- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163901893
作品紹介・あらすじ
生きている限り、人は何事かをなすことができる伊東甲子太郎を慕い新撰組に入隊、後に赤報隊に身を投じた久留米脱藩隊士・篠原泰之進。彼の眼を通じてみた新撰組の隆盛と凋落。
感想・レビュー・書評
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新選組から御霊衛士、そして赤報隊へと明治維新を生き抜いた篠原泰之進。伊藤甲子太郎を慕い、彼の復讐へと身を焦がす彼の生涯です。
復讐のため、新選組の影を追い続けた篠原。その彼の影を追いかけてきた存在がいたことが、鬼となっていた心を癒しほぐします。
追い続けた影を捕まえることはできなかったけれど、自分を捕まえてくれる人がいました。
大事なものは足元にある。遠くを追いかけているときは気づけないけど、足元にあります。着かず離れず、影となって自分と一つになって。 -
伊東派目線の新撰組を読むのは初めて(多分)だったし、「新撰組を私物化した逆賊」としての近藤、土方はやたらと憎たらしく感じ、新しい感覚で読めて面白かった。主人公である篠原のエピソードについても、フィクションとノンフィクションがバランス良く、物語としてもとても楽しめました。やっぱり葉室麟さんの書く雰囲気は大好きです。
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御陵衛士のそれも明治まで生き残った人物の小説が読みたかったので篠原泰之進が主役と興味深かった。
補正無しの近藤土方の人物像と伊東派から見た新選組と時流の流れが新鮮で面白かった。
松原、斎藤、谷と意外な絡め方で話が進み、彼の家族との話も良かったが、「あいらぶきゅぅ」は折角良いフリが効いてるのに、もっと最後に良い使い方があったんじゃないかと思う。
伊東や藤堂の改葬のシーンも欲しかった。
三木三郎、加納鷲雄、阿部十郎、服部武雄の小説も読みたい。 -
新聞で紹介されてて気になっていた作品
近藤をしつこくつけ狙う篠原の泥臭い話かと思ってましたが
あまり熱い感じは無く淡々と進んでいきます
伊東側の篠原目線の話なのでもう少し伊東について詳しく書かれているかと期待しましたが
ただただ近藤、土方が悪者になってる印象だけ残った(苦)
最後が無理矢理な終わらせ方で「はぁ?」と思ったけど
全編通して斎藤一の飄々とした雰囲気が好きです -
新撰組伊東派の篠原泰之進の物語。
目新しい事実はないものの、篠原視点なので見方が変わって面白かったです。
また、作者らしく純愛要素、人情要素も加えられていて、時代小説としても面白いです。
ただ、混同襲撃後から晩年までが端折られているため、ラストのエピソードと心情が唐突な感じがしました。 -
「影踏み鬼」葉室麟◆新選組隊士・篠原泰之進の物語。御陵衛士側から見たお話は少ないので楽しみでしたが、内面的な描写は予想より少なく、やるべきことを淡々と(あまり心を動かすと生きづらい時代だった?)こなすという印象でした。追う側と追われる側がコロコロ変わる時代を表したタイトルは秀逸。
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主人公の篠原泰之進は、新撰組の最盛期頃に加入した、伊東甲子太郎の一派の重要人物だったようです。
最近、急に新撰組にはまり、司馬遼太郎「新撰組血風録」「燃えよ剣」、木内昇「幕末の青嵐」と読んできて、この「影踏み鬼」を読むと、どうしても、「主人公の篠原を、かっこよく描きすぎ」な感はあります。そもそも、こんなに重要人物だったのかなあ?
なので、新撰組ものを何作か読んだ人は、一回その記憶をリセットし、新たな気持ちで読んだ方が、純粋に楽しめるかもしれません。
読後感は、結構さわやかです。現実はそんなさわやかじゃなかったと思います。さわやかさの理由は、死んでいった隊士、浪士、志士たちについて、深く感情移入するような描写が、控えめだからかも、しれません。
とにかく、主人公の篠原は、格好良く、盟友の伊東は清廉潔白な理想論者に、新撰組を牛耳る近藤、土方、沖田は恐ろしく、描かれています。ちょっと単純すぎないかな?
ただ、こういう感想を持つのは、現実に存在した人々の話だから、しかも、他にも新撰組の小説を読んだからです。そこを忘れれば、結構面白いと思います。 -
お初です。
新選組は読み手を選ぶのかな。この本は予約が少ない。
ふむふむと読み進め、最後の章でうるっときた。