マリア・シャラポワ自伝

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908625

作品紹介・あらすじ

貧しい少女時代、いじめ、ステージパパ、遅い初恋、世界一への道、そしてドーピング騒動。「わたしの人生に何が起きたのか、あなたに知ってほしい」(マリア・シャラポワ) 全米で話題騒然の自伝、遂に日本上陸!ナブラチロワは、わたしの父にこう言った。「お嬢さんには才能がある。アメリカへやりなさい」。 父は6歳だったわたしとともにロシア脱出を決意。全財産に借金を加えた700ドルを握りしめ、テニスの聖地・フロリダ目指し、旧式ジェットに飛び乗った。しかし、言葉も話せない貧しい外国人父娘は、セレブ子女が集う現地テニススクールで冷たくあしらわれる。勝負に友だちはいらない。とにかく上手くなりたい。どんな相手にも勝ちたい。お腹を空かせてボロボロのウェアで死ぬ気で練習に励んだ末、遂に有力エージェントから目をかけられる。 そして、運命を変えたのが17歳のとき。小娘に過ぎなかったわたしが、憧れの女王セリーナ・ウィリアムズを打ち負かし、まさかのウィンブルドン優勝を果たしたのだ。あたらしい女王の誕生に、世界中が熱狂した。恋愛、買い物中毒、怪我、コーチとの確執……その後は、どんなことが起きても乗り越えてきた。 一通のメールが、ふたたびわたしを人生のどん底に突き落とすまで----。

感想・レビュー・書評

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  • 翻訳された日本語の質が今ひとつ。特に,父親の名前を「ユーリ・シャラポワ」としているところは全く理解できない。彼は「ユーリ・シャラポフ」である。

  • これは面白い!語り口がうまいので一気に読ませるし、深い。ラケットを手にした4才からプロになる前の16才までの話は、「レオン」か!と言うほどドラマチックです。集中力、タフさ、敵愾心が非凡で、アスリートと言うよりはゴルゴ13を連想しました。家族との絆が強く、誇り高く孤高の人です。「今はテニスをすることだけを考えている。できるだけ長く、できるだけ激しく。止められるものなら、やってみるがいい」カッコいい!

  • 内容とは離れて、例えばロシアの人がアメリカに移住して、その人に見えるアメリカがある。こういう視界の方が、いくらか素に近いアメリカを知ることができると感じる。ひいき目や近視眼的な濁りやピンボケがしにくいと。
    内容からは、能力、決断、構造、そういったものの中で生きることを教わった。自由の概念よりは解放に近いものの方が文明的ではないかと。

  • なんとなく一匹狼の雰囲気があったが、幼少期から常に勝つことだけ考える負けず嫌いの性格だったシャラポワ。

    例の禁止薬物があってキャリアが短くなってしまったのは本当に勿体ないなあ、、

  • ふむ

  • 全編を通してシャラポアが勝気な性格であることが分かります。内容の割に長い本です、もう少し訳を工夫するべきかなと思いました。シャラポアが幼少の頃の話は興味深く読めます。活躍し始めたら、みなさんが知っている通りなので、そうだったかなぐらいで、他のテニス選手の自伝と同じようにプロの世界は非日常だと思わされます。ドーピングについて多く書かれています。辛い思いをしたことが分かります。最も盛り上がるところはディミトロフとの交際について語られているところです。但し、この箇所だけ読むのはもったいないです。最初から読んで、シャラポアの生い立ちやロシア人の気質を知ると、より楽しめます。誤字 224頁17行目 正:キヤノン 誤:キャノン 誤字とは言えないような感じです。

  • 6歳からテニスの為に父親と二人、なんのツテもない中フロリダに渡って、苦難を乗り越え世界ランキング1位になった彼女。モチベーションはとにかく皆んなを倒したい。人一倍の闘争心、負けず嫌いな性格がストイックな生活を続けられた理由。単純にそう言うモチベーションで良いのだと思う。自分が学生の頃もそうだったから共感もてた。

