覗くモーテル 観察日誌

  • 文藝春秋
3.13
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905969

作品紹介・あらすじ

天井裏に自分だけの覗き部屋を作ったモーテル経営者、30年の奇妙な記録1980年のはじめ、著者のもとに一人の男から奇妙な手紙が届く。男の名はジェラルド・フース。コロラド州デンヴァーでモーテルを経営しており、複数の部屋の天井に自ら通風孔と見せかけた穴を開け、秘かに利用者たちの姿を観察して日記にまとめていると言う。男を訪ねた著者が屋根裏へと案内され、光の洩れる穴から目撃したのは、全裸の魅力的なカップルがベッドでオーラルセックスにはげむ姿だった――。ヴェトナム戦争で傷ついた兵士とその妻の行為から、不倫や同性愛、グループセックス、さらには麻薬取り引きの絡んだ殺人事件まで、三十年に及ぶ記録からはアメリカの世相、性意識の変化が見えてくる。 目次1 男からの手紙、そして出会い2 十九世紀の覗き魔について書かれた本3 見せかけだけの通風孔と屋根裏ツアー4 『覗き魔の日記』の束5 観察対象第一号 外見、行動、結論6 グループセックスと、レズビアン教師7 傷ついたヴェトナム戦争帰還兵とその妻8 これこそがリアルな市井の人々9 覗き魔を苛立たせる宿泊客たち10 行為のさいに明かりを消すかどうか11 自宅まで中年女性を尾行して12 なぜ部屋から羊の声が……13 夜な夜な、叔母の部屋を覗いていた14 少年時代、覗き魔が育った町15 花形チアリーダーの彼女と別れた理由16 海軍時代、売春宿で童貞を卒業17 利用客を被験者にしたテスト18 性欲レベルが異なる夫婦19 一度だけ覗き穴が露見しかけて20 かなり活発なカップル=十二パーセント21 覗き魔を大いに喜ばせた男と女22 女性のマスターベーションの動機23 あらゆる男は覗き魔である24 夫婦交換がうまくいかない場合25 観察の耐えがたい近親相姦26 殺人事件を目撃した夜27 どんどん人間ぎらいになる28 浮気、離婚、新しい伴侶との邂逅29 モーテルを売却して引退へ30 懐かしの街、オーロラ31 ついに日記の公表を決意32 覗き魔の蒐集品33 覗き魔の告白34 通風孔ごしの人生を過ごして半世紀35 モーテルの解体 著者のノート 訳者付記 解説 信頼できない語り手 青山南

感想・レビュー・書評

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  • とにかく覗きがしたくて一生を過ごしたような人の話。
    これが宿泊客や周りに気づかれずにいたというのは、時代や周辺環境からなのか。
    (作中の宿泊客1人には気づかれた上で見逃されたのではないかと自分は思っている)

    長年覗いてくると表に現れづらい時代の流れを知るようになるのは面白い。

    作中に出てきた別作品は関連して読んでみたい。
    「汝の隣人の妻」/ ゲイ・タリーズ
    「もう一つのヴィクトリア時代 性と享楽の英国裏面史」/ スティーヴン・マーカス
    「我が秘密の生涯」/ 19世紀英国紳士

  • ふむ

  • 想像していたほどの衝撃や
    真新しさはなかった。

  • ノンフィクショとなっているが本当にノンフィクションなのだろうか?というのも、こんなにあからさまに他人の知られたくない行動を描いていいのか疑問に思ってしまう。描かれた人は描かれたと知ったと分かったら激怒するだろう。

  • ホテルの経営者が覗いてるなんてありえそうな話。人に読んでるのを見られたくないようなタイトルだけど、特に変わったこともなく、さらさらと読めた。

  • ノンフィクション

  •  電車の中では読みにくいようなタイトルとカバーの本だが、内容は真面目なノンフィクションである。

     米国の大御所ノンフィクション作家であり、「ニュー・ジャーナリズムの父」とも呼ばれるゲイ・タリーズ。
     彼が1981年に刊行した『汝の隣人の妻』は、性革命以後のアメリカの新しい性の動向を捉えた衝撃的な作品であった。著者自らが性風俗店を経営してみたり(!)、スワッピングの場に潜入してみたりして書かれた問題作だったのである。

     この 『汝の隣人の妻』が話題になっていた1980年に、タリーズの元に匿名の速達が届く。
     そこには、「自分はモーテルの経営者だが、宿泊者の様子を覗き見できる仕組みを作り、長年にわたって彼らの性の営みを観察し、詳細な記録をつけてきた。その記録があなたの作品に活かせると思うので、話を聞いてほしい」(主旨)とあった。

     ただし、実名が明かされたら罪に問われるため、名前やモーテルの場所は書かないでほしい、というのだった。
     作品はすべて実名で書くという信念を持つタリーズは、男の話を作品化するつもりはなかった。が、好奇心にかられ、現地に取材に赴き、その後は手紙のやりとりを重ねた。

     そして、出会いから30年以上を経た2013年になって、すでにモーテルを廃業し、80歳近くなった男から「出訴期限がすぎ、覗かれた人々から訴えられるリスクがなくなったため、日誌を公表してもらって構わない」(主旨)との申し出を受ける。
     そうした経緯から作品化されたのが、本作なのだ。

     江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』を地で行く話だが、本書はまぎれもないノンフィクションであり、読み始めたら下世話な興味にかられてページを繰る手が止まらない。
     もっとも、ポルノグラフィー的要素は意外に希薄で、むしろ「生きる哀しみ」、ペーソスが基調として感じられる書である。

     内容の半分程度を、男(ジェラルド・フースという)の「観察日誌」の引用が占めている。そのため、タリーズの他の作品に比べ、薄味であることは否めない。それに、「奇書」のたぐいでもある。
     が、昔の『噂の眞相』風に言うなら「ヒューマン・インタレストあふれる」本で、面白いことは間違いない。

  • 100殺!ビブリオバトル No.51 夜の部 第8ゲーム露天風呂バトル(女風呂) [チャンプ本!]

  •  覗き趣味が嵩じてモーテルのオーナーになったおっさんの手記をベースにまとめてあるノンフィクション。部屋で繰り広げられるのはエロのみに非ズ、アメリカ社会の変遷をレリーフする「学問」のレベルまでいきつくのんが非常に面白かった。日本だと夏目房之介とかが昔やっていた感がある。
     これを映画にしたくなるというのは非常にわかる。

  • 12700 East Colfax Avenue, Aurora, CO, アメリカ合衆国
    にあったモーテルにオーナー、ジェアラルド・フェースが天井を改造して覗いていた
    覗きをしている事実をゲイ・タリーズに手紙を書く
    空港で一回だけ面会し、あとは手紙だけ
    殺人事件をみたが通報せず
    ドラッグの売人が泊まったら、部屋にはいりトイレに流した
    レズビアンカップルは一組
    マスターベーションをする修士課程の女学生
    ミスアメリカ候補とマネージャーの夫はSEXなし
    ベトナム帰還兵とその妻の献身的なSEX
    妻は覗き趣味は納得し協力
    引退してデンバー郊外で二番目の妻、18歳年下と暮らす

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