池上彰のこれが「世界を動かすパワー」だ!

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904528

作品紹介・あらすじ

知らない人は基礎の基礎からよくわかる、知ってる人なら頭の整理に役に立つ「ニュースの教室」決定版。世界のパワーバランスが変化し混沌さを増す中で、日本はどんな道を歩むべきか?(目次から)①アメリカ トランプか、ヒラリーか? 世界を揺るがすパワーゲーム 同性婚と「宗教の自由」が対立?/トランプ「イスラム教徒入国禁止!」/サンダース躍進! 党員集会を取材した/最高裁判事死去も争点に/トランプ独走を許すのは?/悪夢のシナリオ/FRB,ついに金利引き上げ/原油価格下落で金融危機再来?②EU “女帝”メルケルはEU崩壊を防げるか? 中東から難民押し寄せ、EUがパニック/「ギリシャ神話」と地政学/サミットはどうなっている?/地球温暖化防止「パリでの約束」なるか/ベルギー連続テロ③中東 ISの力を地政学から考える イランの核開発阻止できる?/トルコ内での対立が日本にまで/シリアめぐり世界は混沌/「第五次中東戦争」は起きるのか/アメリカの心変わりにサウジ激怒④ロシア 逆らう者は許さない“皇帝”プーチン クリミア半島はいま/ヤルタ会談の三巨頭銅像のイメージ操作/「おそロシア」になってしまった/メディアの広告収入絶つという発想⑤中国 習近平は大人の国にできるのか 南シナ海、波高し/中国株はなぜ暴落したのか/人民元引き下げが世界を揺るがす/中国、「二人っ子政策」へ/香港で反中国書店幹部を「拉致」か⑥日本 祖父・岸信介に並びたい? 安倍首相の動機 忖度、忖度、そして忖度……/軽減税率と新聞業界/次々と「内閣改造」をする理由/最近の政治家は劣化したのか?/「矢」なのか「的」なのか/マイナス金利の衝撃/安倍談話のジレンマ/そもそも日本は謝罪したのか?/「ポツダム宣言読んでいない」発言/「南京大虐殺」とは何か/「砂川判決」とは何か/自衛隊員の身分はどうなる?

感想・レビュー・書評

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  • フリージャーナリストの池上彰さんが世界情勢を動かすパワーについて語る。ヨーロッパ、中東、アメリカ、中国、日本の思惑を様々な問題から読み解き、世界の方向がどこへ向かうのかを考える。

    2016年の情勢のため、多少ズレる部分があるが現在の情勢につながるきっかけとなる出来事について詳細に知ることが出来る。多少難しい。

  • 池上さん凄い! 彼のテレビもしばしば見るが、世の中の諸問題をわかりやすく、かつ新聞よりもやや突っ込んでひもとく高級な論述には感嘆するばかりである。
    複雑な内容を誰もがわかる中身に再構成することは難しいにもかかわらず、池上さんは実にスムーズに語っている。
    本書も今世界がどうなっているのかが一目でわかる構成になっており、ブレグジットやトランプの驚愕の後の世界となっても、本書の内容はいささかも古びてはいない。
    それにしても本書で見る世界は狭い。日本国内のみを考えていれば大過なく生きていける時代は遠い過去になっていることがよくわかる本だと思った。

    2017年1月読了。

  • ・近年世界で起こってる出来事の背景を分かり易く解説している。
    ・テレビや新聞などのメディア情報で伝えられる表層的な事象の背景を理解することができた。
    ・アメリカ、EU、中東、ロシア、中国、日本の出来事をTIPSとしてまとめられている。

  • ニュース等で聞いても流してしまっている、よくある「何で?何が?」を分かりやすくまとめている。歴史的背景やその人物の分かっている人柄とかも混ぜながらの説明なので頭に入りやすい

  • この本は、キャスターで活躍されていた池上氏により書かれたもので、世界の中での重要な6つの地域・国(米・EU・中東・ロシア・中国・日本)について、何が起きているかが、池上氏の観点から書かれています。

    テレビや新聞では、各地域の専門家が自分の担当分野についてのみ解説することが多いのですが、この本のように、一人の考え方で世界の各地域を解説してもらうと、読んでいる私としては理解がしやすい様に思います。

    つい最近終わった日本での参議院選挙の盛り上がりは「今一つ」ですが、今回の米国選挙は盛り上がっているようですね。英国でも重大な決定がなされましたし、東京五輪までに世界が変わり始めるような予感がしています。

    今の時代は、地球のある地域のみ変化することはなく、変わるとしたら日本も含めた全体に影響が出ると思います。10年後に、「こんなはずじゃなかった」と慌てなくて済むように、できる限りの準備をしておきたいものです。

    以下は気になったポイントです。

    ・同性婚や同性愛者の権利を守ろうとする人たちにとっては、「信仰の自由回復法」、が自分達が差別される根拠になってしまうと考えて、反対運動が盛り上がった。「信仰の自由回復法」は、インディアナ州に続いて、アンカーソー州でも成立した(p19)

    ・銃が自由に購入できる根拠は、憲法修正2条:「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまたは携帯する権利は、これを侵してはならない」にある(p24)

    ・民主党は獲得票数に応じて代議員が割り振られるが、共和党は一部の州を除き、トップが総取りする(p37)

    ・共和党の集会は、神へのお祈りから始まる。福音派とよばれる敬虔なキリスト教徒が多いから(p32)

    ・共和党大会は、応援演説が終わると投票開始、集計されて終わり。民主党は複雑、未決定グループを含めて、グループ毎に集まる。未決定グループの人が皆考えを固めるとグループの人数を数える。参加者全体の15%を獲得しないと解散し別のグループに入る(p34)

