繭と絆 富岡製糸場ものがたり

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902845

作品紹介・あらすじ

世界遺産・富岡製糸場の成立秘話が満載富岡製糸場の初代工場長・尾高惇忠の娘・勇は、婚約を棚上げして女工になる。明治の日本を支えた製糸業を隆盛に導いた父娘のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  •  明治日本が生んだ文化遺産、富岡製糸場を舞台に、初代工場長・尾高惇忠の娘にして工女第一号・勇の青春を描いた歴史小説。
     製糸場誕生時の苦難に始まり、父親への反発と敬意、婚約者との葛藤、工女仲間との諍いや友情、工女としての誇りや後世への願いなど、少女の瑞々しい感性がドラマティックに描かれる。
     背景には、父・惇忠が関わった上野の彰義隊の悲劇が、色濃く影を落としている。
     工女たちの努力が結実する展開は熱いものの、終盤、秋繭による不正を疑われた惇忠が工場長を辞任するいきさつや、初期の責任者らの退任後に工場内の風紀が乱れ始め、雇用主から労働者たちの酷使の兆しが芽生えるなど、『女工哀史』の世界を連想させつつある下りは遣り切れない思いも残る。
     しかし、近代日本の隆盛を支えた若き工女の奮闘と、彼女たちを導いた先達らの矜持と情熱の軌跡は、鮮やかな印象となって読後に漂う。

  • ☆3.9
    富岡製糸場で働いた工女・勇を主人公とした話。
    あまり期待してなかったけど、面白かった!

  • 富岡製糸場の初代場長・尾高惇忠(渋沢栄一の義兄だったとは!)と、その娘で工女第一号となった勇の物語。富岡製糸場誕生時の苦労やら工女たちの暮らしぶりやらが描かれているのだけれど、和田英著『富岡日記』を読んでいたからか、あまり蒙を啓かれることなく終わってしまった感じ。ただ、繭の糸が繋がっていく様子を人間の繋がりに譬えていたのはよかったと思う。

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著者プロフィール

静岡県生まれ。東京女子大学卒業。2003年『桑港にて』で歴史文学賞、09年『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』で中山義秀賞。著書に『帝国ホテル建築物語』『万事オーライ』等。

「2023年 『羊子と玲 鴨居姉弟の光と影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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