世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う

著者 :
  • 文藝春秋
4.31
  • (14)
  • (8)
  • (3)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 131
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910369

作品紹介・あらすじ

大多数がヒンドゥー教徒であるインドで、不可触民と呼ばれる人々を中心にカーストのない仏教に改宗する人々がいま爆発的に増えている。不可触民とはインド人口12億人のうちの約2割を占める、一番下の階級(シュードラ)にさえ入れないカースト外の人々、ダリット。3000年間にわたり、「触れると穢れる」と差別されてきた人々が、いま次々に仏教に改宗し、半世紀ほど前には数十万人しかいなかった仏教徒が今や1億5千万人を超えている。その中心的役割を果たしてきたのが、佐々木秀嶺だ。わずか十畳ほどの部屋で暮らし、擦り切れた衣をまとった自称「乞食坊主」。子どもを見ると顔を綻ばせて喜ぶ心優しい小柄なお坊さんだが、その正体は電話一本で何万人もの人を動かすインド仏教の大親分。核実験が起きれば首相官邸まで乗り込み、ヒンドゥー教徒に乗っ取られた仏教遺跡を奪還するため何ヶ月も座り込みを敢行。弱い立場の人々のため、「これが武士道だ」と言ってみずからの命も惜しまず、モラルに反することには断固抗議。日本からやってきた怪僧にインド人もビックリ!である。色情因縁に悩み、3度の自殺未遂を経て、高尾山からタイ、そしてインド・ナグプールへ。龍樹菩薩のお告げに従い、インドで一生仏教布教に専念すると決めてからは、ブッダガヤ闘争やマンセル遺跡の発掘など、インド中を巻き込む闘いを単身挑んできた。インドの貧しい人々のために身を捧げ続けるのは、男・佐々井さんの「武士道」精神だった。本書は、ほんの偶然から佐々井上人を取材することになった、女性ライターによる密着同行記である。100万人がいっせいに仏教に改宗する「大改宗式」の様子や、佐々井さんの日常生活、そして陰謀と迷信うずまくディープなリアルインドを、爆笑必至のユーモア溢れる筆致で描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 佐々井さんに関する本を読むのは、「必生 闘う仏教」に次いで2冊目です

    この人の波乱万丈な人生は本当に面白く、また今回は、著者の白石あづささんとの温かい交流も読んでて嬉しくなります。

    発言でよく「日本男子たるもの」が出てきます。今こんな発言を日本の著名人がすれば「ジェンダー差別」と非難されるかもしれません

    その活動も一部の人には気に入らないところが有るのかもしれません。

    しかし、圧倒的なその存在と意志の強さは、論語の「匹夫(ひっぷ)も志を奪うべからざるなり」を思い起こさせます

  • 波乱万丈というか、壮絶というか。地元の出身者にこんな人がいたとは。

    これを読んだすぐ後に、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」を読んだ。インドへ向かう佐々井氏と、ピラミッドを目指す少年が重なる。

    だけど、こっちはフィクションじゃないんだよな…。

    これだけの人物に、まるで親戚のおじいちゃんであるかのように普通に接している著者も只者ではない。

  • インド旅行帰国後に読んだ。
    こんな日本人いたんだ... と驚愕。
    まさに現実は小説より奇なりを地で行ってる人。
    全体的に笑えるライトなエピソードになってるが、冷静にやってることが多くの"偉人"と比較しても桁違い。

  • カーストの外側にいて”触るとけがれる”とされる不可触民を中心に、仏教に改宗する人々が増えているインド。今やその数、1億5千万人。そして、そのインド仏教最高指導者を勤めるのが日本人僧侶、佐々井秀嶺だ。
    と言うと、非常にストイックな人格者の僧侶を連想するかもしれないが、然に非ず。佐々井上人、かなりぶっ飛んでいる。(仏教だけに「仏飛んでいる」か) 若かりし頃はかなりモテたらしく、色恋沙汰に巻き込まれて自殺未遂を3度。反省して仏教の道へ入り、インドでの仏教布教を心に誓うというあたりからして、ちょっと違う。
    元々仏教遺跡であった所がヒンドゥー教徒に乗っ取られたと知ると座り込みを実行し、インド政府が核実験を行うと大勢の仏教徒を引き連れて首相官邸まで乗り込む。正義のスイッチが入るともう止まらない。宗教間の陰謀に巻き込まれても、暗殺の危機にさらされても、「これが武士道だ」と言い切って、弱者に救いの手を差し伸べる。パワフルで豪快でストレート。こんな日本人が海外で活躍していることを知ると、こちらも何だか元気が出る。あっぱれ、佐々井上人。

