スティール・キス

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907444

感想・レビュー・書評

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  • 年に一度のお楽しみ、ディーヴァー。しかも二年ぶりのリンカーン・ライムシリーズなので、読む前から楽しい。こういう気分もミステリを読む醍醐味だなあと思う。

    前作「スキン・コレクター」が傑作だったので、それに比べると若干弱い感じがするが、さすがに期待を裏切らない職人技を堪能した。ディーヴァーといえば、ツイスト。読む側は最初から、さあどう来るか、何をどうひっくり返すのかと身構えている。シリーズもすでに12作目(邦訳作品)だというのに、それでもやはり「うーん、そういうことだったのか!」と思わせる剛腕ぶりに敬服する。

    全体として、すごくインパクトが強いわけではないが、それを補うのが、脇筋のエピソードが充実していることだ。サービス精神満点。ライムが刑事事件から手を引いてしまっている所から始まり、ライムとサックスの関係が微妙な感じになったり、プラスキー(わたしのご贔屓キャラ)の挙動が不審でハラハラしたり、重要な新顔が登場していたり。すごいのは、これらすべてに「ツイスト」があることだ。いやあすばらしい。

    メインとなる殺人事件は、まあ殺人なのだから当たり前だとはいえ、痛苦に満ちたもので、犯行の方法にゾッとさせられるが、わたしはそれ以上に、犯人をめぐる状況の痛切さが強く心に残った。それでも、深々とした「闇」を描きながら、嫌な読後感を残さないところがディーヴァーなんだよね。

    シリーズの主な登場人物は、もうすっかりお馴染みさん。みな個性的で、ウジウジしていないところが好きだ。終盤のあるシーンには笑った~。これぞ、ライム。サックスが「それはもうロマンチックだったわよ」と評したライムの言葉は、シリーズファン必読。

    あとがきによると、本国ではすでに次作が出版済みで、来春にはその次が出るそうだ。早く読みたいとは思うが、今までどおり年末恒例のお楽しみというのも、いいものかなとも思う。

  • ●この何年か、めっきり新作(新人)小説を読まなくなりました。なぜって現実が結構やばいから。
    面倒事は物語の中から出て来んでくれんかな・・・・・・。←無理

    ●今回の敵は、スマホでいろいろ操作できる便利な世の中を逆手に取り、公共の場の設置物から家電まであらゆるものを凶器として社会を混乱に陥れます。
    まあ、何年か前にも自動運転がハッキングされる報道が出てましたし、そりゃそう言う事もありましょうなあ。
    加害者の動機についても、そりゃそう言う考えに至る事もありましょうなあ。
    「え~、大げさに考えすぎだよ~??(^^)」と言える人は幸いなり。

    ●2010年以降のリンカーン・ライムシリーズは、週刊アメドラって感じ。ふむふむと読み進めるけど、知ってるディーヴァー(=予測の範囲内)なのであんまり驚愕はしない。
    人それを惰性と言いますが、それでも読める作品を提供するのはさすがベストセラー作家ですね。←なにさまだよ

  • 電気やビッグデータを駆使する犯人が出てきましたが、こんどはIoTですか。

    って言うか、この犯罪、リアルにありそうで怖い。“コネクテッドカー”とか、“スマートメーター”とか言われれる昨今、十分に有り得る話です。最近はやりのAIスピーカーも危ないかもねぇ。

    いつもは、結末に向けて、どんどん危機感が高まっていって、最後にどんでん返しが起きるのですが、今回は、小盛り上がりがいくつかあって、それぞれでどんでん返しが起きるという感じでしたね。そういう意味では、ドキドキ感はちょっと物足りなかったかも。他方、パラレルで複数の出来事が起きていて、それぞれでどんでん返しがあったのは、面白いと思いました。

  • リンカーン・ライムシリーズ№12
    これでもかと詰め込まれたどんでん返しはジェフリー・ディーヴァーの真骨頂
    ほんと天才やと思います
    ありがとう
    素晴らしい日本語訳の池田さんにもありがとう
    原文のまま読めるくらい勉強してたらよかったな〜
    自分の人生には努力が足りない
    そんなことを感じた一冊
    全然物語と関係ないわw

  • リンカーン・ライムシリーズ#12。早いもので、前作(スキン・コレクター)を読んでから2年も経ってしもた。

    IoTの殺人。アップトゥーデートな話題を上手く取り入れた。

    ライムの「引退」を始め、4つの軸線(ライフストーリー)が交錯する。究極のアームチェア・ディテクティブの設定も限界が近いのかな、という感じがする。セリットーやデルレイなどおなじみのメンバーもチョイ出ながら復活。

    読後爽快感(各伏線の鮮やかな回収)はサスガ。

  • シリーズ12作目。
    今回は、「身近な道具が牙を剥き、あなたを殺す」というストーリー。新旧テクノロジーやカルチャーを巧みにストーリーに取り込み、身近な存在を恐ろしい凶器に変えて読者を震え上がらせる流儀はディーヴァーのトレードマークとなった感があるけれども、本作は『バーニング・ワイヤー』とカブってるような。

    事件の本質を語るうえで、凶器の応用についてそこそこ専門的な考察が続くので、その間に徐々に醒めていく自分がいるのも事実。ディーヴァーは「読者を怖がらせること」に作家として無上の喜びを感じるらしいが、残念ながら恐怖が持続しない。初期のような心理的サスペンスを堪能したいよー、と毎回思うのだが、そういう方向にはもう行かないのかな?

    相変わらずレベルは高いので安心して読めるのは良い。マンネリ化を避けるためか定かではないが、サイド・ストーリーを無理矢理盛り上げてる感もある。ライム・チームに見習い捜査官が加わったり、私生活ではライムとサックスの関係にも変化が生じたりと、次作へのお楽しみ的展開も気にならないわけではないが、結局いい感じに平和的に解決するので、好きにやればー、てなノリで遠くから見てますよ、私は。

    出来がどうこうよりも、「ディーヴァーを読めば今年も終わり」というポジションが定着しつつあるな。

  • エスカレーター事故から、電子戦で事件はエスカレート。レンジの火事で死んだり、劇場の電ノコだったり殺し方もなかなか。犯人を操る女が曲者

  • リンカーン・ライムシリーズ12作目
    IOTを使った連続殺人事件
    エレベーターが、電子レンジが自動車が凶器となる

  • リンカーン・ライムシリーズにハマってしまって第1作目から一気読み。やっと最新作に追いついた。いつもの大どんでん返しは健在で事件の謎解きも面白いが、サックスとライムの関係性の過去との違いがそこかしこに匂わされているところも面白い。2人一緒に操作をしていないし、サックスもライムの家にあまり泊まらない。新しい女性の助手なんかもでてきて、更にはニックまで登場。本筋の事件と同じくいい意味で読者を裏切ってくれるストーリーでした。

  • リンカーン・ライムシリーズ。
    IoTを利用した殺人事件がおこる。エスカレータ、電子レンジ、車、日常のものを凶器に変える犯人を追う。
    アメリアとライムの間に不穏な空気がながれ、その原因はライムが刑事事件から引退したせいである。またアメリアの元彼が出所し、アメリアに接触する。
    相変わらずのどんでん返しで終盤は一気読み。犯人もいままでとは違ったタイプで新鮮だった

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著者プロフィール

1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる。科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズ(『ボーン・コレクター』他)や“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスのシリーズ(『スリーピング・ドール』他)は全世界でベストセラーになっている。ノンシリーズ長編小説、短編小説など人気作品も多数刊行
『ブラック・スクリーム 下 文春文庫』より

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