オリバー・ストーン オン プーチン

  • 文藝春秋
4.14
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907659

作品紹介・あらすじ

NHK「BS 世界のドキュメンタリー」で放送予定(2018年3月1日、2日二夜連続)全世界で話題のドキュメンタリーを完全書籍化。映画『スノーデン』を撮り終わったオリバー・ストーンは、スノーデンが亡命したロシアに密かに渡り、プーチン大統領のインタビュー・ドキュメンタリーを撮り始める。クレムリンの大講堂で、アイスホッケー場で、ソチの避暑地で。チェチェンの独立運動を潰し、ウクライナからクリミアを強引に併合、政権に楯突くものは次々に不可解な死を遂げる。西側の報道によるそうしたイメージはストーンのインタビューによって揺らぎ始める。1、5度の暗殺未遂にもかかわらず悪夢は見ない 一度目の訪問初日 二〇一五年七月二日「就寝は午前零時、起床は七時頃だ。いつも六~七時間は眠っていた」2、万能感に浸る国家は必ず間違う一度目の訪問二日目 二〇一五年七月三日「NATOには二種類の意見しかない。アメリカの意見と、間違った意見だ」3、ロシアがスノーデンを引き渡さない理由を話そう一度目の訪問二日目 二〇一五年七月三日「スノーデンは祖国を裏切ったわけではない。公表という形でしか情報は出さなかった」4、アメリカはロシアという外敵を必要としている一度目の訪問三日目 二〇一五年七月四日「イスラエルのパレスチナ封鎖を批判する人は多い。が、ウクライナ政府はドンパス地方に同じことをしている」5、平和を支持するのは楽な立場だ一度目の訪問三日目 二〇一五年七月四日「あなたは平和を支持するという。それは楽な立場だ。私は親ロシアだ。私のほうが難しい立場にある」6、同盟国と国民を追い込むシステム二度目の訪問初日 二〇一六年二月一九日「レーガンと私のあいだには大きな違いがある。破産しかけているのと、実際に破産しているのとでは大違いだ」7、トルコはIS支配地域の石油の密輸先になっている二度目の訪問二日目 二〇一六年二月二〇日「一台や二台の話じゃない、何千台ものトラックがあの道を走っていた。まるで動くパイプラインのようだった」8、クリントン大統領はロシアのNATO加盟を「いいじゃないか」と一度は言った三度目の訪問初日 二〇一六年五月九日「だがアメリカの代表団は非常に神経質な反応を見せた。なぜか? 外敵が必要だからだ」9、米国との対立は二〇〇四年から二〇〇七年に始まった三度目の訪問二日目 二〇一六年五月一〇日「(国民への監視については)アメリカよりはましだよ。アメリカほど高度な設備がないからさ。同じ設備があれば、アメリカと同じぐらいひどいことをしていただろう(笑)」10、ウクライナで起きたのはアメリカに支援されたクーデターだ三度目の訪問三日目 二〇一六年五月一一日「ウクライナで大統領選が実施された。ヤヌコビッチ氏が選挙で勝利したが、反体制派は納得せず、大規模な暴動が起きた。この暴動はアメリカが積極的に煽ったものだ」11、ソ連は何年もかけて人材を評価したが、結局崩壊した三度目の訪問三日目 二〇一六年五月一一日「誰にでも、権力を禅譲しなければならない時期は訪れる」12、ロシアはアメリカ大統領選挙に介入したか?四度目の訪問初日 二〇一七年二月一〇日「もちろんわれわれはトランプ大統領に好感を持っていたし、今もそうだ」訳者あとがき解説 北方領土交渉の実体験から本書を読み解く 鈴木宗男(新党大地代表)

感想・レビュー・書評

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  • アメリカを代表する映画監督、オリバーストーンとロシアとゆう大国を支配しているプーチンのインタビュー集。ストーンが直球勝負するのに対してあくまで冷静に、淡々と答えるプーチン。やはりただ者ではない。5回も暗殺されかかりつつも毎日6~7時間は寝たとゆう剛胆な精神。初めて彼をみたときなんて冷たい眼をしたヒトだろうと思ったが、元KGBを率いた彼にすればロシアを支配するのはなんてことはないのだろう。日本の外交問題なんて眼に入らないのかも。北方領土は永遠に解決できないだろう。プーチンがいる限り。