  • シャラポワが書いた自伝。シャラポアが、すごい境遇に育ったすごい選手であることがよくわかった。
    「誰もがやめてしまったあとでさらに5分間動くプレーヤー、風がふきすさび、雨が降りしきる中で第3セットの後半まで辛抱し続けるプレーヤーが勝利する。それが私の才能だった。強さやスピードではない。スタミナだ。私は一度もテニスに飽きたことがなかった。何をやっていても、永遠にやり続けられる。そんなことが好きだった。ひとつひとつの課題に取り組み、きちんとできるようになるまでやめないのだ。子供のころですら、そんな課題や退屈な作業が勝利に役立つだろうとわたしはわかっていた。みんなを負かしてやりたいと思っていたのだ」p24
    「(大使館の役人)この男がわたしたちに発行してくれたのは有効期間が3年のビザだったが、まさに稀な、はかりしれないほど貴重なものだった。アメリカとロシアを自由に行き来できる黄金チケット。現在のロシア人にも、これがどれほど奇跡的だったか、とても想像がつかないだろう。我々(父と6歳の女の子)が獲得したようなビザはほとんど入手が不可能だった。この男性があらゆる出来事を起こすきっかけをくれたのだ」p34
    「アメリカに来たばかりのわたしたちは何度となく見知らぬ人に助けられた。まったく計画外のことだったけれど、わたしたちはためらわずに幸運にすがった」p40
    「あとでわかったのだけれど、問題が1つあった。父の話がとても信じられないと思われてしまったことだ。こんな女の子とふたりだけでロシアからやってきたことや、世界に通用するテニスができる子供を連れてふらりとアカデミーに立ち寄っただけということが。そんな話をアカデミーの人たちは真に受けなかった」p41
    「ニック(責任者)から、ある申し出がなされた。わたし(7歳)はアカデミーで生活するにはまだ幼すぎるが、そこでトレーニングしてもいいというのだ。1日中、毎日でも練習できる。しかも無料で。昼食と夕食はアカデミーのカフェテリアでとってもよかった。アカデミーは私たちが暮らす場所さえも見つけてくれるという。しばらくの間、未来は保証されたかに思われた(しばらくして他の親の指摘を受け追い出される)」p48
    「わたしは不平を言わない。ラケットを投げつけもしない。ラインジャッジを脅しもしない。途中でやめることもない。わたしは相手に何一つ与えるつもりはない。カントリークラブや美しく刈り込まれた芝生で育った人たちは、絶えず進み続ける女に慣れてはいないだろう」p57
    「(シャラポワは、6歳の時、麻酔なしで目の腫物の除去手術を受けたが、全く泣かなかった)」p57
    「わたしは感情を持たない、恐怖を感じない。氷のようになる。ほかの女の子とは友達にならなかった。そんなことをすれば、私は優しくなり、さらに負けやすくなるから」p59
    「きみはほかの女の子たちをビビらせた。とりわけ、エレナとタチアナを。彼女たちを震え上がらせたんだ」p59
    「(IMGとの交渉)父は5万ドルくらい必要だといった。それ以上のお金が必要だろうと、結局、1年あたり10万ドルほどになった」p96
    「わたしは11歳で、年5万ドルにプラスしてボーナスという、ナイキとの初めての契約にサインした。そのころそんな契約がどれほど異例かを理解していなかった。ナイキが11歳の子供に投資するなんてことが。IMGのように、ナイキもわたしの才能を信じたのだった。彼らはわたしに賭けたのだ」p97
    「生まれて初めて、この世界がどんなふうなのかをいくらか理解した。テニスはスポーツだが、単にスポーツというだけではない。そこに情熱はあるが、ただの情熱だけではない。これはビジネスだ。お金なのだ。自分がやっていることの理由をようやく理解した。その瞬間から、私の任務ははっきりした。ひたすらコートに出て勝つことだ」p97
    「(強い親の存在の必要性)来る日も来る日も外へ出て、眠りたいとかテレビゲームをやりたいとしか思っていない子どもに練習させられる人間が、親以外にいるだろうか。自分の意志で練習したがる7歳の子どもや、状況が悪くなった時に踏みとどまれる子どもは世の中にいない。でも、自分をずっと応援してくれる誰かがそばにいれば、話は別だ。テニス・ペアレントのような親たちがいなければ、ウィリアム姉妹やアンドレ・アガシやわたしが世に現れることはなかっただろう」p145
    「いつ終わるともわからないツアー。80日間で世界を1周する。世界中を旅しながらも、何一つ見ることはない。いつも同じ顔ぶれ、同じライバル、同じ争い。毎日が同じ日。繰り返し、繰り返し」p154
    「ウィンブルドンの地へ行くと、生まれ変わったような気がした。わたしはいつもウィンブルドンの華やかさに驚きを覚えた。ホテルを出て、申し分ない小さな町に入っていくと心からほっとした」p155
    「集中力とはただ何かに注意を向けることではなく、物事をシャットアウトすることでもある。ほかの世界を取り除いてしまうことだ。どんどん取り去っていき、最後にはこのコートと、向こう側に立って操り人形のようにあちこちへ動こうとしている女子プレーヤーだけになる」p188
    「(ウィンブルドン優勝後)ツアーで新たに私が対処しなければならなくなったのは、嫉妬心だった。ほかのプレーヤーが私を快く思わないのは、コート上で負かされるからでも、自分より優れた選手だからからでもない。いまいましい宣伝の仕事を私にすべて奪われたからだ。そのせいで気が狂わんばかりになった女子プレーヤーもいた。「エレナは日本で契約を取れないのよ。マリアが根こそぎさらっていくせいでね」」p225
    「大会の会場や記者会見の雰囲気も変化する。冷ややかで張りつめたものになる。急に世界が、これまで知ってきた唯一の世界が、自分に好意を持たない女子だらけになるのだ。彼女たちはお金や名声をうらやんでいる。優勝者が手にしているものを欲しがっていて、彼女たちがそれを獲得する唯一の方法は、相手をやっつけることなのだ」p228
    「(引退の時期を迎えたシャラポワのコーチ就任に気が進まないスベン)「今、きみは何のためにプレーしているんだね」と尋ねた。きみは答えた。「みんなを倒したいからよ」その瞬間、私は言ったんだ。「よし、やるぞ」とね」p298

