- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163903255
作品紹介・あらすじ
〈本の達人〉が贈る新名探偵シリーズ体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》!□「応募してませんよ、わたしは」 新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車)□「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」 ある大物作家に宛てた女性作家の手紙には愛の告白が?(幻の追伸)□「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」 定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に?(茶の痕跡)ほか、大手出版社の文宝出版を舞台に繰り広げられる8つのミステリーの推理の結末やいかに……。〈円紫さんと私〉〈覆面探偵〉〈ベッキーさん〉シリーズほか、多くのファンを唸らせてきた名手による、新たな名探偵コンビが誕生。
感想・レビュー・書評
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「オール読物」の連載中で気になっていた本。シリーズ1で2013~2015年の作品だったが、この辺りは読んでいたと思ったら、読んでいなかったようだ。ジャンルは推理小説なのだろうか、それとも蘊蓄の本だろうか?
編集者の娘と国語教師の父の物語。珍しいくらい二人の仲が良い。仕事に絡んで疑問が出てくると父親に相談しに行くのだが、即結論が出てしまう。ドラえもんのポケットのように関連した本や書類が次々出てくる。この歳でこの記憶力は羨ましい。
「冬の走者」では空白の時間の明快な推理まで。推理が凄いので何でも解決してしまう。歌舞伎、落語など、色々な分野の蘊蓄も勉強になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
頬が緩む一冊。
ごく普通の定年間近のお父さんが、一人暮らしの娘が手土産がわりのように持ってくるちょっとした謎にパクリと喰いつき、スルリと解決してしまう日常の謎解き物語。
ほのぼのな父と娘の時間、謎、この掛け合わせがなんとも心地よくて、何度も頬が緩んだ。
鮮やかな瞬間マジックのような父の謎解きはお見事。
ドラえもんのポケットのように出てくる、知識の数々もお見事。
しかもちゃんと、娘に問いかけ一緒に考えさせる、これが実に高校教師らしくていいな。
決して心穏やかでない謎解きもこの父娘の手にかかるとふんわり包まれるのも好き。 -
出版社に勤めている美希。出版界に持ち上がるちょっとした謎を、定年間近の美希のお父さん、中野に住んでいるお父さんが解く。
お父さんは高校の国語の先生だから?博識で、美希の持ち込んだ謎を解けるのだけど、その知識は半端ない。
興味ある謎もあったけど、読書を趣味にしてるだけで文学について無知な私には、ウーンな謎も。文学に興味ある人には楽しいんだろうなぁ、 -
内容もサクッとしてて、ときどきクスッと笑えて良いんだけど、ときたま小難しい古典文学や落語の深い話になって付いていけず飛ばし読みもしてしまいました。。。中野のお父さんの知恵とひらめきが凄い!
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北村薫の中野のお父さんを読みました。
中野のお父さんシリーズの最新刊の紹介があったので調べたら、シリーズは4巻あるらしく、最初は中野のお父さんらしい。
それならシリーズ最初の中野のお父さんさんから読もうと読み始めました。
主人公は出版社の文芸部に勤める体育会系の女子美希。
困ったことがあると、実家の父に相談します。
父親は国語の先生であり、蔵書も凄く、ミステリーを瞬く間に解いていきます。
人気の作品から色々読んでみたくなりました。
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出版社に勤める美希と、彼女の父である“中野のお父さん”が日常ミステリに立ち向かう。
“中野のお父さん”は「定年間近のお腹の出たおじさんで…パンダみたいにごろごろしている、ただの《オヤジ》」な風貌でありながら、「謎をレンジに入れてボタンを押したら、たちまち答えが出たみたい」に謎を解き明かしてしまう。美希にとって善き相談役のお父さんとの関係は読んでいてほっこりします。
出版社で奮闘する女子社員の世界が垣間見えるお仕事本として、次から次へと作品や引用が登場するのでブックリストとして、父娘の関係を描いた家族本として…様々な角度で楽しめました。
積読本を道中のお供にして、実家の父親に会いに行こうかな…。
~追記~
読んだ翌週に行ってきました。 -
「中野のお父さん」シリーズ第1巻目。
主人公は出版社に勤める田川美希と国語教師の彼女の父。美希が運んでくる日常生活のミステリーを父は鮮やかに解決してしまう。
ミス・マープルのようなアームチェア・ディテクティブ!
本作では八つの謎解きがそれぞれのエピソードで語られる。
中でも「闇の吉原」という作品が興味深かった。
「闇の夜は吉原ばかり、月夜かな」という芭蕉の弟子、榎本其角の句が落語「文七元結」という落語の中に挿入されることが多いのだが見方(区切り方)によってその句の意味が二つの正反対に読める。
泡坂妻夫、幸田露伴、三遊亭円生などの名前と蘊蓄が山盛りになって北村薫さんらしい。
この一編だけは謎解きの匂いは無く、この句の解釈についての変遷を見てもわかるように、物事は視点を変えればいかようにも変化するかもしれない、という本作品の全部の謎解きに通じる著者の思いなのだろうかと感じた。 -
「謎をレンジに入れてボタンを押したら、たちまち答え」てくれる
国語教師の父と編集者の娘が主人公。
「夢の風車」「幻の追伸」「鏡の世界」「闇の吉原」「冬の走者」「謎の献本」「茶の痕跡」「数の魔術」の八つの物語。
これぞ北村薫!円紫さんシリーズを思い出させるテイストで
本の中では、思いがけず大好きな作家さんとの出会いもあり。スペシャルサンクスのため星5 -
「日常の謎」の北村薫さんらしい、面白い本でした。なんか嬉しくなります。
この頃の北村薫さんの小説は、日常の謎解き、人が向き合う現実、魅力ある会話のテンポ、が蘇っている。
一時期 北村薫さんが好きな小説家の1番でなくなってきたときの寂しさは何処へやら。
「北村薫さん、まだまだ、大丈夫だよ」って自分に伝えた。
北村薫さんの本を手に取ることが愉しみ。
待ち遠しい未来があるってステキだ。
さて、本小説は、円紫さんではなく、中野に住むお父さんが、娘の謎解き役。
うんちくのくだりは少なめがいい。
何気なく、「気がつかないの?」的な謎解きがいい。
面白い小説でした。