笑いのカイブツ

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905631

作品紹介・あらすじ

cakes連載で大反響を呼び、出版社からの書籍化希望が殺到した青春私小説の傑作!人間関係が極度に不得手のため、孤独な日々を送る青年は、「お笑い」に生きることを決意する。青春のすべてをテレビや雑誌の投稿企画に費やし、ネタ出しはどんどん加速。ついには日に2000本のボケを作るようになり、深夜ラジオでは広く知られる「伝説のハガキ職人」になるが――。 人間の価値は、人間からはみ出した回数で決まる。 僕が人間であることをはみ出したのは、 それが初めてだった。 僕が人間をはみ出した時、カイブツが生まれた瞬間――1章 ケータイ大喜利レジェンドになるか死ぬか2章 砂嵐のハガキ職人3章 原子爆弾の恋4章 燃え盛る屍5章 堕落者落語6章 死にたい夜を越えていくその男、あまりにおもしろく、あまりに不器用。他を圧倒する質と量、そして〝人間関係不得意〟で知られる伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキ、27歳、童貞、無職。「僕は今、笑いに一番近い場所にいる。ここで死なせてくれ」その孤独にして熱狂的な道行きが、いま紐解かれる。ツチヤタカユキ(つちや たかゆき)昭和63年3月20日生まれ。大阪市出身。高卒。3組の芸人の構成作家と、私小説連載を経て、現在に至る。

感想・レビュー・書評

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  •  ストイックさも、突き詰め過ぎると生きづらさを生むかもしれない。
     主人公は笑いに取り憑かれたが、
     多くの人は「何者かになりたくて何者かになろうとしてそこを目指す」のだろうが、生きづらさやしんどさもあって折り合いをつけて生きてるところもあるのかなあと思った。
     笑いのツボは人それぞれだし、笑いって本当に難しいと思う。
     私はずれてるのか周りが笑い転げているのに、面白さがわからない時もある。

     存在理由なんて私は探さないかな。
    だってもう生まれて来てるんだし。寿命分生きると決めている。

     

  • 「伝説のハガキ職人による自伝的小説」ときいて、気楽に読み出したら、まあこれは壮絶であった。異様な熱量に貫かれている。あまりにも思い込みが激しく、あまりにも不器用。目を背けたいのに本を置くことができず、結局一気読みして熱が出そうだった。

  • 笑いに全てを捧げた人間の半生を描いたものだ。
    笑いを追求する姿はまさに狂気の権化であり、その覚悟やとても凡人には理解出来ないし、真似も出来ないだろう。

    ハガキ職人、構成作家として文章では弁が立つが、笑いのために対人関係を犠牲にしていまい、言葉では自分の気持ちを表出できない。

    この本は、そんな当時お世話になった人たちへの感謝の手紙なのかもしれない。

    章ごとに、時期が前後して、更に感情の起伏も乱高下するため、著者がどのような感情で過ごしたかを時系列で追うことは難しい。

    終始、濃い霧の中を不安と共に進むような感覚で読み進める必要があり、人によっては落ち込んでしまうかもしれない。

    当時の著者の精神的な弱点を指摘するのは簡単だが、そのようなものではないのであろう。

    まさに「カイブツ」のもがいた経緯そのままである。暗いがとても人を惹きつける文章で、一気に読んでしまった。

  • お笑いに狂って生きてきたツチヤ氏の私小説。バイトをしながらボケを生み出し、貯金を笑いに賭けていく生活の中でのあの人やピンク、アナタといった人物とのエピソードが面白い。

    ”どんな暗闇も、想像力さえあれば、光をあてて、彩ることができた。 だから僕は、笑いが好きだった。 僕にとって、笑いの本質とは、想像力だった。"

    浮世離れした生活の中、吉本の劇場での漫才や、テレビで名前が紹介されるなど少しでも日の目を見ることがあったのが救いだったのかもしれない。

    本著は氏が言っていた遺書のように芸能界の辛い、暗い部分を描いた作品だったが、10数年の間あらゆる段階を吹っ飛ばして笑いに狂う、信念を貫いた氏の今後が気になった。

    オードリーのラジオでハガキ職人をやっていたらしく、あの人とは若林氏のことを述べているらしい。


  • 映画を観に行き、原作とどう違うのかなと思って読んでみた。
    主人公はお笑いに目覚めてケータイ大喜利でレジェンドになってから私生活に影響が出るほどに突き詰めてしまう。さらにツチヤタカユキというオードリーann では伝説のハガキ職人になり、若林さんとネタを作るところまでになる。しかし人間不得意でとにかく周りとうまくコミュニケーション取れずにちょっと鬱?状態でギリギリの生活をしていた。
    映画で菅田将暉が演じていたピンクはどんな人だったんだろうと思ったが、本当に実在した人で映画で描かれている以上に仲良かったんだと驚いた。
    とにかく若林さんの思いやりによって主人公は自殺せずに済んだのかなと感じた。映画ではどう考えてもオードリーの若林なんだなーと思いながら観ていたが、本では「あの人」と描かれていて調べない限りはわからないようになっている。こないだの東京ドームは観たのかな〜と少々気になった。
    とにかく突き詰めすぎると周りが見えずで読んでいてとても辛い状態だった。調べたら吉本の新喜劇などに携わっていてちょっと安心した。
    映画の漫才のシーンは令和ロマンが指導したらしくとても納得した。

  • つらきもちい。
    最後、恋の吐き出しになってありがてえ。

  • 単純にこの人が面白くなかっただけでは?と思ってしまう。載ってた大喜利もあまり面白くなかったし。努力はとてもすごいが、お笑いの才能がなかっただけのような。

  • 笑いのカイブツに取り憑かれた男の半生。
    自分が信じるものに夢中になって、裏切られて、それでもしがみついて…苦しくて地獄かもしれないけど、こんなに生きること(彼にとっては笑い)に真正面から向き合える彼が少し羨ましい。ピンクと同じ気持ち。

  • 壮絶なお笑いにかける思いのたけ、向き合い方。
    読んでるこちらも、苦しくなるほど伝わってくる。

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