  • 女子テニス界有力選手のマリア・シャラポワが自らの幼少期からのテニスの関りから、プロデビューを経てトップ選手に至るまで、そしてドーピング疑惑の発覚の後にツアーに復帰するまでのまさに「波乱に満ちた人生」を語る自叙伝です。
    「本当にシャラポワ自身が書いたのか?」と思うほどに表現や描写が豊かで、シャラポワの負けん気の強さやテニスに対する情熱が伝わってきます。
    幼少期のテニストレーニングにおいて「退屈な課題や作業が勝利に役立つだろうということを理解していた。テニスに飽きたことがなかった」、プロデビュー直後のアカデミー時代、周囲の同年代の選手について「ほとんどが甘やかされたガキだった」、ツアーで活躍してからの他選手との関係では「他のプレーヤーから妬まれるのは私にコート上で負かされたからではなく、宣伝の仕事を奪われるからだ」、グランドスラム決勝後にロッカールームで倒した相手が「一人ですすり泣いている場に遭遇し、後にその選手が『あんなチビのアマチュアには二度と負けない』と言っていたと耳にした」などシャラポワの負けん気の強さを醸造した環境や、ツアーの裏側も描写されています。
    ウィンブルドンでの初優勝が掛かった決勝戦前夜の不安と緊張が抜けない心理状態とか、ドーピング疑惑を受けての心境とか、当事者でなければ書けない描写も満載です。
    ハードカバーで300ページ超、しかも写真は巻頭部分だけで、あとはひたすら文字がびっしりの読み応え十分なボリュームです。しかし、負けん気の強さ満開の一面と、一方でテニスに対する真摯な姿勢の両極端な表情が生き生きと描写されており、訳が読みやすいこともあって決して悠長な印象を受けずに読み通すことが出来ます。

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