ツチハンミョウのギャンブル

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908595

作品紹介・あらすじ

4000匹のうち生き残れるのは1匹か2匹。ツチハンミョウという地味な虫は壮絶なギャンブル人生を生きている。それに比べたら、私たち人間なんて--という昆虫バナシが本書のタイトルとなった「ツチハンミョウのギャンブル」。NY、久しぶりに戻ってきたトーキョー、ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロ、アメリカのインテリ層を震撼させたトランプ大統領旋風といった世の移り変わりから、変わらず偏愛のフェルメール、大人になっても楽しい昆虫採集、ハカセ独壇場のわかりやすく面白いサイエンス・コラムまで。どこから読んでも、いつ読んでも楽しめる極上のコラム集。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙は絵本作家 #舘野鴻 さん
    文春文庫『ツチハンミョウのギャンブル』福岡伸一 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    より転載
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167916978

    ハカセの大胆なる仮説・珍説、ここにあり
    NYから東京に戻った福岡ハカセ。二都市を行き来しつつ、変わり続ける世の営みを観察する。トランプ現象からカズオ・イシグロまで。

    目次
    Chapter1 身近なサイエンス
    ある産科医の物語/またまた円周
    率/きれいな結晶の作り方

    Chapter2 ピープル・オブ・サイエンス
    ドクターノグチ/「数学の魅力」
    を伝える二人

    Chapter3 サイエンス健康論
    ダイエットの公式/マヨネーズ
    とピロリ菌/赤ちゃんが最初に
    出会う他者/テロメアのサスペン

    Chapter4 大人の昆虫採集
    虫オタク受難史/東京のカブト
    ムシ/オオミズアオを育てる

    Chapter5 フェルメールの謎が解けた
    フェルメール作品の行方/突然、
    現れた「聖女」/青の文化史

    Chapter7 進撃の魔人トランプ

    Chapter9 本の未来
    カズオ・イシグロとお寿司/
    君の名は。論

  • この方は生物学者を名乗っているが、主観に満ちた話が多く、科学による裏付けが非常に怪しいと感じる。話に織り込まれる科学情報の一端は正しいこともあるが、話の流れ全体を俯瞰してみると誤った解釈であることが散見される。自分の考えを正当化できる科学情報を選りすぐり、切って張って固めた論理でもって自分の言っていることは正しい、としているのではないか。その姿勢はもはや科学者ではなく思想家だ。

  • 「福岡伸一 西田哲学を読む」池田善昭
    「つちはんみょう」舘野鴻
    これらの本の後に「ツチハンミョウのギャンブル」というタイトルに惹かれて読んでみた。
    サイエンスに限らず、いろんな話題がつまっていて、しかも短く読みやすいが、期待していた「サイエンスをじっくり味わう」には少々物足りなかった。
    もちろんコラムとして読めば面白い。

  • 福岡伸一さんの本はとにかくすごく楽しい!
    ものすごく知的でありながら、落語家顔負けのユーモアセンスを備えているので。
    あー、楽しく学習もさせてもらいました。特にこれ、「生命の基本仕様は女」、納得、納得っていう感じです(笑)。

    〈本から〉
    消化は、食物という高分子化合物を低分子化合物に変えるプロセスだが、小さくした方が吸収しやすいからそうしているわけではない。食物は動物性のものにせよ、植物性のものにせよ、もともとは他の生物の身体の一部。そこには元の持ち主の情報が大量に保存されている。外部情報がいきなり体内に入ってきたらたいへん。アレルギーや免疫反応が起きてしまう。それゆえ、いったん情報を解体する。これが消化の本当の意味。

    生命の基本仕様は女。男はあとになって、遺伝子の運び屋になったため、女を作り変えることによって生み出された。(略)
    まずは胎児は全員女性型として出発し(だからこの頃は外形的には性別はわからない)、受精後七週間からY染色を持った受精卵は、そこからの指令によって、徐々に上記のような男性化へのカスタマイズ作業が開始される。(略)
    カスタマイズしすぎたコンピュータの動作がしばしば不安定になったり、フリーズしがちになるのと同様、無理くり作り変えられたものは本質的に弱い。男性は病気になりやすく、ストレスに弱く、寿命も短い。弱き性、汝の名はオトコ、なんです。ですから、女性のみなさん、大切にしてください。

    生命を生命たらしめているのは、それが絶えずエントロピー増大の法則にあらがう、という特性を持つからだ。エントロピーとは乱雑のおと。秩序あるものは無秩序になる方向にしか進まない。これがエントロピー増大の法則。なのに生命は、エントロピーの低い状態を維持し続けている。

  • 図書館で借りて読んだが、手元に置きたくなる一冊。今日の自分は昨日の自分ではない、細胞レベルでは常に合成と分解が繰り返されている、という動的平衡論で有名な著者の蘊蓄が傾けられたエッセイ集。内容に応じて9つの章に分けられているが、自分自身を'福岡ハカセ'という呼称で登場させ、ちょっぴりユーモア溢れる筆体で、動的平衡での説明を交えながら、読み易く引き込まれていく。タイトルのツチハンミョウのギャンブルの解説に見られるように、自然の営みには人智では計り知れない企みの不可思議さを感じる。著者はフェルメールの研究家としても有名だが、その執念に近い拘りには敬服するものがある。それぞれのエッセイを読み進めていくうちに、著者の語りに秘められた思いの深層に触れていく気がする。

  • 20181124 中央図書館
    細胞学、昆虫、カズオ・イシグロ、フェルメールなどなんでもござれでエッセイを書けるというのは、凄い。

  • 404

  • 【福岡ハカセのNYトーキョー二都物語】NYから東京に戻った福岡ハカセ。二都市を行き来しつつ、変わり続ける世の営みを観察する。トランプ現象からカズオ・イシグロまで。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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