  • オリバーストーン監督が1年8ヶ月にわたるインタビューをドキュメント化したもの。
    ウクライナ問題とコソボ問題の比較で語るプーチンが印象深い

  • 映画監督のオリバー・ストーンが2015年から2017年にかけてロシアの大統領プーチンに対して20時間以上のインタビューをおこない、テレビで放映されたそうである。
    この本はそのインタビューを活字化したものである。
    ニュースで伝えられるプーチンの発言は断片的であり、独裁者であるとかタカ派であるとか、あるいはアメリカからみて敵国のボスという解り易い役割を割り当てられているようにみうけられる。事実、ウクライナへん侵攻ひとつとってみてもやっていることは悪役のそれである。悪役が悪をなすとき悪役は白昼堂々やるだろうか?悪行が万が一成功しても、後々糾弾されるのは目にみえているのではないだろうか?
     プーチンが堂々としているのは悪役だと自分ではおもっていないからである。むしろCIAやFBI、ネオコンなどの勢力はひっそりと裏で過激派組織を結びつき、ウクライナを操り、暗躍する。
    インタビューを読む限り、プーチンがアメリカの二枚舌外交に手を焼いている様子がよくわかる。
     また毎日、柔道の稽古をし、体を鍛え、規則正しい生活をおくるプーチンは国民が望む強いロシアそのものなのかもしれない。ロリア側からみた世界観とウクライナからみた世界観、アメリカからみた世界館がみなちがうことをまずは知っておくべき必要がある。

  • 全てが事実ではないだろうが、
    プーチン大統領の率直な回答に、非常に好感が持てる。
    アメリカ側からの発信だけでは知れない事、
    やはり両サイドからの見方が大切であると実感できる。
    非常に頭脳明晰であるプーチン大統領に好感を抱く。

  • 2015年のドキュメンタリーを文字に書き起こした本。今の国際情勢下に興味を持ち読み始めた。単語や人の名前や歴史の認識が薄くて読了したけど理解が全く及ばない。ただ、今起きていることはインタビューした7年前以前から燻っていた火種だったんだと改めて。プーチン氏というかロシアの根底にあるのはアメリカ、NATOや周辺諸国への不信感なんだなと。ウクライナ侵攻は全く許されることではないが、今まで鬱屈していた不満のマグマが爆発したような感じなのだろうか。この本でのプーチン氏の主張は是非を別として理路整然としていると感じたが、今同じインタビューをしたら変わらず説得力を感じるものになるのだろうか。また、読みながら自分の視点や思考は欧米報道の影響を強く受けていると思った。結局この本で語られてることの真実や是非はわからないのだが、いろんな視座を持ち自分なりの意見を持たないといけないと思った。

  • オリバー・ストーンの質問に答える形で、ロシア大統領としてのプーチンが回答するインタビュー集。

    プーチン自身のプライベートな内容はほぼ話はされず、外交と内政、経済について語られる。

    メディアで目にしているロシアのイメージは、プーチン自身によると「アメリカの内政における駆け引きの材料としてのロシア」であって実際とは異なる、という主張を繰り返すプーチンは、意外と「外からどう見られているのか」を気にしているようにも感じる。

    外交で行われていることで表に現れて報道されているのは1/6程度、となるとほとんど見えないということで、この見えないことが正しいことと捉えているのか誤っているので正す必要があると考えるのか、このあたりよくわからなかったのが残念。

  • 番組で知って買う。第一に、西側視点だった考え方をひっくり返される。そうかロシアから見るとそう見えるのか。第二に、ややこしい東欧や中東の国際情勢について基本的な関係がわかる。どんな意図で施策が行われたのかはどこまでが本音なのかによるけれど、基本情報や事実、時系列は会話のおかげで理解しやすい。第三に、プーチン大統領個人の考え方や議論の仕方が見える。頭の回転が速いんだろうなあ。