    ・州をまたがる事件、憲法違反かを判断するのが、連邦最高裁である(p37)

    ・現在の最高裁には75歳を超える判事が3人いる、この後任を任命するのは次期大統領(p45)

    ・イスラエルは国連決議に反してエルサレムを占領して首都だと宣言した、国際社会は認めていないので、大使館はテルアビブに置いている(p43)

    ・トランプは日本の円安政策を非難しているので、大統領になったら、円高政策を求めるか、自らドル安政策に踏み切る可能性がある(p50)

    ・南軍旗は、赤字に青い対角線が描かれ、青い対角線の中に13個の広い星が交差している、13個の星は7つずつ交差し、中央の星はひとつ、南部州がアメリカから離脱したときに同調した7つの州、と最終的にアメリカ連合国に参加したとされる13州を象徴している(p60)

    ・米国は金利を上げようとするため、国債の購入を減らす。金利を上げると世界中から資金が集まり、ドル高(円安)が進む(p67)

    ・シェールオイル関連の中小企業は、ジャンク債で資金を調達していた。2015年初めには操業を停止している中小企業が出始めていた(p73)

    ・ドイツでは、2015年の難民申請者は前年の4倍(80万人)となった(p77)

    ・アメリカのトルーマン大統領は、ギリシアが共産主義となるのを防ぐために、多額の援助をした。共産主義勢力が仲間割れしたこともあり、1949年右派民兵(アメリカ支援)が勝った。(p85)

    ・ロシアとギリシアは、どちらも東方正教会。ギリシア正教が東欧に広がって、ロシア正教になった。(p86)

    ・サミット(第1回:1985)は当初イタリアは呼ばれなかったが、不服を唱えて首相が乗り込んでいったので当初から参加国。1998年のイギリスでのサミットでロシアも参加したことから、訳が変わり、主要国首脳会議、となった(p89)

    ・温暖化が進むと、地球上では一時的に寒冷化が進んだり、異常気象が増加したりするので、「気候変動」と表現する。人為的な理由で温暖化が進むことを「気候変動」、自然現象で温暖化が進むことを「気候変化」と称する(p93)

    ・基準年が1990年なのは、世界の二酸化炭素排出量の総量の推定値が初めて算出されたから(p94)

    ・日本は、新たな削減目標を決められないまま、先進国だけが削減義務(第2約束期間:2020年)を課せられるのは納得できないとして、離脱。現在の日本には削減義務は無い(p95)

    ・トランプもサンダースも、それぞれ立候補した党にこれまで属していたわけではなく、大統領候補になるために入党したので、従来の党首脳たちとの考えと異なっている(p111)

    ・イランには、国軍の他に革命防衛隊という精鋭部隊もい存在し、最高指導者(大統領の上)はこの総司令官の罷免権を持っている。革命防衛軍は、国軍がクーデターを起こさないようにい監視する役目を帯びている(p119)

    ・クルド族は、イラクにおいてフセイン政権時代、激しい弾圧を受けていたが、アメリカがイラクを攻撃する際に米軍に協力したので、新政権下では、クルド人自治区を確立した、現在では事実上の独立国の地位である(p122)

    ・第一次世界大戦に負けてオスマン帝国が崩壊すると、カリフ、は廃止されたが、イスラム国はこれを復活させ、カリフ制イスラム国家を樹立した。全世界のイスラム教徒は、カリフの命令に従え、というメッセージを出した、これがアルカイダ組織(反米テロ組織)との違い(p129)

    ・イスラム国の思想のベースは、サウジのワッハーブ派と共通するものがあり、サウジの王族の中には、イスラム国に資金援助している者もいると言われている(p144)

    ・ウクライナからロシアになって、一番変わったのは医療保険、ウクライナ時代は医療費がほぼ全額負担であったが、ロシアではすべて無料(p163)

    ・ケネディ大統領も、ジョンソン大統領も、女性問題は不問であったが、クリントン大統領になって初めて問題にされた(p244)

    ・国連はGDPの算出基準を2008年に見直した、欧米はすでに移行し、日本は2016年末に変更する。研究開発費が経費から、投資となり、GDPに算入される。2015年度のGDP見込みは504兆円だが、新基準だと、20兆円ほど上がる(p250)

    ・マイナス金利とは、これまでの預金額については、従来通りに0.1%、2016.2.16以降に当座預金に積み増しされた部分については、マイナス金利を設定した(p256)

    ・掃海艇は、機雷が反応しないように木製であり、攻撃を受けたらひとたまりもない。従って護衛艦も一緒に派遣しないと、危なくして仕方ない(p281)

    ・改正ガイドライン法に例示される8項目の一つに、海洋安全保障があり、これには「機雷掃海」が含まれる(p280)

    2016年7月30日作成

  • 「週刊文春」連載のコラムを再編集・加筆したものなので、扱っている時事問題の新鮮さがイマイチなものもあるけれど(最近の世界の変化のスピードが速すぎるのかも)、相変わらず分かりやすく、頭が整理される。アメリカでは、学校に通わせると進化論を教えられてしまうからと、子供を学校に通わせない親がいるということに驚いた。

  • 先進国の要人を集めた本。分かりやすい。

  • アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、中東、中国、日本で起きていることを分かりやすくまとめた一冊。
    さらっと読める内容なので、今の世界情勢を知らない人から知識の確認をしたい人までおすすめの一冊です。

  • 【世界の混沌が地図から解ける! ニュースの見方が変わります】地政学――「地理」と「政治」の視点から池上さんがニュース解説。ISもアメリカ大統領選も難民問題も中国も、すっきり見えてくる!

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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