欠歯生活 歯医者嫌いのインプラント放浪記

著者 :
  • 文藝春秋
3.67
  • (8)
  • (10)
  • (12)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 80
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904030

作品紹介・あらすじ

ある日、朝食にオムレツを食べているとき、口内に違和感を感じた著者。右下の奥歯がふわりと軽くなり、重量感のある異物が歯茎を直撃した。いったい何が起きたのか? 口の中から出てきたのは、セラミックと銀の三本連結歯と金属片だった——。実は十年前に治療したインプラントの被せものがとれてしまったのだ。折れているらしきチタンの心棒まである。「一生もの、最低でも十年は持つ」と言われ、七十万円かけてやったのに……。手術を受けたクリニックに行くと、執刀医はもういなくなったということから始まる長い弁明を聞かされ、あげく「完全にやり直しになる」「治療には四百万円かかる」と言われてしまう。「ここで治療を受けるわけにはいかない!」。そこから、著者の「ちゃんとしたインプラント」探求の長い長ーーーい旅(?)が始まる。折れたインプラントととれた三本連結歯をもとに戻すだけのはずだったが、ここで問題をややこしくしたのが長年の歯医者嫌いのツケ。虫歯が次々にみつかり、治療する歯が増え、あっちもこっちもインプラント治療が必要になり、その費用が筆者の財布を圧迫し……。いつになっても治療は終わらない。いい歯医者はどこにいる? きちんとしたインプラントはどこで手に入る?著者は抜けて(または抜いて)なくなってしまった歯を「欠歯」と呼ぶ。三本連結歯がとれて欠歯を抱えた生活、「欠歯生活」が始まったのは2002年。治療は迷走に迷走を重ね、完治したのは今年、2017年。実に15年越しの治療となった。歯医者嫌いが虫歯も欠歯もない口を手に入れるまでの汗と涙の歯科放浪記!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三分の一ほど読んだところで、「こうしちゃいられない!」と、歯科に予約の電話を入れた。四五日前から奥歯に違和感があったのだけど、そのうち治るんじゃないかという希望的観測のもと、無視してたのだ。なんとなく目についたこの本は、北尾トロさんの長期間に及ぶ歯科治療との格闘の記録。歯を大事にしなくちゃ!と思わせる説得力たっぷりの一冊だ。

    著者と同様、私にも子どもの頃のキョーフの歯医者さん体験があり、いい大人になってからもついつい治療を後回しにしては、いっそう痛い目に遭ってきた。冷静に考えれば、今持ちこたえてくれている治療済みの歯も、この先いつまでも保つわけではなく、ゆくゆくは入れ歯かインプラントという選択をしなければならない可能性が大いにある。入れ歯!勘弁してくれ~。

    北尾トロさんはずいぶん前、今のように一般化する前にインプラントにし、ずっと保つはずだったそれが駄目になったことで、ながーい歯科治療に突入する。前から思っていたが、トロさんの文章は本当にわかりやすい。良い意味でまさに「ライター」だなあと思う。お医者さんに思うことが言えなかったり、高い治療費に悩んだり、なんでもっと歯を大事にしなかったのかと後悔したり、多くの人が思い当たるだろうことが、治療の具体的な経過とあわせて綴られていて、あ~わかるなあと共感を誘う。

    幸い奥歯に深刻な問題はなかった。真面目に歯磨きを頑張ろう。きっかけをくれたこの本に感謝。

  • 【「歯医者嫌い」のツケは悪夢のような15年】昼ごはんを食べていたら奥歯のインプラントが取れてしまった。すぐに治せるはずが、そこから始まった15年にわたる迷走の日々!

  • 個人的にタイムリーなエッセイ集なので、共感しながら興味深く読了。最新手術法にも触れてあり、今、自分が通ってる歯科医院にはそれが導入されておらず、病院選びを失敗したかも、と呆然とするも後の祭り。そんなに失敗して後悔してる訳でもないのでこのままお願いするしかないのだが、情報収集を怠ったことは反省。充分な情報を得た上での取捨選択が大事だと常日頃思っているのになぁ。

  • ある日、歯が抜けた。インプラントは1本ウン十万円で大手術。入れ歯なら安いけど見た目とイメージが悪い。ぼくはどうするべきなんだ!?ただ、抜けた歯を治したかっただけなのに、歯に振り回され続ける悪夢の日々―。(帯)

    面白いやら身につまされるやら…。
    同じ「歯医者嫌い」として、症状の放置ぶりに共感してしまい、顔をしかめること複数回。治ってよかったよかった。
    インプラントどうこうではなく、虫歯に悩む人に読んでもらいたい一冊。

  • 久々に北尾トロ氏のエッセイ読みましたけれども、面白かったですなぁ…それに、僕も虫歯あるんで参考になりましたとも…!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    けれども、インプラント…僕としてはご遠慮願いたいですなぁ。まあ、今はそこまで抵抗感示す人は少なくなっている模様ですが…それにしても価格が高い!

    それでも、受けたい人というのは山のようにいて、やはり人間、”見た目”というものを気にする動物なんですな!

    入れ歯ではモロに分かってしまうところをインプラントというのは見た目普通に、かつきちんと物を噛めるようにする手術みたいですねぇ…。

    それにしたって高い…僕もここまでやる必要が迫られないように今ある歯を大事にしていこうと思います…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 作者の15年に渡る治療記録
    http://dailyevent.jugem.jp/?eid=14

  • インプラントについて素人にわかりやすく書かれていてありがたかった。

  • 歯を大切に。自分も虫歯だらけなので(治療はしてますが)読んで、恐怖を感じる。著者の奥さんが当たり前にしている、違和感を感じたら早めに歯医者へという教訓を心に刻む。

  • 最近ではその言葉も広まってきたであろう「インプラント」を題材にした一冊。虫歯をすぐに治療する人と、ギリギリまで先延ばす人。その結果が、大きな差を生むのですが、著者は歯医者嫌いという事もあり、それが結果としてインプラントになるはめに。作り話ではないリアルさに、まず自分の歯が如何に大切かを感じます。これから、インプラントを考えている方には、知識として読んでもよろしい一冊です。

  • 歯医者。インプラント。
    北尾さん自身の15年かかった歯科治療。
    読みながら怖かった…。歯って大事なのに、大事に仕方がわからない。そして歯医者さんって本当にどうやって選べばいいかわからない。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

本名、伊藤秀樹。1958年、福岡市生まれ。
小学生の頃は父の仕事の都合で九州各地を転々。東京都立日野高校、法政大学卒。 個人事務所(株)ランブリン代表。NPO法人西荻コム理事長。西荻ブックマークスタッフ。季刊ノンフィクション雑誌「レポ」編集・発行人。

「2011年 『【電子書籍版】昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北尾トロの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×