    鈴木宗男氏の解説があるので、日本とロシアの歴史的な関係も学べてお得な本だった。

  • 「今まで得た資産のことは問わない。だから今後、政治には口を
    出すな」とオリガルヒ(新興財閥)を集めた円卓会議で凄みを利かせ、
    未払い賃金の支払いに同意する書類になかなかサインをしない
    オリガルヒに「君のサインがまだのようだが?」と脅してサインさせ、
    野党が提出した文書を目の前でビリビリにする。

    かと思えば、楽しそうにワンコと戯れ、どこかぎこちないけどピアノを
    弾いてみせ、テニスや乗馬や釣りをしている姿を公開し、バイカー・
    ギャングを従えて大型バイクで夜の街を疾走する。

    突然、ロシアのトップになってから色んな顔を見せて私を魅了する
    プーチン大統領。本書は映画監督オリバー・ストーンが断続手に
    ロシアを訪問してプーチン大統領にインタビューしたドキュメンタリー
    の書籍版。

    先日、BSで放送があったので録画して少し見た。毎年恒例の「プーチン
    さんが国民の質問になんでも答えてくれるよ」(こんな名称ではない)
    というテレビ放送でもそうなのだが、この人は本当にメモを見ずに
    日付やら数字やらがスラスラと口から出て来るんだよな。

    ドキュメンタリーは昨年アメリカで放送された後、「ロシアのプロパ
    ガンダだ」との批判が多かったようだ。しかし、プーチンが語る内容
    は同じ事象でもロシアの立場から見た分析になっているのだろう。

    私はアメリカの行動がすべて正しいとは思わない。どちらかと言えば
    アメリカには批判的だと思う。なので、ロシアの立場(プーチンの
    思想?)から世界を見るとのオリバー・ストーンの手法は面白かった。

    ソ連が崩壊し、何もかもがガタガタになったロシアを立て直したのは
    プーチンの功績だと思うし、「強いロシア」を再建し国内に希望を
    与えたのも彼だった。

    それでも、本書でプーチンが語っているすべてを鵜呑みには出来ない。
    誰だって自分を、自国を正当化したい。それはプーチンだって同じだ
    ろうと感じた。

    そして、彼はあまりにも長く権力の座に留まり過ぎてしまったのでは
    ないかとも思う。

    今月、ロシアでは大統領選挙が行われる。やっぱりプーチン続投と
    なるのだろうな…って感じだ。

    閣下、辞め時を見誤なってないだろうか。まぁ、表舞台からプーチン
    閣下が姿を消したら、それはそれで寂しいのだが。

    西側(アジアではない)の視点に偏りがちな日本だからこそ、本書は
    違った視点で世界を見る参考になった。

    尚、4月にはドキュメンタリーのDVDが発売される模様。クレムリン
    内の映像とかあるんだよな。買うか…。

  • よくぞ、このような取材が可能だったことと思う。
    プーチン氏が語っていることが、どのくらい真実に近いのか、プロパガンダでないのかを判断する知識はない。しかし、日本を含めた主要メディアで語られるのとは違う見方、視点があることにまずは驚いた。
    メモも見ずに細かい数字を答えるプーチン氏。要約された政府機関からの報告は読まず、自身で原文に当たるという。どれだけの時間と熱意を仕事に費やしているのか。ヘビのような冷たい視線と冷酷さの裏に、国家に対する圧倒的なまでの使命感があるのだ。
    対談そのものであるため読みにくい部分があったが、貴重な体験をした。

  • プーチンからみた世界。
    立つ位置が違えば、世界の見えかたが違うのか、それともどちらかが嘘をついているのか?
    かつて『ボーリング フォー コロンバイン』(コロンバイン高校で起こった銃乱射事件。)この映像でオリバー・ストーンは全米ライフル協会会長にインタビューを試みている。「街角のスーパーで銃や銃弾が買えることをどう思うか。銃規制の必要はないのか。」と。その時の会長の対応と、プーチンはなんと異なっていることか!

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著者プロフィール

1946年生まれ。アメリカの映画監督、脚本化、映画プロデューサー。『プラトーン』、『7月4日に生まれて』でアカデミー賞監督賞を二度受賞。著書『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』はベストセラー。

「2020年 『もうひとつの日米戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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