ホライズン

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 81
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906348

作品紹介・あらすじ

主人公の真知子は海外企業に職を得た夫と共に南半球へ移住。娘を出産し、新生活が始まった。美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、夫の職業や住む場所によって暗黙のヒエラルキーが築かれていた。その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ郁子、商社マンの妻の宏美、現地の日本人シェフと再婚した弓子らと親しくなる。しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく……。孤独と自立、家族と友情……。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 小島慶子さんのコラムなどは新聞、雑誌などで読んだことがあるが、爽快・明快な語り口が好みだった。
    小説は始めて読んだが、こじらせ女子たちの海外赴任生活事情のような話だった。
    ちょっとした描写が鋭くて、うーん、分かるなぁと唸る。
    美しくも凛々しく多彩な小島さん、また小説書いてほしいなぁ。

  • 人間関係って、とくに女性だからなのかもしれないけど、
    いい悪いとか理屈で割り切れるものではないんだよなあと
    改めて実感した。
    どこに住んでも色々人間関係のしがらみがあるけど、
    オーストラリアの自然はいいなあーと思った。

  • メインとなる登場人物たち
    考え方の背景にあるもの、今抱えてるもの、相手に対して思うこと、
    全てが全く違う人たちで構成された狭いコミュニティ。

    微妙にすれ違ったり共感しあったりしながら
    紡がれていく人間関係。

    「善い人じゃないんだけど、話せば悪い人じゃない」
    「似てる部分もあるけれど、大部分は全然違う生き方」

    大人ってそうだよね、でもそういう面倒くささも捨てたもんじゃないかもね…と思わせてくれました。


    脇役の沖田さん、郁子さん、ダンさんが魅力的で、
    今作の読後感はかなり爽快でした。

    (小島さんの前作も今作も、荒波の中見えない沖へ向けてそれぞれ人生の船を漕ぎ出す女達、という部分は共通していたけれど、
    前作では脇役のクソ野郎のせいでハッピーエンドになれず。それはそれで作品の良い味なのですが、私個人はやっぱりこういう最後でホッとしました。)


    メイン3人がそれぞれしていた「片思い」も、最後にはうまくふっきれて前向きになれたみたいだし。
    無理に相手に合わせなくても良い、
    わからなければ伝えれば良い、と思える関係性はすてき。

  • 初読み作家さん。
    小島慶子さんはなかなか辛辣な意見を言う人…という印象があり、でも決して嫌いじゃない。
    この本を読んで、あぁ、やっぱり読みやすいし、わかりやすいな、と思った。
    少し知り合いといった女4人の南半球での日常。
    そこまで言う?という罵詈雑言もあり、けれど海のある外国ではそこまでイヤらしくならないのは私の買いかぶり?
    海のある外国で暮らしてみたい…などと頭の半分は違う事を考えながら、読み終えました。
    でも、弓子とは友だちになれない気がする。

  • 夫の仕事に伴い南半球で暮らす奥様達。
    華やかでカッコいいと思いきや、なかなか大変なんですね。

    でも基本、夫たちは皆きちんと仕事してくれるし(←嫌味にとらないでほしいです)
    皆さん幸せなんだと思います。

    読み終えて不思議に思ったのは、本の最初と最後で主語となる真知子がところどころ「私」になっていたこと。
    途中もあったのかしら?気付かなかったけど。
    あえて「私」としたことに意味があるのか考えてしまう。

  • いろんな生きづらさを抱えた人たちが描かれている。
    小島さんのいろんな面が、ちらちらと反映されているんだろうなぁ、と思いつつ読んだ。

  • ところどころは私も似たところを持つ、不完全で感情移入はいずれも等しくできない女性たちの物語。
    ある国に暮らす日本人女性たちの狭い世間の話であるのに不思議なほどの広がりがあり、こちらを運んでいく力強いうねりがある。
    小島慶子氏にはもっと小説を書いてほしい。

  • 読後、どんよりとした嫌な気持ちになった。こんな人間関係の世界にいたら間違いなく病んでしまいそうだ。

  • オーストラリア西部、直行便もない海岸の町で暮らす日本人妻たち四人。異国の町で生きぬくために寄り添って生きるが、内心はお互いへの不満、夫への不満、人生への懐疑、そしておそろしいばかりの孤独に苦しめられる。おそらく作者の生活がモデルなのかも知れないと意地悪くも勘繰りつつ、何が起こるわけでもない数ヶ月の生活と心情を息苦しいまでに丁寧に描く佳品と賞賛したい。

  • 少し尻切れとんぼな気がしましたが、駐妻たちの真実を描いていると思った。

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著者プロフィール

エッセイスト、東京大学大学院情報学環客員研究員。学習院大学法学部政治学科卒業後、95〜10年TBS勤務。99年第36回ギャラクシーDJパーソナリティ賞受賞。独立後は各メディア出演、講演、執筆活動を幅広く行う。ジェンダーや発達障害に関する著述や講演をはじめ、DE&Iをテーマにした発信を積極的に行なっている。2014年より家族はオーストラリア、自身は日本で暮らす。連載、著書多数。近著に対談集『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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