- Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163909851
作品紹介・あらすじ
風が吹いている。おれは、その風を肌でしっかりと感じながら、レンジローバーの後部座席で揺られている。英国系の石油プラントを守るため、イラクの紛争地帯に進んで身を投じた武装警備員のKは、キルクークからアルビルへ伸びる国道を北上していた。荒涼とした紛争地。戦火はおさまったかに見える地で、わき上がる問いに答えは出ない。なぜこの地にやってきたのか、戦争とは何か、何が戦争を作り出すのか。敵は誰なのか。大義なき戦争、警察国家が撤退した後の世界の風景を淡々と乾いた筆致で描き出す21世紀の戦争文学。著者デビュー作「市街戦」を併録。
感想・レビュー・書評
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市街戦から表題作への流れは、筆者の自伝にある程度近いのかなぁ。
除隊してからの居場所の無い感じ、そして傭兵として海外へ、といったくだりはエリア88に通じるところあり。
ただ、こちらはあまりドラマチックな出来事なく淡々と描かれている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自衛隊の厳しい訓練、想像以上。よく実践がないのに訓練だけできるなと思う。その辺の心境を知りたくなった。
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「市街戦」のほうの夢うつつが入り乱れるやつは、笹まくらを思い出した
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元幹部自衛官であった作者の処女作品『市街戦』と、表題の『戦場のレビヤタン』が収録。
どちらも“K”という名前の人物が主人公。時系列的には、『市街戦』が先で『戦場のレビヤタン』が後ですが、収録順は逆になっています。
『市街戦』は、生々しいです。実際に戦闘が描かれているわけではなく、幹部候補生学校の100km行軍の模様を描いたものであるが、おそらく著者の実体験なんじゃないですかね。本当に生々しいです。
一方『戦場のレビヤタン』は、中央アジア地域に展開するPMCの社員となった“K”の姿が描かれています。著者略歴を見る限り、著者がPMCで活動していたことは書かれていないので、資料などで書かれたものだと思いますが、こっちもまぁまぁ生々しいですね。ただ、『市街戦』とは違って、実体験という雰囲気は感じませんでした。
元自衛官という作家は少なくありませんが、こういう生々しい内容の作品を書く人は少ないんじゃないですかね。面白かったです。 -
硬質な文体は好みだが、言い回しがいちいち難しくて非常にわかりづらい。中編が2篇掲載されているが、どちらにもその印象しか残らなかった。
達観と言うよりは諦念がほぼ全編を埋め尽くしている。この文章なら、戦場のレビヤタンを描くよりもむしろもっと個人の心の中のレビヤタンを描くのに適しているのではないかな?とか考えてしまった。 -
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