獅子吼

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 292
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903842

作品紹介・あらすじ

稀代のストーリーテラーによる心に響く短篇集あの時、あの場所にいなければ……時代と過酷な運命に翻弄されながらも立ち向かい受け入れる、名もなき人々の美しい魂を描く短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 浅田さんの短編集。六話が収録されています。

    時代や設定等が様々で統一感はないのですが、全体的に暗めな内容の話が多かったです。
    (第六話「ブルー・ブルー・スカイ」はちょっと毛色が異なっていましたが)
    個人的には、表題作の第一話「獅子吼」が印象に残りました。“戦争×動物園の動物”という鉄板の悲しい話なのですが、“獅子目線”で語られるパートと“人間目線”のパートが交互に入れ替わって展開する構成が、より一層悲哀を感じさせるものがあります。
    “獅子パート”では上官からの命令によって、自分を殺しにきた人間たちを思いやる獅子の優しさと気高さが描かれていて、胸が痛くなります。
    そして、動物を射殺する役目の人間たち。草野君も可哀想ですが、鹿内兵長の切なさたるや・・(個人的に“兵長”というだけで、某漫画の某兵長と重なってしまい、勝手に思い入れが強くなってしまっております)。
    人間というのは、何故“戦争”という愚かな事をしてしまうのでしょうか。それによって利益を得る人がいるから、と言ってしまうとまた別な話になりますが、“人間、ムズイなー・・”とは私も常々思いながら生きております。

  • なんて切ない後味引くのか…どのお話もたまらない悲しい余韻をたたえています。
    帰り道
    流離人
    獅子吼
    秀逸としか言えないです。
    時代に翻弄された悲しみはぶつけどころがなくて本当苦しいです。

  • 浅田次郎さんらしい短編集
    1番最初の題名にもなっている「獅子吼」は切なくて、
    戦争と動物、これは反則だよ
    1話ずつ、読み終わると悲しい余韻で次に進めない
    でも、知らないふりをしているより
    小説として、その世界に浸ったほうがいい
    そんな風に思いながら読んだ

  • 短い映画を観たような、映像が浮かぶ作品。
    避けられない運命の中でもひとは生き方を選ぶことができると教えてくれる。
    切なさを思い出す。
    読めてよかった。

  • 「うきよご」の姉と弟の会話の間が印象的だった。姉の血の通った台詞がリアルな心情に思えて、耳に聞いたように残っている。弟に言っているようで、自分自身に向けた言葉だったのかもしれない。

    「流離人」の、さすりびとのどこか捨て鉢な様子にも心を痛めた。人生が思うようにいかないどころか、戦争によって人生そのものが断たれるなんて、悲しいとしか言いようがない。誰も責任は取ってくれない。

    戦争当時の影が差す話が多く、それぞれの場所で戦争に接した人々の虚しさを痛切に感じた。

  • 表題作の「獅子吼」が一番良かったです
    「帰り道」はよく分からない
    浅田作品には「天国までの百マイル」でもそうですが献身的に身を引く女性が出てくるけれどもなんで?って感じで理解不能です

  • さすが、著者の引き出しの多さに感服。戦争の愚かさ身勝手さ、淡く切ない恋愛の回顧、やばい事件に巻き込まれるも滑稽な温泉旅に博打旅、そんな統一感がないようでいずれも郷愁を覚える作品群だ。『獅子吼』では、ライオンはさることながら草野君、さらに鹿野君の心情をおもんばかるに、あまりに辛い。時代は違えど『帰り道』では、スキーバスでの青いときめきに既視感が湧くし、エピローグがいい。素敵なアンソロジーを贈っていただきました。

  • それぞれに味がある短編集
    表題の獅子吼もいいが流離人もいい
    いつものキレが少ないようには感じたが…

  • 「獅子吼」「帰り道」「九泉閣へようこそ」「うきよご」「流離人」「ブルー・ブルー・スカイ」の六篇を収録。どれも消化不良気味のストーリーで今一だった。

    図書館利用。

  • 浅田作品は獅子までが限りなく優しいんだな。自分を愛おしんでくれて、戦争ゆえに自分を殺さざるを得なくなった若い兵士のために、敢えて封印していた怒りの相を見せる、その優しさが限りなく切ない。
    その他の作品も、戦争に関してこういう作品を書いてくれる人がまだ存在して、それが出版できるうちは、日本はまだ大丈夫かな、と。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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