- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163908281
作品紹介・あらすじ
父と娘は、閉ざされた村での狂乱から逃げられるのか――狂気が狂気を呼ぶ、パニック・ミステリー!一九七九年、夏。亡き妻・節子の田舎である鵜頭川村へ、三年ぶりに墓参りにやってきた岩森明と娘の愛子。突如、山間の村は豪雨に見舞われ、一人の若者の死体が発見される。村の有力者・矢萩吉郎の息子で問題児の大助が犯人だと若者たちは息巻くが、矢萩家に誰も反抗できず、事件はうやむやとなる。抱えていた家同士の対立が顕在化し出し、若者たちは自警団を結成する。動き始めた狂気がさらなる狂気を生み、村は騒乱に巻き込まれていく――
感想・レビュー・書評
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亡き妻の墓参りに鵜頭川村を訪れた岩森と娘の愛子。その夜に大雨から大規模な土砂崩れが起こり、村は孤立することになる。
そんな中、村の1人の青年の刺殺された遺体が発見され、犯人捜しから村人同士の対立が始まる。
閉鎖された空間の中で、都会に憧れながらも村を出ることを許されなかった、青年達の大人へ対する憎悪に、根深い男尊女卑。
自分も田舎出身だが、ずっと地元に残っている同級生達を見ると、狭いコミュニティの中で学生時代の上下関係、いわゆるスクールカーストがいい歳した大人になってもまかり通る地域がある。
子連れの元後輩に、帰省先のスーパーでペコペコ頭を下げられ、その場から逃げ出したくなった事がある。
個々には親思いの良い青年達が、集団になり団結し我を忘れ牙を向く、逃げ場の無いパニックミステリー。
青年達の憧れだった辰樹と、よそ者の岩森のバトルの描写が、自分の身体に痛みを感じるようで辛かった。やっぱり人が一番怖い!
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#読了 #鵜頭川村事件 #櫛木理宇
亡き妻の田舎である鵜頭川村へ、三年ぶりに墓参りにやってきた父娘。突如、豪雨に見舞われ一人の若者の死体が発見される…
集団心理を利用してやすやすと暴動をおこす頭脳があるなら、何か解決策は無かったのか?と思ってしまうが、真相を聞くと同情もしてしまった。 -
閉ざされた環境で、まさに生きるか死ぬかの極限状態。よそ者の岩森さんやエツ子さんがいたのが救い。ちょうど大雨で、余計怖かった。
読むのに、すごく時間がかかった。 -
本当にあった話かと思うくらいリアル。そして、残酷な描写も多く、本当にリアルでゾッとする。
人間の狂気がすごく見事に描かれています。
エツ子さん、愛子、港人の存在だけが唯一の心の救い。 -
怖かったぁ。災害で陸の孤島と化した小さな村。家長制度が色濃く残っていて、良くも悪くも日本の風土や風習が人々をがんじがらめにしている。時代背景が昭和54年ということも相まって不気味さが増していました。ゾンビだとか未知の細菌でパニックに陥る話は良くあるけれど、これは普通の人間がいろいろな条件環境などで狂気を生み出していく。じわじわと怖くなっていって、早く逃げて逃げてと思いながら読み進めました。夢を諦めた青年は、自らの手で未来を変えようと思いそして未来を壊した。最後は可哀想だったな。
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WOWOWでドラマ化(2022年10月から松田龍平主演)されているので読んでみる。筆者の作品はリームダスト・モンスターズは面白かったが、「チェインドッグ」は私好みの作品じゃなかったし、ホラーってことだったので覚悟はしていたが、ホラーじゃなくてヴァイオレンス小説やった。ホラー以上に苦手。雰囲気は横溝正史の村ものって感じだが、舞台が1979年で、出てくる若者と私の年が変わらないことが怖い。スターウォーズにインベーダーゲームだもんね。それが一番怖かった