物(12人)をとりあえず理解するという目的には最適で、ここから読者の必要・興味に応じて発展してゆけば良いだろう。
上皇・上皇后を取り上げた事に驚くが、戦後の日本国憲法下の天皇として国民と寄り添う態度を崩さなかった上皇・上皇后に対する感謝と敬意の念を抱く。
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『感想』
〇日本の戦後を彩ってきた12人について、わかりやすく説明されている。
〇授業を書籍にしているということもあり簡潔にまとめてありもっと詳しく知りたいと思うところもあったが、入門編としてはいいところか。
〇池上彰さんだからこそ話せる内容となっている。大体の人は思うことがあっても、スポンサーとか上司とか、慮って素直に答えられない。だが池上さんはそれができる。
〇中身は決して人物批判ではない。その公平な態度が池上さんの人気になっている。でも12人では少なすぎる。もっといろんな人について教えてほしい。 -
久々にこんな読み応えのある本に出会えた。歴史の中で一番現代人に関係があるはずなのに、学習が疎かになりがちな戦後史を学ぶには最適。ジャーナリストらしく、教科書には書けないような踏み込んだ話もある一方で、根拠が薄い斬り込みすぎた話はなく、客観性が保たれている。そのバランスが良いと思う。
今では当たり前のように受け止められている現実も、過去の泥臭い様々な出来事を経て、形作られてきたのだと、改めて実感した。現在を相対化して視点を広げられるという点で、歴史を学ぶ重要性を痛感した。
読むと、「もっと勉強したい」ってなる本。 -
カリスマは天性のカリスマなんだろうか。
カリスマに憧れるのは私だけだろうか。
熱く闘ってきた人の歴史を読むと、私も何か成し遂げたいと思うのは、自意識過剰なんだろうか。
池上さんは右か左どっちなのだろうと思ってたけど、どっちでもないのだろうなとこれを読んで思った。 -
戦前と戦後は違う世界、戦後と現代は同じ世界、という思い込みを覆してくれる本。戦前と戦後は繋がっているし、戦後と現代では人々の価値観が大きく変わっているというリアリティを体感することができ、興味深かった。