    ところで、ガンジーは、実はカースト擁護の立場を取っていたため、インド国内では海外で言われるほどの支持を得ていないらしい。これは意外な事実。

  • 知人に面白かったとオススメしてもらい読んでみました。
    お坊さんの本と聞いて、よくある怒らない穏やかな心になるには、みたいな本だと思ってました。
    でも全然違った!!ものすごい波乱万丈な人生を送ってインドで仏教を広める活動をしている、エネルギッシュな猛烈おじいちゃんなお坊さんの本でした!
    こんなすごいおじいちゃんがいるなんて全然知りませんでした。
    秀嶺さんの奇天烈な人生と今の活動を綴っているんだけど、それが私の価値観を飛び越え過ぎて驚きの連続でした。
    インドが好きで興味があり、少し知識をつけてきていると思ってたけど、本当の宗教事情をちゃんと分かっていなかったことも分かりました。
    なぜ仏教発祥の地なのに、今はほとんど信仰されてないんだろう?と少し前から疑問に思ってた事情も描かれています。
    改めてインドの広さと混沌さを垣間見たよう。
    いろいろ考えさせられることもあるけど、かなりぶっ飛んでるので取り敢えず、うわー!!ってなりながら面白く読みました。

  •  YouTubeの動画よりこの著書に出合う。
    何と表現して良いのか戸惑うほどの人間臭さと豪快さが魅力である。

    『 佐々井さんがインドで目指している仏教は今の形骸化した日本の仏教ではなく、生活のなかに溶け込んだ実践仏教なのだ。』

     わたしの知らないインド・世界だった。 
    平和な日本では知り得ない、賄賂や陰謀などが渦巻く恐ろしい事態が次々に起こるが、著者のユーモアある温かい文章が、読みやすくしている。 とてもありがたい。 そして、感動をもたらす。
    とてつもなくスケールの大きな人生(人)と、感動した。

  • ものすごいことをする人はエピソードも桁外れ
    色々ぶっ飛んでるわ!
    聖人君子なだけじゃない
    日本人が知らな過ぎる偉大な日本人

  • シャンティブックス店主さんに教えてもらった、インドの仏教界のトップは日本人、仏教徒がインドですごい勢いで増えている、という話を聞いて、それが佐々井秀嶺という人物だと調べて、彼について書かれた本で一番新しいものを、と手にした一冊。◆著者への態度は威張ってて気まぐれで最初はとっつきにくいなあ、と思ったのだけど、彼の波乱万丈の人生をたどってタイからインドへ渡ったあたりからは目が離せなくなり、死の直前までの断食で一気に名がひろがり、貧しい民衆のためにと常に活動し、特にヒンドゥー教のカースト制度に苦しめられている不可触民から支持を受けて、仏教徒の数を増やしていく様、他の宗教の者や、政治家、あるいは仏教徒内部からも命を狙われつづけるが、それでも困った人がいれば助けにいき、表舞台に立つことも厭わない決意には目を見張るものが。その中で、ガンジーは不可触民にはまったく嫌われている、というのを読み、なぜかと思ったら、ガンジーは外国の支配には立ち向かったが、カースト制度は残そうとしたからだ、と。なるほど…。そして彼と対立したアンベードカルという不可触民出身の宗教者がインドの仏教復興の中興の祖であること。彼の死後、しばらく経ったあとに、インド仏教界の長に佐々井秀嶺氏が抜擢されたことなどを知った。◆「人生の良いこと、悪いこと、あるがままを受け入れて生きていく。煩悩を消すのではなく受け入れて生きていく。俺はその文を読んで雷に打たれた。そして山の上で叫んだ。この求道者、シッダールタは俺そのものだー! インドに来てよかった!! とな」(ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」を読んで)◆"最大の理由は、龍樹から与えられた使命だからだ。人は誰にでも使命がある。"◆「歎異抄」とヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」は読んでみたくなった。

  • ふむ

全17件中 1 - 10件を表示

白石あづさの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
劉 慈欣
リンダ グラット...
ヴィクトール・E...
三浦 しをん
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×